2/9 『火の鳥』雑語り(創作に関するネタがない)

 手塚治虫の全作品を学習させたAIに描かせた新作に、漫画家がペン入れした新作を発表するというニュースが話題を読んでおりました。

 画期的な試みだとか、故人への冒涜だとかいろんな意見が飛び交っているのを見ましたがそんなこたぁぶっちゃけどうでもいいですよ!

 そんなことを試すのなら新作より、『一輝まんだら』! 『一輝まんだら』の続きを描かせろよ、なあ、るみ子!


 ――と、見ず知らずの手塚るみ子に心の中で絡むくらい、わたしは打ち切り漫画『一輝まんだら』の続きを切望しております。『一輝まんだら』に対する私の思いはこちらで。https://kakuyomu.jp/works/1177354054884686615/episodes/1177354054886893372


 そういえば『火の鳥』の大地編は今、桜庭一樹が連載してるんだっけ? これもすごい試みであることよ。


 

 『火の鳥』といえば、私は何気に太陽編が一番好きなのですが、「『火の鳥』の推しは何編か?」と訊ねた時に挙げる人が少ない気がするのが何となく寂しいものです。

 『バーナード嬢曰く』で登場人物たちが同じようなことを語りあっていた回がありましたが、あの時あがっていたのはロビタの復活編と我王の復活編でしたっけ? 確かに、わかるよ……?わかるけどさぁ……という寂しさ。ちなみに、復活編と宇宙編は怖くてトラウマになりました。


 そんなわけで、どうも全体的に二番手三番手の位置に甘んじている太陽編推しの民としては、「面白いじゃないか! 敗戦国の王族が顔の皮を剥がれた上に獣の皮を被らされるという屈辱の出だしが最高じゃないか! クチイヌさんはケモノ恰好いいじゃないか! 夢を通じて過去と未来を行ったり来たりする構成も見事じゃないか! 十七歳の少年殺し屋が女装して追手を始末するとかもイイじゃないか! 無菌ネズミのから揚げがうまそうじゃないか! ゴキブリの油漬けはいらんが。あとチョイ役のイノリちゃんがやたら可愛いじゃないか」としつこく良さを訴えたくなるのでした。

 

 ――でもまあ、復活編、鳳凰編、宇宙編あたりと比べて二番手三番手に甘んじるところも、ちょっとわからんでもないのでした……。

 60年代か70年代か今ちょっとわからないけれど、そんなころにロビタとか我王とか牧村や猿田の話とかやってたんだからそりゃあすごいよね……。コマ割りとか今見ても実験的だし。

 80年代のカドカワ系列の雑誌(『野生時代』だっけ? 去年か一昨年に出たカドカワ文庫版に詳しい書誌情報が載ってたはずだけど今ブツを探すのが困難だ)で連載されていたらしい太陽編は、エンターテイメントに振り切れていてちょっと軽いところがあるもんね……。でもそこがいいんだけどねっ。伝奇ものみたいな超能力バトルしてるところとかさ。


 ところで私が地元の図書館で『火の鳥』を読んだのは小学三年生のころになります。

 当時は「図書館で漫画などとんでもない!」という時代からそれこそ手塚治虫の功績によってゆるやかに「漫画があってもいいじゃん?」みたいな流れになるちょうど過渡期だったのでしょうか? そんなこんなで手塚漫画と白土三平漫画は置かれていたので、なかなか漫画を買ってもらえない家で育ち漫画に飢えていた私はまんまと手に取り、人がドカドカ死んだりグロテスクな生き物がドサドサ出てきたりエロい場面もバンバン出てくる世界に大変驚いてトラウマを植え付けられることになるわけです。


 それからしばらく経ったころ、アニメや漫画の世界で「前世が何々だった」系のネタをよく見かけるようになりました。


 で、現在おなじみの異世界転生や転移ネタ……twitterでは時々前世ネタの起源を突き止めようとする議論や雑談が繰り広げられ、『セーラームーン』や『ぼくの地球を守って』あたりのタイトルが挙がってくるわけです。

 実は私は常々「確かにそうなんだけど、なんか大事なピースが欠けている気がする」という思いを抱えていたわけなんですよ。完全なる個人史の話になるけれど、私は『セーラームーン』や『ぼく地球』の前に前世ネタに接している……! しかし思い出せん、という(なお、前世ブームの大元は『ぼく地球』であることは聞き及んでおりますが、私は『セーラームーン』→『ぼく地球』と逆行する順番で両作品に接したのでこのような順で表記しております)。


 長い間この、思い出せそうで思い出せない……というむず痒さとともにあったわけですが、手塚AIからの『火の鳥』ネタでつらつらボーっとなにやら考えていたときにようやくそれが解消されたんですよ


 太陽編だ! 私が初めて前世とか転生とかそういうネタに触れた漫画は太陽編だー! やったー、スッキリー!



 ――すいません、思い切り個人的な話で――。

 でもこのスッキリさ加減は、エウレーカ! と叫んで走り回りたくなるレベルだったので(ネタもないし)ここに書きとめたくなった次第です。


 しかし一番好きな話だというわりに、前世・転生ネタといえば? と訊かれても太陽編が出てこなかったのって本当に好きなのかどうかが疑われるレベルですね……。 



・本の話……

 新しく、嶽本野ばら『純潔』を読み始めました。

 特に乙女でもなんでもないんですが、昔から野ばらちゃん文章と馬が合うのでご本は昔から読んでいます。例に違わず『下妻物語』が一番好きです。

 『純潔』もアニオタの先輩や妙な活動家の北据さんとの会話が妙に楽しいのですよ。

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