第20話・ギルドで登録をしょう


ブツブツと文句を言っても仕方ない。

気がつけば順調に、ホントに順調に!ギルドに到着した。

マジで、イベントが無いでやんの…。


だが、ファンタジーにはギルドでも定番のイベントがよくある。

皆さんもおわかりのように『新人冒険者への可愛がり』イベントだ。


ただねぇ~。正直言って、このイベントは俺的には欲しくないイベントなんだよねぇ~。

だってさぁ、このイベントって主人公が悪目立ちするイベントじゃん。

この後に続くのが、可愛い女の子に出会うってパターンだと良いんだけど、大抵の場合は面倒くさい仕事が舞い込むってパターンじゃん。

正直、それは勘弁してほしいんだよなぁ…。


「おい!どうした?着いたぞ」


イベントの事を考えていて、ちょっとボーっとしていたようだ。気がついてガンツさんに促されてギルドに入っていくと、そこは見事なまでにありがちなギルドだった。

受付に依頼書が貼ってある掲示板、カフェスペースには酒を酌み交わす冒険者たち…。


ここで、目つきの悪い冒険者に声をかけられればイベント開始の合図だけど、声どころか注目すらされない。

あっさりと受付に到着すると中から声がかかった。

ここでも、イベント無しかい!


「お久しぶりです。ガンツさん」

「おぉ!半年ぶりだな。アドル、今年もよろしく頼むな」


声をかけてきたのは、紫色の髪で長身のイケメン。

村長の息子さんのアドルさんだ。


「紹介しよう。こいつはユウキ。例の学校の第一号だ」

「そうですか。はじめまして、アドルです。お噂は手紙で知っていますよ。とても優秀な人だそうで…」

「はじめまして、ユウキです。運良く成績が出せただけですよ。あまり誉めすぎると調子に乗ってしまいますよ」


にこやかに挨拶を交わし、村長に頼まれた学校関連の書類の束を手渡した。


「お預かりします。ユウキさんには、このまま冒険者の登録をしていただいくという事で、よろしいですか?」

「はい。そのつもりで来たので、お願いします」

「では、こちらに記入をお願いします」


「登録申請書」と書かれた紙に名前、緊急連絡先、職種を記入していく。

緊急連絡先にはアサイ村を指定した。

だけど、職種はどうしよう?申請書にはいくつかの職種が書いてあり、それから選ぶようになっている。

俺は少し悩んでから、「その他」に○をして、こう書いた。


「出稼ぎ」


これで良い。俺は「戦士ファイター」や「魔法使いマジシャン」や「盗賊シーフ」じゃない。かと言って「猟師ハンター」なんてのもおこがましい。

「出稼ぎ」で合ってる気がした。


これから俺は「出稼ぎ冒険者」として稼いでいこう…。そう思った。

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