第2ニャ【迷子のぬ子ニャ】



 許せニャい、許せニャい、ふニャァァッ!


 にゃんだよシャムの奴ぅ、またぬ子の右眼のこと馬鹿にしてーーっ!

 ち、ちょっと可愛いからって調子に乗り過ぎだニャ。ふ〜んだっ、雑種ですよーだ、ぬ子が雑種で悪かったニャ! プンスカ


 ぬ子は今、怒ってるニャ。見ればわかると思うけど、ご立腹ニャんだ!

 同い年のシャムに左右で色の違う眼を馬鹿にされたニャ。これはお姉ちゃんとお揃いの自慢の眼ニャのに……酷いニャ!


 た、確かにシャムは可愛いし、スタイルも……ぬ子と違ってちゃんと成猫おとにゃで出るとこ出てるし……つまり、おっ○いも桁違いに大きいし訳で……ぬ子、何処も勝ってニャいけど


 あんニャの、ゴロゴロし過ぎて脂肪がついただけだニャ……って、にゃんか言ってて虚しい


 いつもいつも、同年代の猫には馬鹿にされるニャ。ぬ子が小さいから? 変ニャ眼だから? ぬ子が神様の門を目指すって言っても、誰も振り向いてくれニャい。今の自堕落ニャ生活で、本当にみんにゃ満足なのかニャ?


 おかしいのは、ぬ子?

 ————いにゃ!!

 そんニャ訳ニャい! ぬ子は短い猫生人生、無駄にしたくニャいだけニャ

 そ、そりゃずっとコタツで包まって無駄に時間の経過を貪るのも、猫冥利に尽きるとは思うけど……うぅ、外、寒いニャ


 ロリボディと眼を馬鹿にされたぬ子は考えにゃしに町の外まで来てしまったみたいニャ

 町長さんが町の外には出るニャと、いつも言っているニャ。それは猫が神様との約束を反故にしたからって言われているけど、そんニャの嘘ニャ


 昔むかし、神様が猫を含む十三の動物達に言ったニャ。みんにゃで神様の家にお参りに来いと。早く到着した者の順に人間界の守り神の役割を託すと言い加えてニャ


 動物達はみんにゃ我先にと駆け出したニャ。つまり、競争、レースだニャン!

 ぬ子が知ってるのは、この競争で猫は失格

 その結果、こんニャ寒い辺境の地に追いやられてしまったんだニャ


 認めニャい、猫が失格だニャんて

 失格って、にゃにしたらなれるんだニャ?



 おっと、これ以上先に行くと本当に叱られるニャ。帰らニャいと


 はぁ、神様……もう一度でいいから、猫にチャンスをおくれニャ


 垂れた猫耳が冷え冷えニャ。自慢の橙色の髪もにゃんか凍ってきたし、このままじゃ凍えてしまうニャ


 でも、

 あれ? ここ、何処かニャ? ニャ!?


「ふ、吹雪っ……? い、いきなり雪が降ってきて前がよく見えニャいニャーッ!?」


 あたふた、あたふた!? はっ!? と、とにかくあそこの洞穴に退避するニャ!


 ぬ子はなりふり構わず四足ダッシュで洞穴へ逃げ込んだニャ

 にゃかは普通に寒いニャ

 コタツが恋しいニャ……


「ニャ? あれはにゃんだ?」

 

 洞穴の中に変ニャ物があるニャ


 おかしニャ形の石が積み上げられているニャ。にゃにか地面に描いた形跡もあるニャ?

 でも、消えかけててにゃにが描いてあるかわかんニャい。多分、コタツ?


 良く見ると、そこら中に猫じゃらしとか落ちてて散らかりまくってるし……ん? これは……?


「木の枝?」


 ぬ子はちょっと怖いけど、勇気を出して肉球を伸ばしてみたニャ。妙に気にニャる枝みたいニャ物を肉球に取って、クンクンと、とりあえず匂いを嗅いでみ……た、に、……ニャ!?


「ふニャァァッ!?」


 ——にゃんだこりゃぁぁっ!!



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