第21ニャ【選びたい放題だニャ】


 二人の愛の巣に到着ニャ!


 ぬ子はご機嫌ニャ。とはいえ、中は結構普通の部屋だニャ。ぬ子の部屋とあまり変わんニャいや

 ベッドは一つ、ん? ひとつっ!?


 ニャ、ニャんて事だニャ!!

 このままだとぬ子とすばりの初夜になっちゃうニャ! ぬ子は同じ部屋ニャだけで良かったのに、ま、まだ、こ、心の準備がぁっ!?


「くっくっく、中々に普通な部屋だな。猫神から拝借した宿泊券だけで泊まれる訳だから文句は言えないがな。よし、我はこのソファで眠るとするか」

「えっ!?」

「どうした、ぬ子?」

「ニャ、にゃんでもニャいニャ!」


 トキメキ返せニャ、馬鹿すばり!!

 ま、まぁいいニャ。ぬ子はすばりと一緒ニャらそれでいいもんニャ。いつの間にこんニャにゃついちゃったんだろ、猫ニャのに


 それにしても、外は真っ暗だニャ

 お父ちゃん、お母ちゃん、元気かニャ?

 うぅ、まだ初日ニャのに、もう寂しいニャ。お尻ぺんぺん、ぐすん


「ん、もうホームシックか?」

「そ、そんニャ事ニャいもん!!」


 咄嗟に猫パンチ!!

 って、しまったニャ!! すばりの顔面に肉球のスタンプ押しちゃった。眼鏡が見事にぶっ飛んでったニャ


「痛ぅぅ……め、眼鏡……」

「こ、ここにあるニャ。ごめんニャさい、つい」


 あ、すばりの眼、綺麗……


「お、おい、眼鏡は?」

「はっ!! はいコレ!!」

「ふ、すまんな」


 あ、謝るのはぬ子ニャんだけどニャ

 そんニャぬ子の動揺を知ってか知らずか、すばりはテーブルに配置された夕食メニューに目を通して唸る。そしてぬ子に振り返り、


「何をしている。夕食、何を食べるのだ? 宿泊券の範囲内なら何でも選んで大丈夫だぞ。メニューも中々に豊富だ、うむ、悩むな。魔眼が定まらん」

「おお、確かにだニャ」


 ぬ子の魔眼、——じゃニャい、眼もいっぱいニャお料理メニューに釘付けニャ

 あれも、これも、知らニャいモノまで、凄いニャ!


「すばりっ、ぬ子、コレがいいニャ!」

「ふむ、山菜盛り盛りパスタか。悪くないな。だが却下だ!」

「えぇ〜っ、にゃんでだニャーー!!」


 すばりはメニューの横に小さく書かれた文字を指差して眼鏡をキラリしたニャ

 あ、対象外——

 仕方ニャい、他のにするニャ。はっ!


「すばり〜、ぬ子、コレに決めたニャン!」


 はニャ〜、卵! ふわふわ卵! オムライス!

 ぬ子、オムライスニャんて聞いたことしかニャいニャ! 絶対コレ食べるニャ!!


「オムライス、か。確かに美味そうだが……だがしかし、却下だ!」

にゃんでどぅにゅぁぁっ!?」


 って、コレも対象外!?

 ぬぬぬぬ、猫の心を弄ぶメニューめ!


 ぬ子が憤慨する隣ですばりは涼しい顔でメニューを見ているニャ。ぬ子はともかく、すばりはにゃにを選ぶのかニャ?


「対象のメニューは……くっくっ、そう来たか! やってくれおるわぁ!!」


 う、うわっ!? 始まったニャ!?


「くくく、そうか……我の魔眼が指し示すインフォメーションが正しければ、この宿で我らが頼めるメニューは二つ!! お魚たっぷり猫缶ライトと、カップラーメン、メイドイン人間界、のみっ!!」


「はいはーい、ぬ子、おさかにゃたっぷり猫缶ライト〜!」


 こんニャの即答だニャ


「なら我は、カップラーメンにする!」


 にゃんですと!? その謎過ぎる物体を選ぶのかニャ!?

 ぬ子が驚いてすばりを見上げると、すばりは眼鏡をキラリして髪を掻き上げたニャ


 こうして夕飯メニューを頼み、暫し来るのを待つことにニャったんだけど、やっぱりオムライス、食べたかったニャ……はぁ


 待つこと数十秒、さっき見た頭の上に輪っかをつけてふわふわしてる子が部屋にやって来たニャ


「大変お待たせしましたデス〜! カップラーメンと猫缶にございますデス〜!」


 全然待ってニャいけどね

 すばりが受け取り、やっとの事で夕飯にありつけるように。おにゃか空いた


 あ母ちゃんの蒸かし芋が恋しいニャ……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る