第25ニャ【死と隣り合わせニャ】
歩く、あるく、歩く、あるく、ひたすら、
「ぎニャーッ、かれこれ
もう、前を歩くすばりが唐突に立ち止まるから、ぬ子、顔面強打しちゃったじゃニャいか
痛い、鼻のあたまがジンジンするニャ……
ぬ子が悪態をついてやると、すばりが振り返り眼鏡をキラリしたニャ
「どうやら、その町とやらが見えて来たようだ」
「本当かニャ!? どれどれ」
確かにぼんやりと見える。でもあれ、
「岩山じゃニャいか」
するとすばりがいつもの啜り笑いをして、
「そう、あの岩山で囲われた町こそが十二支最下位である猪、または豚の町、イース
自慢げに語るすばりは子供みたいニャ
そうか、十二支と言えど最下位ニャらこの程度の町ってことかニャ
でも、寒いけど雪までは降ってニャいから、ぬ子の町、ホワイトニャウンテンよりはマシかもニャ
「あと少しだ、気合いを入れるぞ。こんな所で荒野行動していては、いつ刺客に襲われるかわかったものじゃないからな」
「刺客って、そんニャのいるわけニャいでしょ。この世界は至って平和ニャんだから」
すばりは眼鏡をクイックしニャがら、いつもの感じでユニークスキル厨二病を発動したニャ
「くっくっく、ここは我にとっては異世界! 異世界と言えばモンスター!! モンスターと言えばバァ〜トゥルー!!」
「あ、すばり?」
「バァ〜トゥルーと言えば、常に死と隣り合わせっ!! ピンチを乗り越えた先にはっ!?」
「ど、どどど、退いて下さぁぁーーいっ!?」
「どぅぐふぁぁっ!!!!!!」
「すばりーーーーーー!?」
だから危ニャいって言おうとしたのに
簡単に説明すると、すばりが調子こいてる後ろから物凄い勢いで突進してきた幼女が、ずばりを見事に吹き飛ばして止まったってところかニャ
常に死と
実際すばり、死んでるしニャ
「す、すばり〜、大丈夫かニャ?」
「わ、我のスキル、漆黒の超不屈で何とか生き延びたようだ……そ、それにしてもいきなり何事だ?」
ぬ子とすばりは激突の衝撃で気絶しちゃった幼女に振り返ったニャ。
小さニャ身体を覆うくらいに
「い、猪、か?」
「た、たぶん」
「まさに猪突猛進ってやつか……」
「刺客、いたみたいだニャ」
顔を見合わせてぬ子が瞳を瞬かせると、すばりは起き上がり幼女の元へ歩いて行ったニャ
そして、
「このままにも出来んな。仕方あるまい、町まで連れ帰ってやるか、よっ……と」
「あーーっ、ズルいニャ!? ぬ子も抱っこしてくれニャ!!」
「ぬ子はピンピンしてるだろ? それに我は猫アレルギーだからな。抱っこは却下だ。昨日の風呂でも大変だったのだからな?」
「む〜、すばりのケチ! お風呂でハァハァしてたくせに! むっつりすばり!」
「はいはい、行くぞ〜?」
結局、歩いて付いていくことに
ふん、別に羨ましくニャんてニャいもん
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