第7ニャ【神様ヤベェ〜ニャ!?】


 ぬ子は渋々、謎の魔道具四角いやつを手に取り、それを耳に押し当ててみたニャ。ぬ子の耳は垂れ耳だから、ペロンとめくって


 すると、にゃんという事でしょう!

 魔道具四角いやつから、知らニャいおっさんの声がするではありませんか!!

 しかも、ぬ子にはにゃしかけてるではニャりませんか? ど、どうなってるニャ!?


『阿呆。呆けてないで早う喋らんか』


 喋る? コレに!? にゃんだと!?


〈もしもし、神様の中の神様だけど、何か用? 今、人間界の人気アニメ、ぺん○ん×エンカウント第二期を一気見してるんだから早く済ませてね〉


「ぴにゃ!? お、お前誰ニャ!?」


 びっくりして魔道具を落としそうにニャったけど、にゃんとか耐えたぬ子に、謎のおっさんが語りかけてきたニャ。


〈だから、神様だよ。神様の中の神様、一番偉い神様。君、猫だろ? 何か用?〉

「げっ、エロい神様!?」


 えっちニャ神様か、それはそうと……

 凄いニャ。これが神様の力……はにゃれた場所に居ても会話が出来るニャんて……!


 ——か、神様、ヤベェ〜ニャ!!!!


『凄いじゃろ、すまぁとぅぽん、だっけか? それ、人間界から取り寄せたらしいぞ? 各十二支の神達にも二年ほど前に配られててのぅ、便利になったもんじゃな』

「神様の力じゃニャいんかいっ!」


〈で、用事は……?〉


「か、神様っ……ぬ子は、猫のぬ子ニャ! ぬ子は神様にお願いがあって……その、えっと、にゃにからはにゃせば、あわわ」


〈ふぅ、落ち着いて話してみなさい〉



 通話中〜♪〜通話中〜♪〜通話中〜♪〜通——



『で、どうじゃった?』

「最近暇だから、第二回十二支レースを開催するって約束してくれたニャ」


『……そう、か。良かったのぅ。ほれ、ミカン』

「あ、ありがとうニャ」


 にゃんだかあっさり過ぎて実感が

 神様の言葉によると、開催はひと月後で、元旦に間に合うようにゴールしろってお達しニャ。間に合わニャければ失格

 各種族各自で代表を選出して参加、助っ人は原則二人まで呼んでいいみたいニャ

 よし、町で誰かを誘わニャいとだニャ


 スタート地点は桃源山って山の麓らしいけど、そこに一度全種族の代表が集まり顔合わせ、そして翌日にスタート、と


 神様の門までは何日にゃんにちもかかるし、長旅にニャるから、準備は怠らないように、とも言ってたニャ

 そして、残念な事に最下位になった種族は、神の恩恵を受けられニャくなるみたい

 つまり、今の猫の立場にニャる訳だ。参加したからといって、十三支にニャる訳ではニャいんだって。神様も割とケチだニャ

 そもそも、桃源山? そこ何処ニャ? わからニャいし、猫神様に聞いてみたら、猫の町から南へ行けば多分辿り着くとの事

 猫の脚で三日はかかるみたいニャ。もう既に鬼畜だニャ……


『というか、アレ、やっぱりレースじゃったのか。それはそうと、後はパートナー捜しじゃな』

「うんっ、猫神様、行って来るニャーー!!」


 町のみんにゃに伝えて、一緒に参加してもらうニャン! 急げ急げ〜! パートニャーを勧誘するニャーー!!



 ——


 ——



「ね〜こ〜が〜み〜さ〜ま〜っ、うえぇ〜ん!」

『お、早かったのぅ』

みんにゃに笑われたニャ〜……誰もコタツから出てくれニャいし、おまけに町を出た事がバレてお母ちゃんにお尻ぺんぺんってされたニャ……」


『お主、つくづく残念な奴じゃな……』


「やっぱり、ぬ子ニャんかが十二支レースに出るニャんて、思い上がりだったのかニャ」


 ぬ子が諦めてミカンに肉球を伸ばそうとした、その時——


『泣くでないわ、仔猫めが……し、仕方ない。儂が一肌脱いでやる』

「えっ、別に猫神様の裸に興味ニャいからいいニャ!?」

『ガチで脱ぐ訳なかろうが阿呆! パートナーが必要なら、何処かから連れて来れば良いじゃろ』

「いて、そ、そんニャこと、出来ニャいし……」


 うぅ、また叩いた〜っ


『これでも儂、神様なんじゃぞ? どれ、初めてするが、異世界召喚でもしてみるかの!』


 ショボくれたぬ子の前でマタタビ片手に準備運動を始めた猫神様。にゃにをする気ニャ?

 床に落書きしてる。変な模様だニャ、丸のにゃかに細かく色々描いてくニャ。


『た、多分、これで大丈夫じゃろ。ぬ子や、お主の願いの為に召喚するんじゃから呆けてないで手伝わんか。ここに来て、この魔方陣の真ん中に立つのじゃ。そして、コレを』

「げっ、マタタビ!?」


 猫神様が半ば無理矢理、ぬ子にマタタビを持たせてきたニャ。ぬ子は当然、フニャフニャになってしまって、目が回るニャ〜?


『猫神ニャンダルフォンが命ずる! ぬ子のパートナーとなるにふさわしい者を、ここへ召喚させよ〜! ニャンニャン、ニャンダルフォン♪』


 猫神様って、ニャンダルフォンって名前だったんだニャ……ボヤける視界に映る猫神様が、にゃにか呪文のようニャものを唱えているけど?

 と、そんニャ思考を巡らせていると、ぬ子の頭上が激しく光り始めたニャーー!?

 ぬ子は我に返ってマタタビをポイしたニャ!


『あっ! じゃからポイするなっ!』


 その瞬間、ぬ子に衝撃がっ……!


「ぴにゃーーーっ!!」

「いってぇぇっ!?」




 仰向けのぬ子の腕を掴むようにして跨る其奴は、鋭い眼をした人間のだったニャ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る