七日目 NASAが何の略はみんな知っているよね! と聞かれて答えれなかった大人です

Saturn Vエンジンを見て鳥肌が立った


 おこんばんは。


 今は現地時間で夜の11時。10時過ぎにやっとマイアミのAirbのシェアルームにたどり着くという、超絶押しスケジュールでした。予定では7時にはマイアミに到着しているはずだったんですけどね。大幅に読み間違えたというか、NASAを甘く見過ぎていました。


 はい、今日は昨日の寝坊で行けなかったNASAのケネディ宇宙センターツアーです。ヒューストンで行けなかった分、結構楽しみにしていました。


 9時開園ですが、またしてもAskewは二度寝の魔の手に落ちて、30分遅刻しました。何故だ。どうしてお前はそんなに魔の手に落ちるのだ。クッパにさらわれるピーチ姫じゃないんだから。そんなんだから実はピーチがクッパに金を回して、マリオの愛を確かめさせているなんて言われるんだよ。仮にそれでもピーチは良いですけれど、僕には起こしてくれるヒロインなんていないんだから、自分で何とかしろ。甘えるな。


 と、自分に言い聞かせて、明日も寝坊しそうな予感がする僕です。


 それはともかく、ついにやってきましたNASA!!


 こう……小説にも一応ギャグで入れたものの、実際どんな研究設備で、どんな人たちが働いているのか謎に包まれたまま、(凡そは宇宙兄弟から得た)微かな自分の中の断片的なイメージだけを持っていたんですよね。


 アポロ計画は知っていますが、初めて有人飛行が成功したアポロ計画なんて知りませんでしたから。ポルノグラフィティのおかげで、月に行ったのは朧気ながら知っていましたけどね。(8号がアメリカが初めて成功させた有人ロケットで、11号が月面着陸したロケットです)


 でも、やっぱり本場で様々な映像や現物をみると違いますね。このケネディ宇宙センターは、ディズニーやUSには敵わないものの、充実したアトラクションが用意されています。IMAXのシアター、火星への旅、33回もの飛行を経験したスペースシャトル「アトランティス」の現物展示、訓練体験、離陸シミュレーションなど……。一日コースと聞いていましたが、実際一日じゃ全ての展示を回り切れませんでした。


 それほど、観光にも熱を入れています。そして、何より、未来の職員を探すために意図しているのが感じ取られました。子供にロマンを与えるというか……。


 そもそも宇宙ってロマンしかないじゃないですか。

 かつて、カエルが大海を知ったからどうだと言うのだ。月を知っている方が良いのではないか。という意見に賛同しましたが、その通りです。


 宇宙は分からないことばかりです。だから面白いのだと、NASAの職員は口を揃えて言います。そして、知っていることは解説していますが、まだ出来ていないこと、特に火星への有人飛行に関しては力を入れているようです。


 次はキミだ。


 というメッセージをひしひしを受け取りました。僕も正直、かなりワクワクしています。宇宙は不思議なことがありすぎて、現実のことなのに妄想が刺激されるのですからね。



 そして、僕が一番感動したのは、アポロ計画で幾度となく使用され、アメリカ人を宇宙へ、月へと連れて行ったSaturn V型ロケットの展示でした。


 

 すこし話が逸れますが、僕の人生を変えたと言ってもいい愛読書に「プラネテス」という漫画作品があります。アニメ化もされていて、これがオリジナル回満載なのに、出来が素晴らしいので原作ファンでも唸ると評判の作品です。


 近未来、人類が宇宙で生活するのが普通になった時代。スペースデブリという宇宙のゴミを拾う人々のお話しです。ギャグを散りばめた読みやすいストーリーの根底には、死生観、戦争、愛といったテーマが脈々と流れています。


 その中の主人公「ハチマキ」はエゴの塊と言っても良いほど自我が強い。自分のやりたいことは何でもする。いっしょーけんめいやって出来ないことでもないだろ、と、当然のように言ってのける。


 ”地球だろうが何だろうが甘えにつながる者は捨てちまえ。

 魂売っちゃえよ この世界にはその価値がある。

 そうでもしねぇと 第二宇宙速度を出せるパワーなんて沸いてこねぇんだ”


 そんな彼が、あるアクシデントで突如、抜け殻のようになります。仲間の声も、何が目的でどうしているのかも分からないまま、闇の中でじっと佇むハチマキ。


 そんな彼の心に再び点火したのが、何を隠そう、ロケットのエンジンでした。木星を目指すという機体に取り付けられる途方もなく巨大なエンジンの前に立ち、そのエンジンに触れた時、ハチマキの中に火が灯る。


 僕は1巻のこのシーンが大好きで、何度も何度も読み返しています。


 

 そして、今日、人類を何度も宙に運んだ巨大なエンジンを見上げました。そこで僕はこのシーンを思い出して、鳥肌が立ったのを覚えています。


 この巨大なエンジンが第二宇宙速度を出せるパワーを持っているのか。そして、地球の巨大な重力を振り切ったのか。そう思うと、心の中で何かが、ちりちりと火花を散らした気がしたんです。


 僕は重力を振り切って飛び出すエネルギーを生み出せるのかな。


 固定概念や重苦しい同調圧力に負けそうになった時、僕はプラネテスとサターンエンジンのことを思い出せるようにしておきたい。


 そして、潰されるような重力を振り切って、がたがた震えながらでも力強く宙へと飛んでいけるようになりたいものです。



 

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