第18ニャ【猫神様とのお別れニャ】



 町の入り口付近で黒いジャージ姿のすばりを発見したニャ。何故にゃぜか頭に猫耳とお尻に尻尾も取り付けているけど


「待ったかニャ?」

「いや、我も今来たところだ」


 頭に雪が積もった状態で言っても説得力ニャいよ。お父ちゃんが泣き喚いて中々にゃかにゃか家を出られニャかったから、多分待たせたニャ

 すばりは優しいニャ


「そうだ。出発の前に猫神の所へ寄って行くといい」

「え〜、猫神様? 別に用事ニャいんだけどニャ」

「いや、そこは常識人、——常識猫として挨拶に行くものだろう……」

「仕方ニャい、猫神様はぬ子が大好きだからニャ〜。そうだニャ! ついでにミカンをいくつか拝借していこう!」


 ミカンの為ニャら会いに行くニャ!

 すばりは外で待ってるみたい。一緒に来れば良いのにニャ。ま、すばりはずっと猫神様と住んでたんだし、お別れは済ませたって事かニャ


 お、洞穴発見!

 ぬ子は勢い良く飛び込んで猫神様を驚かせようとしたんだけど、


『おお、そろそろじゃと思うてたわい。ほれ、ミカンじゃ』

「おおー、ナイスタイミングだニャン!」


 ミカン一つで軽く制されちゃったニャン


 とりあえず、コタツに入ってミカンをパクパク。猫神様も次々とミカンの皮を剥いてるニャ

 相変わらず、素晴らしい肉球さばきだニャン


『お主よ、本当に行くのじゃな……』

「はむはむっ、んっ、行くニャン? あ、ミカンちょーだいっ!」

『ほれ、ミカン。そうか、なら、こうしてお主とコタツを囲み、ミカンを食べるのもこれで最後じゃな』

「ミカン美味しいニャ〜、ん? 猫神様?」


 猫神様が何故にゃぜか哀しそうに見えるニャ。少しの間、ぬ子に会えニャいからさびしいんだニャ。猫神様、かわいいニャン


『そ、そうじゃ。ぬ子よ、お主に渡そうとしておった物があるのじゃが……』


 そう言って猫神様はいつもの古びたマタタビじゃニャく、真っ新ニャ袋入りのマタタビを取り出したニャ。それ、袋で売ってる物ニャのか?


 そんニャ考えを巡らせていると、猫神様がその袋入りのマタタビをぬ子に差し出したニャ

 ぬ子、コレ苦手ニャんだけど……

 とはいえ、お婆ちゃんの好意を無碍には出来ニャいよね。と、ぬ子は肉球でマタタビを受け取ったニャ。また変ニャ気分にニャったら……


「……あれ? 大丈夫だニャ? それに、クンクン、にゃんだか良い香りがして落ち着くニャ〜」

『天界通販で取り寄せた初心者向けのマタタビじゃ。これから長い年月をこのマタタビと共に過ごすのじゃ。暇つぶしや眠れない時にも役に立つ』


「猫神様!」


『おお、何じゃ?』

「ミカンの皮、むいむいしてニャ〜」

『全くお主は、ブレないの〜』


 猫神様は笑顔でミカンの皮を剥いてくれたニャ。ぬ子はそれを受け取るニャ

 猫神様と食べるミカンは、本当に美味しいニャン


『ぬ子よ、そろそろ行かねばならんな。すばりが外で待っておるのじゃろ?』

「もうちょっと待たせておけばいいニャ〜」

『猫の自由さと気まぐれは、時に他の者を不快にさせるものじゃ。すばりが風邪を引く前に、雪山を降りるのじゃ』

「は〜い。猫神様、色々とありがとうニャ。ぬ子、猫神様に会えて良かったニャ!」


 お別れニャ。また会えるけど、やっぱりちょっぴり寂しいニャン……だから、ぬ子は猫神様の胸に飛び込んで、いっぱい匂いを嗅いだニャ


 って


『儂も、お主に会えて良かった……やるからには、勝つのじゃぞ?』

「勿論ニャン!」

『ニャン、ニャン、ニャンダルフォ〜ン! ぬ子とすばりに猫の加護があらんことを! さ、行くのじゃ、お主の夢を叶える為に!』


 掛け声かわいい〜、猫神様、ありがとニャン





 こうして、ぬ子は猫神様とのお別れを済ませたニャ


 最後に小さなポーチをくれたけど、それはどうしても辛い時にだけ開けろと言われたニャ

 猫神様の力で一度だけ、その時の状況を打破出来るからって。ぬ子はそれを大事に肩から下げ、大きく肉球を振って洞穴を後にしたニャ



 外には頭に雪を積もらせたすばりが待っていたニャ。ぬ子に気付いたすばりは眼鏡をキラリと光らせて頭の雪をはらう


「よし、ならば出発するとしようか!」

「うん! 出発ニャン!」


 ぬ子はすばりと並んで山を降り始めたニャ。ここから先は、ぬ子の見た事もニャい世界!


 未知が広がってるんだニャ!!


 期待におっ○いが膨らむニャ〜ン♪




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