気になるクラスの男の子?

「やった!! 連絡先、交換できた!!」


 私、品川友里は荒井君達と別れた後、家に帰り自分の部屋のベットで、荒井君と連絡先を交換出来た事に1人テンションが舞い上がっていた。


「まさか、今日一日でここまで仲良くなれるとは思って無かったな〜♪」


私と荒井君が初めて喋ったのは、実は今日ではない。荒井君と私が初めて出会ったのは、高校受験の時だ。当時中学生だった私は、初めての受験に緊張していた。緊張し過ぎたせいで受験高校に向かっていた私は、行きたい高校までの道のりを忘れてしまって1人焦っていた。周りの人に聞いて見ればいいものの、焦っていた私は、そこまで頭が回らなかった。


「なぁ、君もしかして、ここの高校に向かおうとしてる?」


私が焦っていて泣きそうになっていると、突然私と同じ歳くらいの制服を着た男の子に話掛けられた。

彼は自分のスマホの画面を私に向けてそう言ってくる。彼のスマホの画面には地図が写っていて、私が受験する高校が行き先になっていた。


「は…はい…そうですけど…えっと…」


焦っていた上に、いきなり男の子に話掛けられた私は頭がパニックになっており、その男の子とまともに喋る事が出来なくなっていた。


「って事は、君もここの高校に受験するんだね? よかったら僕と一緒に高校まで行かない? 君、迷子見たいだし、僕もその高校を受験するしさ」


その男の子は、そう言って私に笑い掛けてくる。自分が受験する高校までの道のりを知らなかった私は、彼の提案にもちろん乗る。そう言って私と彼は一緒に高校行く事になった。

 

もう、おわかり頂けただろうか? 一緒に行こうって誘ってくれた彼が荒井君だ。背は私より少し高く、前髪が少し長めだが、よく見てみると顔、イケメン、道に迷ってる私を助けてくれるって言う事は性格も優しいのだろう。でも、何で私が迷子ってわかったんだろう?


「あ…あの ちょっといいですか?」


「ん? どうした?」


「何で、私が迷子だってわかったんですか?」


私は思い切って彼に聞いて見た。


「何でって、そりゃ道のど真ん中で、泣きそうになりながら、周りをキョロキョロしていたら誰だって迷子に見えるだろ?」


「た…確かに… 」


私は自分で聞いていて恥ずかしくなってくる。そんな事になってたんだ私…


「で…でも、何で私がその高校を受験するってわかったんですか?」


「ん? それは僕と同じ中学生くらいの人だったし、それに今日高校受験の日だし、この辺の高校と言えば、僕達が受験する高校くらいしか無いからねそれに、僕はその高校までの道のりを知っているのに、その受験する高校までの道を迷ってる人を放っておく事は出来なかったんだ クラスメイトになる人かも知れないしね」


「なるほど…」


顔がイケメンの人は心までイケメンだった 私達は無事に高校に着く事が出来た。私は私と一緒に高校に行ってくれた彼に礼を言って、私達は別れた。そこからは前日まで勉強をしていたせいもあってか、順調に問題を解く事が出来た。多分、自分の志望した高校には合格出来ただろう。 これも彼のおかげだ。彼が居なければ、きっと私は遅刻して、高校を受験できないでいただろう。また彼に会って、改めてお礼を言いたい! 私も彼も一緒の高校に合格していればいいなと思っていた。


 それから高校受験を終えた私は、彼の事を忘れる事は無かった。毎日思い出していた。それから日が進み、私は志望した高校に合格し、中学も卒業する事が出来た。その間も彼を忘れる事は無かった。そして、高校に入学して、私の入った教室に彼の姿を見つけた時、運命だ!!って思った。彼を見た瞬間に胸がドキドキした きっとこれは恋と言うやつなのだろう。クラス全体の自己紹介で彼の名前はわかった。彼の名前は荒井良弥君と言う名前だ。

 

 私は彼に話掛けようと思ったけど、やめた。きっと彼は私を見ても何もわからないと思うから。今は髪は染めて金髪になったけど、中学の頃の私は黒髪で眼鏡も掛けていて、地味だった。でも、私は地味だった私を変えたいと思った。だから髪を金髪にして、眼鏡も外してコンタクトにした。それもこの学校の校則が緩いおかげもあって変える事ができた。でも、彼に会って思った…私、金髪だし、ギャルに見られて無いかな? 彼に怖がられたらどうしよう? メイクなどはしてないので大丈夫だとは思うのだが、心配だ。それに怖がられたらショックだ… と言う想いもあって私は彼に話掛けるのをやめた。


 でも、話かけないと彼との仲は進展しない。ただのクラスメイトだけの関係になってしまう… でも話掛けて、ギャルだと思われたら嫌だし… 私がどうしようか考えていると、彼との出来事がまたあった。それは、私が朝、高校に向かっていると、突然、男にカバンを盗られた。ひったくりと言うやつだ。カバンを盗られた私は、とりあえず近くの交番に行き、警察に事件の経緯を言って着いてきてもらった。犯人を見つけた私は、警察の人に先周りしてもらって、挟み撃ちにする作戦を実行して貰った。でも、追いついてびっくり!!何と、犯人が立っている前にあの彼が立っていたのだ。そして、私が彼にその男にカバンを盗られた事を大声で伝えると、彼はその男に頭突きをした。 


カッコイイ… 思わず小声で言ってしまった。彼は男からカバンを取り返してくれた。彼にまた、助けられてしまった…


 その後、男は警察官に警察署に連れて行かれた。私は彼に礼を言おうと思ったのだが、彼はすごいスピードで学校に行ってしまった。


 学校に着いて、教室に入った私は、勇気を振り絞って彼に声を掛けた。声を掛けたら彼は普通に喋ってくれた。よかった…!! 怖がられずに済んだ!! 


 ここ、数週間で彼を見て思った事は、彼には友達がいない。 何で居ないんだろう? 彼はこんなにいい性格をしているのに!! 顔もイケメンだし、女の子にモテる者だと思っていた。でも、彼全然モテてない!! そこに関しては逆によかったんだけどね… 私が狙ってるし! 私がゆっくり彼を落としていけばいいと思っていた。それなのに…それなのに、彼には、姉がいた!しかも、我が校の生徒会長で、美人で、モテて、何でも出来ると言う完璧な姉が!!まだ姉だけの関係なら問題無いのだが… 今日、一緒に帰って思った彼は恐らくシスコンだ… しかも重度の!! そして、恐らく姉の方も重度のブラコンだ!! …完璧美少女の生徒会長がまさかの重度のブラコンだったなんて…


それにしても何て事だ! 彼から女性の臭いもしないし、順調に行けると思ってたのに!! とんでも無い人が敵にいた!!恐らく私が彼女に勝てる所は無いだろう…だって…仕方ないじゃない!!彼の姉の方が100倍可愛いんだから!! 


 でも、私が彼、荒井良弥君を諦めるつもりはない!! 意地でも振り向かせて見せる!!そのためにも私から彼に猛アプローチしなきゃ!! 覚悟してよね!!荒井君!!

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