第14ニャ【すべるすばりニャ】


 あわわわ、


 すばりが滑っていくニャーーーー!!


 そう、文字通り、すばりを乗せたソリが坂道を物凄い勢いで滑っていくニャ〜、あ、跳ねた!


 すべる、すばり

 すばり、すべり? ニャは〜ん♪


「って、お、追いかけニャいと!!」


 ぬ子はこう見えても、雪の積もった道を走るのが得意ニャ。何故にゃぜニャら、いつも四足ダッシュで鍛えているからニャン

 すばりに追い付くニャ。四足ダッシュ、フル回転だニャ!! うニャァーーッ!!


 でも、

 ぬ子の全力疾走をもってしても中々にゃかにゃか追いつけニャい。坂道ニャのが厄介だニャ。無駄ににゃがいすばりが時々跳ねニャがら器用に岩や木を避けていくニャ


 ぬ子はソリにニャらって岩を飛び越え木を躱し、そこから全力の猫ジャンプでソリに取り付いたニャ。でもでも、

 二人分の体重で更に速度が上がってしまったニャ!? にゃんとか止めニャいと!!


「おい、すばり〜、起きるニャーー!!」


 ……駄目ニャ。起きる気配がニャいっ

 と、そのまま市街地に飛び出したソリ。勿論、止まる事ニャく中央通りを滑走中だニャ

 ぬ子は振り落とされそうにニャって咄嗟にすばりの肩に掴まったニャ。その時、


「ひニャッ!?」


 ソリが小石にぶつかって跳ね上がって、その反動でぬ子の身体が浮いてしまったみたいニャ。と、とりあえず空中で体勢を整えて着地!


「ぶふっ」

「ニャニャ!?」


 にゃんかぬ子のお尻の下に顔があるけど、今はそんニャ事に構ってられニャいニャーー!?

 ぶつかる、ぶつかる、ぶつかるニャーーッ!!


 し、か、も!!


「ぬ子のお家ニャーーーーッ!!!!」


 ソリは今季最長の飛距離をマークして、そのままぬ子のお家の玄関を破って見事に着地したニャン


 ふぅ、良かったぁ、にゃんとかニャって


「ぶふふぁっ!?」

「ニャン、すばりっ!? くすぐったいニャン!!」


 すばりめ、ぬ子のお尻から早く退くニャ。ほんと、えっちニャんだから

 あ、でも、ぬ子が退かニャいと抜け出せニャいか。ヨイショ、これで良し、と


 ぬ子が腰に手を当てて頷いていると、背後からとてつもニャい殺気が……

 ぬ子は部屋を一回り見回してみる。うん、めちゃくちゃだニャ。で、最後に殺気の感じる方へと振り返ったニャ。そこには、


「ニャ……お母ちゃん……ニャハハ〜」


 激おこお母ちゃんが降臨してたニャ……



 ☆スーパーお仕置きタイム☆〜スーパーお仕置きタイム☆〜スーパーお仕置きタイ——



 ……お尻ぺんぺんされたニャ

 痛いニャ。そして三日間の外出禁止に


 今回はお父ちゃんにも叱られたニャ

 いつも優しいのに、すばりを見て猫が変わったかのようにブチ切れしてたニャ

 ぬ子が慌てて「すばりはぬ子の初尻尾ファーストテイルの相手だから許してニャン!」って弁解したんだけど、お父ちゃん、毛を逆立てて更に怒り狂って、すばりを放り出してしまったニャ


 突然外に摘み出されて、寒いにゃか一人で猫神様の所に帰って行ってしまったすばりの背中はどこか哀愁が漂っていたニャ

 黒いジャージを羽織ったすばりの姿が見えニャくニャるまで窓から見送ったぬ子は、首に巻いていた白いマフラーを外し、ソレを抱いて布団に包まったニャ。にゃんだろう、このおっ○いのドキドキは……クンクン、クンクン、


 ——すばりの匂いがするニャ


 三日間寝て過ごしたら、またすばりの家に行くニャ。にゃふふ、待ち遠しいニャ〜


 そうと決まれば、寝るニャ〜♪


 猫神様が一匹〜♪猫神様が二匹〜♪猫神様が三——


 猫神様を数えている内に、ぬ子の意識は遠のいていって……にゃむ〜ん



 ——その日の夢は、猫神様にマタタビで叩かれる夢だったニャ


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