第28ニャ【踏んだり蹴ったりニャ】


 綺麗なパワースポットで一泊し、翌朝、ぬ子とすばりは桃源山へ向かってラストスパートをかけているんニャけど、


「ぐぅ……」


 すばりは脚を引きずりニャがら唸っているニャ

 実は朝起きて、いざ出発と気合いを入れた瞬間、何者にゃにものかに突撃され吹き飛ばされて木の枝に頭を打った上、落下した位置にあった岩で膝を強打した訳で


 それだけのダメージでも眼鏡は無事ってのが、ぬ子的に不思議ニャんだけど、

 そこは触れニャいでおくかニャ、うん


「こ、これではモン○ンで瀕死になったリオ○ウスさんではないか……痺れ罠と落とし穴に注意せねば」


 にゃんか意味わかんニャいこと言ってるけれど、これだけ喋れるニャら多分大丈夫だよニャ

 と、その時だったニャ!!

 ぬ子の前にいたはずのすばりが消えたニャ!?


 ——と、思ったらすぐにドンッて音がしてすばりの断末魔が。声は下から聞こえてきたみたい


「ゔぅおあぁっ」


 ぬ子が下を向いたら、そこには落としあにゃに落ちたすばりがいたニャ

 まさか、本当に落としあにゃがあるとは


 とりあえず、すばりを助け出し周囲を見回してみると、カサカサと葉の擦れるような音が複数聞き取れたニャ


「だ、誰だニャ!?」


 にゃにか黒い影が見えるニャ


「「「ウキー!! キャハハ!!」」」


 い、今のにゃき声は!! あ、いた! 見えたニャ!! 確かあれは……猿!!


「お、お前達っ、降りてこいニャ! 落としあにゃを作ったのはお前だニャ?」


 ぬ子の言葉に耳を傾ける素振りも見せニャい猿が三匹、木の上で笑ってるニャ。しかも限りニャくウザい笑い声で、ムカつくやつらだニャ

 おんにゃが一匹、おとこが二匹——


 ぬ子の激おこもむにゃしく響き、猿達は姿を消してしまったニャ。満身創痍まんしんそういのすばり。踏んだり蹴ったりとは正にこのことニャ


「さ、猿め……まさか奴らも十二支レースの代表か? 我をひき逃げした猪らしき影も」

「だ、大丈夫かニャ?」

「ふっ、これしきなんて事ない。妹の渾身のヒップドロップに比べれば」

「いったいどんニャシチュエーションで渾身のヒップドロップを喰らうことがあるニャ……」

「おてんば娘だからな」

「ぬ子もヒップドロップしていいかニャ?」

「いやまて、その立派なヒップでのドロップは冗談抜きで死ねるからパスで」


 し、失礼しちゃうニャ!


「ぬ子のお尻はそんニャに大きくニャいもん!」

「ん、そうでもないぞ、ほら」

 ——カシャ!!

 すばりはすまぅとぽんのカメラで撮ったぬ子の立派ニャヒップをこれ見よがしに見せてきたニャ。ふむふむ、確かに立派ニャ……


「って、にゃんてところを激写してるのかニャ!! すばりのえっち!」


 ——


 ぬ子、激おこだから! プンスカ!

 すばりはデリカシーがニャさ過ぎだニャ。おんにゃの子のお尻をにゃんだと思ってるんだ、ふん、どうせぬ子はペチャパイのデカ尻ですよーだ、ロリボディですよ、ふん


 と、煮えたつ頭のにゃかでそんニャ思考を巡らせていると、遂に森が途切れたニャ。ぬ子の視界に広がる景色パノラマは、ふつふつと沸騰していたぬ子の頭を一気に冷ましてしまったニャ


「ここが、桃源山……神様の世界に通じる扉のある場所……」


 雲一つニャい水色の空、大地を彩る緑、風に舞う薄いピンク、あたたかくも澄み切った空気、

 ——お、お昼寝したいニャ!!


 そう、遂に到着したニャ

 十二支の集うスタート地点、桃源山だニャ!!


 ——


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