虚~ホロウ~Project短編 喜楽な聖夜

虚無~うつな~

喜楽な聖夜

私はミリ・エクスバース。まぁ、『楽』の感情で構成された人形みたいなものだ。私は自分の利益になることしかしない。楽して楽しいことに没頭するだけの毎日だ。まぁ、それでも有間やオリジナルの手伝いはする。

「~~~~♪」

また厄介なのが来たなと思い、ため息をついた。


「お~い!今日はクリスマスだよ~!」

扉を平気で蹴破って入ってきたのはミリ・エクステラ。『喜』の感情のとてもうるさいやつだ。

「また扉を壊して…、一度くらいノックというものをしたらどうだ?」

「え~、どうせ入れてくれないでしょ。だったら、壊して無理やりにでも連れて行かないと…。」

「はぁ、いつも言ってるだろ。私はそういうものには一切興味はない!忙しいからさっさと帰ってくれ。」

エクステラは背中を向けて、ため息をつきながら言った。

「せっかくお兄ちゃんや未離ちゃんも張り切って準備してるのに…。もったいないなぁ…、ふふ。」

有間も頑張っているのか。くそ、エクステラはこんな手段をめったに使わないから気になってしまう。なんだかんだ言っても、有間には…兄には褒められたい。私たちの因縁だから仕方がないが…。

その時、後ろから肩をたたかれた。

「気になるんでしょ?」

「ちょ、ちょっとだけ…、でも…。」

私の頭の中は混乱した。いつも有間の役に立ちたいからこんな冷静キャラを装っている。それは腐れ縁のこいつも知っていることだ。だが、有間の前で甘えるわけにもいかない…。

その時、エクステラは笑った。

「ふふっ、じゃあ今すぐゴー!」

エクステラは私の手をつかみ引きずって行った。


「お兄ちゃん、こっちは大丈夫だよ。」

玄関ホールでは飾り付けが行われていた。

そこへエクスバースを引きずったままのエクステラが来た。

「連れてきたよ!」

私は体力が劇的に少ない。少し動いただけでも吐血するレベルだ。

「ゴホッゴホッ!おい!殺す気か?!」

エクステラは申し訳なさそうに謝っていた。

「かはっ!けほっ!…ふぅ、まぁ対策はしていたが…。」

私はあらかじめポケットに入れていたスイッチを押した。地下から宙に浮いたままの椅子が来て、ロボットアームで私を担いで椅子に座らせた。そう、体力が低い代わりに私には技術がある。こういうものを利用して弱点を補っている。

そうしているとオリジナルと有間が近づいて、言った。

「エクスバースちゃんも、一緒にやろ?」

「はぁ、未離もこう言ってるからな、俺からも頼むよ。」

私はそれにこう返した。

「し、仕方ないな。手伝ってやる。」



パーティーが終わり、部屋に帰ってきた。

「はぁ、普段しないようなことをすると疲れが来る…。」

机の上にプレゼントボックスとカードが置いてあった。


エクスバースちゃんへ

 

 普段我慢してばっかりで、最近心から楽しそうな顔を見せなくなったね。

 だから、いつでも自分の笑顔を確認できるように鏡をお兄ちゃんに創ってもらったよ。

 エクスバースちゃんも我慢しないで、もっと楽しそうにいてほしい。

 私もお兄ちゃんもみんなそう思ってるよ。

恥ずかしいなんてことはないから、心から楽しんでいてほしいな。

                             エクステラより”


それを見た私は笑顔でつぶやいた。

「ふっ、まったく。そうか。ハハ、ハハハ。」

鏡で見る私はいつもよりも楽しそうだった。



次の日。

(コンコン)

「カギは開いてるから入っていいぞ。」

「エクスバースちゃん!……フフ、やっぱり何でもない!じゃあね!」

最近、エクステラを不安にさせて悪かったと思う。私は私なりのペースでやりたいことだけをしていく。楽しさを求めて…。

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虚~ホロウ~Project短編 喜楽な聖夜 虚無~うつな~ @endenemy

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