第29ニャ【自称天界屈指の美少女女神、降臨ニャ】




 あたたかいニャ〜、でも、ぬ子はマフラー着用のままだニャ。だってこれは、すばりの愛の証だからニャ。猫には厳しい暑さだけれど譲れニャいよ


 集合時間まであと少しだニャ。結局、ギリギリだったみたい。猫神様の言う通り早めに出発して良かったニャ。遅刻は即失格らしいし


 それにしても大きな建物だニャ

 木造の建物、屋根にはおさかにゃの鱗みたいニャのがにゃらべられているニャ


「変わった建物だニャ〜」

「ん、古き良き日本家屋といった佇まいだな。老舗旅館を彷彿とさせる雰囲気も悪くない」

「またよくわかんニャいこと言ってるニャ。どうでもいいからはやく入るニャよ」


 ブツブツと小言を呟くすばりの手を引いて、ぬ子は建物のにゃかに入ってみたニャ。すばりは風情がにゃんだとうるさいけれど、とりあえず無視してロビーまで向かうニャン


 既に十二支レースの各種族代表が集まっているみたいニャ。ぬ子達が最後みたい


「ごめんニャさい、遅くニャりま——」


 ぬ子が全てを言い終える前に、困惑混じり、そう例えるのが妥当ニャ、

 そんニャ複数人からの視線と言葉が吐き捨てるようにぬ子の脚元ににゃげられたニャ

「ほんとに猫が来たぞ?」「ウキャキャ」「十二支でもないのに?」「しかも仔猫?」

 どうやら、猫はお呼びではニャいみたい。いくらぬ子でも、これだけあからさまな態度を取られると察しがつくニャよ


「気にするな、全員がそうという訳でもあるまい」

「すばり……?」


 確かに、悪態をついてるのは一部の種族だけかも


「デカいネズミがいるニャ」

「あれはカピバラだな。鼠代表がカピバラとは、くっくっく、は余程カピバラが好きらしいな」

にゃんだって?」


 また意味不明ニャことを


 って猿、やっぱりあの時の猿女もいる!!

 猿は取り巻きの眼鏡猿とマッチョ猿と共に憎たらしい笑みを浮かべてるニャ。見下すような表情で金色の髪を指でくりくりしてる。短めの髪はサイドで結ってるニャ。あー、にゃんかムカつく


 それに……あの背の高いのは龍かニャ? 初めて見たけど強そうだニャ〜、尻尾も翼も立派だニャ

 その龍といがみ合ってる虎っぽいのもいる。小さいけど男の子かニャ? ダボダボな服、大き過ぎると思うんニャけど、サイズ間違えたんだニャきっと


 あ! 可愛い兎ちゃん、虎を見てるようだニャ

 その後ろでニコニコしてるのは牛だニャ、今まで見たどのおっ○いより大きなソレをぶら下げてる

 あれは、敵だニャ! 少し分けろニャ!


 お、それに猪のイノもいる! やっぱり代表だったんだニャ、今朝すばりを轢いたのもイノだニャ間違いニャく

 ぬ子達に気付いて笑顔で小さく手を振ってくれたニャン、可愛いニャ〜

 でもでも、すばりに抱っこされた罪は重いニャ


 とはいえぬ子も肉球を小さく振ったニャ。わしゃわしゃしたいニャ


 む、犬もいる。めちゃくちゃクリクリおめめでプルプルしてるニャ。それに、あの大きなおんにゃは……へ、蛇だよね? デカ過ぎるんニャけど? それにゴリゴリマッチョ……


 すすり笑うアフロな雄羊さん、大きな人参を抱いた雌馬も、いや、ロリポニー? 個性的ニャやつらばかりだニャ。ぬ子が言うのもアレだけれど


 あれ、でもがいニャいよ? と、その時、ぬ子の肩に鳥が着地したニャ

「ポッポコポ! クルル」


 え? お前、鶏じゃニャくて鳩だよニャ?


「くっくっく、思ったより個性的なメンツが揃っているようだ。ぬ子が普通に見える」

「ぬ子にはすばりもあちら側に見えるけどニャ」


 すばり、にゃんだか嬉しそうだニャ


 と、そんニャ思考を巡らせてると、小さな鐘を激しく鳴らしたようニャおんにゃの子の声がロビーに響き渡ったニャ

 ぬ子を含め、十二支のみんにゃがその声のする方へ向きにゃおったニャ


『はいは〜い! 呼ばれて飛び出る女神! 天界屈指の美少女、金色こんじきのアルマといったら私のことよ!!

 ——時にはラジオDJ、——時にはアイドル活動、——更に時には異世界転移のお手続き! 幅広く活躍する美少女女神アルマを宜しくね〜!!』


 とてつもニャく、そして極めて、更に驚くほどに、テンションの高い金髪ストレート、自称天界屈指の美少女女神が姿を現したニャ




 ——









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