2/8 書きたいけど書けない日々
どんだけtwitter見てんねんとそろそろ突っ込まれそうですが(すみません、スモーカーの人が一服する感覚でついついtwitterをみてしまうのです)、昨日ある作家の方のtweetが目に入りました。
確か、「作家志望の方から「書けなくなった時はどうするのか」と質問されるが、そういう時は「書けなくなった時は、書く」と答える」と言うものだったような。
そういう言葉が目に止まるということは、ずばり今がうまくどうにもこうにもうまく書けない時期にいるからですね。
昨日は新しいものを不意に書きたくなって、バレンタインをネタにしたコメディを書き始めてみたものの、ゆかいで笑えるというよりもひたすらバカバカしくてくだらないだけ自分で嫌になり、腹が立って削除したのでした(一応本文のバックアップはとったけれど)。
こういう、思い描いていたように書けなかった時の無念というのはなかなかに堪えるものですね……。思えば今までわりと調子良く執筆を楽しめていたので、ここまで書けないとなると不安になるしかないのです。私もう二度とあの楽しさを味わえないのじゃないかと思うとちょっと怖い。しょせんは趣味の創作なので、書けなくなっても世間的にはノーダメージであるとはいえ。
まだまだ書きたい物語があるのでここではへたりたくはないですね。もうちょっとがんばりたい。それまでは何かしら書いてもがくしかないのかもな……と、遠い目をした一言でありました。
しかししんどい趣味であることよ。その分楽しさも格別だけど。
・本の話……
この前からずっと読み続けていた、エレナ・フェッランテの『失われた女の子 ナポリの物語4』を読み終えました。一巻から四巻まで、とにかく密度が濃くて読む人を物語の世界へ引き込む力がめちゃくちゃに強い小説でした。1日経っても頭の半分がいまだにナポリにいる感じすらしますよ。
一口に言うと、1950年代ナポリのあまり治安のよろしくない地域で少女期を迎えた二人の女性の人生の物語なんですが、登場人物がまあ多い! その登場人物それぞれが歩んでる人生も端役にいたるまでまあ密度ぎっしり(とはいえ別に描写が濃すぎるわけではない)! 南部を中心としたイタリアの風土や歴史も書き込まれるわ、労働運動に明け暮れる60年代から70年代のイタリア若者事情やら、犯罪が横行しているナポリの暗部やらが背景にある上で、女の子が作家としてするまでや、泥沼不倫劇やらなんやらが描かれている小説ですよ。
その中でも特異なのが、語り手エレナの一口ではいえない絆を持つ親友・リラの嵐じみた魅力でしょう。美人で一種の天才なのに、保守的な土地で生まれ落ちたがためにその才能が周囲からほとんど理解されずに恐れられ、自分自身がそのはげしさに振り回されるような生き方をしたリラ。忘れ難い人物です。
忘れ難いといえば、エレナの不倫相手、「不実な男性キャラクターを創作しなさい」というお題でも出た時に参考に出来そうな男、ニーノも忘れ難い。弁は立つし頭もいいし如才ないんだけど、女性とみればどんな相手でも口説かずにはいられず、妻も不倫相手も切れないと泣きつき、不倫相手との間に作った子にはなんのかんの弁を並べ立てて養育費を払わない最悪な男ニーノ! 本当に最悪すぎて終盤になると「こいつはまたどんな愚行を!」とワクワクして笑えるキャラクターになるので是非読まれたし。
そしてそんなニーノと不倫して離婚することになるエレナは当然姑(上流階級の名士夫人で文壇にも顔がきく)との関係が最悪になるわけですが、自分にも結構な非があるのに(少なくとも現代日本でおなじことをやらかしたら鬼女が連日大騒ぎする程度のことはやらかしている)、大越で罵り合いの喧嘩をしていたというのがスゲエな……、となった。それがイタリアンパワーか。自己主張の激しさは見習いたいなとちょっと思いました。
全四巻もある長編ですが、読んで損はしないシリーズですよ。
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