三日目 二大都市を観光 時間がない……

NASAといえば……。ヒューストン!!


 はい、こんばんは。

 

 三日目の夜、11時から執筆を始めましたAskewです。今日はサンアントニオを出て、ニューオーリンズへ向かうという行程。


 しかし、その間にはヒューストンというアメリカ4番目に人口の多い町が控えています。これは「宇宙兄弟」ファンとしても見過ごすことは出来ない街であります。


 まだ日が上がる前のサンアントニオのDaysInnで簡易的な朝食をとったあと、駐車料金が別であることにしてやられて、20ドルほど単価が上がったのに驚いたのはもう随分前のこと。(Downtownの近くでしたし、思ったより綺麗だったので文句はありません)

 

 あー、走行距離を見るのを忘れましたが、サンアントニオからヒューストンまでは200miles(320km)と比較的近いです。すでに距離感がおかしくなっていることは分かっていますが、日本より曲がりくねっていませんし、制限速度も高い(約120km/時)ぶん、所要時間が少なくて済むので、数字より近く感じます。まぁ、毎日8時間以上運転しているので、それがしんどくないかと言われれば嘘です。でも、楽しいので何とかなっちゃうんですよね。

 

 それは良いとして、ヒューストン!!

 

 NASAの宇宙センターがあることで有名ですよね。

 もちろん、行きませんでした。


 だって、オーランド(フロリダ)で行く予定ですもの。


 見比べろよ!!

 という非難の声は甘んじて受け入れましょう。でもね、2時間くらいしか時間無かったし、急いで見て回るより良いと判断しました。旅には取捨選択が不可欠ですよね。NASAは切り捨てられました。すまんな、NASAよ。


 その代わりに、The Museum of Fine Arts Houston(美術館)へ行きました。アメリカは素晴らしいですね。都市を代表する観光名所の美術館なのに、入館料が無料!!


 催事の展示は別途料金がかかりますが、常設展示は無料で覗き放題です。太っ腹ですね。僕はいつもこのような美術館の中に、日本の鎧等々が展示されていることに驚きます。NYCのメトロポリタン美術館でもそうでしたし、ミネアポリス美術館でも豪奢な屏風がありましたね。しかも、そこも無料だった気がする。


 どうしても日本のものを海外で見ると感慨深くなります。どうしてでしょうか。文化が似ている韓国や中国は、ものによっては見分けがつかないほど酷似しているのに、日本のものだけに関心が寄るのですよね。不思議です。


 これが愛国心というものでしょうか。

 

「日本人って凄い!!」というテレビ番組は総じて「何だかうさんくさいなぁ」と感じていたのですが、それでもアメリカの美術館に誰かの作品が展示されていると言うのは、嬉しくなります。僕には全く関係が無いのにね。

 ちなみにですが、醤油を生み出した日本人は天才だと思います。ワサビなんてつけちゃう所は最高です。


 美術館は結構すっきりしていて、すぐに見て回れました。近くにヒューストンさんの銅像が飾られているので、それを見てから、Zazaというホテルのレストランで昼食を取ることにしました。

 

 すごいです。

 ホテルの送迎者の車の頭にバッファロー(?)の骸骨がついていました。さすがテキサス。期待通りのホスピタリティですね。


 レストランは程よく落ち着いていて、でも、雰囲気はリッチで、外から見るとまるでお金持ちの若者が一人で旅行しに来たようなオーラを醸し出せていたに違いありません。テラス席で食べる昼食は非常に美味でした。


 頼んだのはCrispy Buttermilk-Dipped Chicken Breastという料理。サクサクに揚げられた鶏むね肉の下にインゲンとマッシュポテトが敷かれ、甘いバターミルクがたっぷり掛かっています。

「これは体に毒だな」と思いつつも、ナイフとフォークが止まりません。サクッとした衣の感触。後から来るバターミルクの甘味。ほくほくとしたマッシュポテトに、しゃきっとしたインゲン豆の感触。これらが合わさって人を駄目にさせようと企んでいるかのようでした。

 ウェイターの方が「テキサスの伝統的な料理です。気に入ると思いますよ」と仰っていましたが、その通りでした。

 

 一人でぺろりと平らげた後、車に戻って15分ほど仮眠を取りました。あぁ、なんて幸せな昼食なのでしょうか……。この二日間は昼食も取らずに走り続けてきたので、ちゃんとしたご飯を食べたのはこれが最初ですね。

 

 ヒューストン。

 NASAはスルーしましたが、芸術と食事を楽しんだ、人を駄目にさせそうな都市でした。


 ――このままここに一泊しようかな。

 と、邪念が一瞬浮かびましたが、振り切って車を出します。


 ――何言ってんだ。お前が目指すのはニューオーリンズだろう。しっかりしろ。

 自分に言い聞かせます。


 その叱咤が正解だと知ったのは、それから8時間もあとのことです。


 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る