第3ニャ【ぬ子と変な棒とBBAニャ】


 ふニャァァッ!? 身体の、力が抜けるニャ……


「ニャ〜、駄目になっちゃいそうニャ〜」


 こ、こんニャの、初めてニャ〜♪


『お主、おい、お主よ』

「ニャはははぁ〜ん?」


 ん、誰かがはにゃしかけてきてる?

 駄目だ、尻尾の先っぽがフワフワしてきたニャ♪

 もうどうでもいいニャそんニャこと


『お主、それは儂のマタタビじゃ。返さんか、儂が駄目駄目モードになれないではないか』

「そんニャこと言ってもっ、ふニャァァ、これはぬ子のモノニャ〜にゃしし〜、もう神様の門とかどうでも……って、誰ニャ!?」


『それ、儂の台詞な』


 あ、危なかったニャ!

 こんな物騒な物はポイするニャ! ポイッ!


『……って、儂のマタタビを投げ捨てるでないわぁっ!』


 ぬ子がポイした如何わしい枝を必死に拾う老猫BBAが目の前に居るニャ。コイツ、誰だニャ?

 白い髪、匂いは老猫ニャのに、見た目は若い、細い眼は緩く帆を描いてて、うん、やっぱりお婆ちゃんだよニャ? 不思議ニャ猫だニャ


『ったく、最近の仔猫ときたら……』

「カチーン! 仔猫じゃニャいニャ! ぬ子ニャ!」


 威嚇のポーズ! シャーーッ!!


『そうゆう所が仔猫じゃと言っとる。ほぅ、それはそうと、お主、ぬ子と言うのか。儂は……』


 失礼な老猫BBAだニャ


「ぬ子は二歳の成猫おとにゃだっていうのに、仔猫とは聞き捨てニャらニャいのニャ!」


『う……ニャーニャーとやかましい仔猫じゃな。少しは落ち着かんか阿呆。とはいえ、こんな所に客が来るのは久方ぶりじゃ、どれ、もてなしてやるからコタツにでも入っておれ』


 老猫BBAが石の床を謎の枝……確かマタタビか。そのマタタビで床をトンと叩くと、驚いた事にコタツが飛び出したニャ!?

 いったいどうなってるんだニャ!? コタツの誘惑には勝てニャいや。とりあえず、

 ——猫はコタツで丸くニャるか


「し、仕方ニャいから入ってやるニャ?」

『嫌なら吹雪の中、帰ってくれても構わんよ儂は?』

「……ごめんニャさい」



 こうして、結局コタツの誘惑に負けたぬ子の前に、老猫BBAがオレンジ色の果実を持って来たニャ。一緒に温かい飲み物も。

 ……ど、何処からそんニャ物が?


『ミカンじゃ。見た事ないのか?』

「……ミカン?」

『コタツと言えば、ミカンじゃろ』


 と、当たり前のようにミカンという果実の皮をめくっていく老猫BBAは、ぬ子にも食べろとうにゃがしてきたニャ。

 ぬ子はソレを手に取り、ムチムチの手のひらで皮を剥こうとしたけど……


「う、うまく剥けニャい……」

『不器用な奴じゃの〜、どれ、かしてみ?』

「おおぉ……!」


 にゃんという肉球さばき……!

 伊達に老猫BBAじゃニャいって事かニャ。と、関心してたら剥き終えたミカンをぬ子に渡してきた。ぬ子はソレを受け取り、老猫BBAの真似をして一粒、口に放り込んだニャ


「美味しいニャ……!」

『そうじゃろ?』

「お前、中々にゃかにゃかやるニャ!」

『歳上に向かってお前はないじゃろが阿呆!』

「いてっ!」


 痛いニャ……マタタビとかいう魔道具で頭を叩かれたニャ


『儂は猫の神様じゃぞ? そんな礼義の無い奴にはミカンはやらんぞ?』

「それは嫌だニャ! ミカン美味しい! って、ニャンですと!? か、み、さ、ま!?」

『ま、まぁ、一応な』

「そっか。はむっ、うん、美味しいニャ。猫神様、ミカンもう一個剥いて?」


 あれ?

 神様、にゃんでそんなにプルプルしてるかニャ。あ、そうニャ! 神様だって事は、昔話も詳しく知ってるかもだニャ!

 早速聞いてみよう! と、思ったけど、とりあえずミカン食べよっ! にゃんだかんだで剥いてくれてるしニャ


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