お姉ちゃんと品川さん?

 僕は今、とても驚いている。なぜなら今日、品川さんと一緒に帰る事になって校門を出て、品川さんと何気ない話をしながら歩いていると、急に後ろから人が倒れるような音が聞こえ、後ろを振り返って見ると生徒会の仕事でまだ学校にいるはずのお姉ちゃんが、道路でこけていたからだ。綺麗に歩くお姉ちゃんでも、こける時はあるんだな。お姉ちゃんは生徒会の仕事は終わったのだろうか。


「……何してるの?…お姉ちゃん…」


僕は驚きすぎて、道路から起き上がったお姉ちゃんに冷静に聞いている。人間って驚きすぎると冷静になるんだな。 


「あら、良弥じゃない こんな所で会うなんて偶然ね?」


「そうだね!! こんな所でお姉ちゃんに会えるなんて、僕はついてる!!」


僕はお姉ちゃんに会えた事に驚いてはいるが、嬉しい感情もあった。物凄く、テンションが上がっている。


「会えた事も良いけど、良弥…その女の子は誰? ずいぶんと仲良い見たいだけど?」


何故だろう? お姉ちゃんの機嫌が悪く見える。何か嫌な事でもあったのだろうか? ま、機嫌が悪いお姉ちゃんも可愛いけどね!!


「あ…荒井君!! お姉ちゃんって…まさか生徒会長の荒井先輩と姉弟だったの?」


僕が品川さんとの関係をお姉ちゃんに話そうとすると突然、品川さんが喋りかけてきた。


「うん 品川さんには話して無かったけど…僕達は姉弟なんだ」


「へーそうなんだ!! まさか、荒井会長と姉弟関係だったなんて、私、びっくりしちゃったよ!!荒井会長!! こんにちは!私は荒井君と同じクラスの品川友里って言います! 荒井君とは仲良くさせて貰ってます!!」


「あら、これはご丁寧にどうも 私の事を知ってる見たいだから、自己紹介は遠慮させて貰うわね 私も良弥と仲良いわよ どれくらいかって言うとお互いの体のホクロの位置まで知り尽くしてるんだから」


お姉ちゃんは自慢げに言った。お姉ちゃん…!!僕達って仲良いんだね!! お姉ちゃんの口からそれだけを聞けて僕は満足だよ!! それよりも、お姉ちゃん…お互いの体のホクロの位置までは言わなくても良かったんじゃ無いかな?


「……ねぇ? 荒井君? 今の話を聞いてる限りだとずいぶんと荒井会長と仲良いんだね……?」


あ、あれ? 品川さん? 品川さんの機嫌も何か悪くなった? さっき学校の門で見せた可愛らしいニコニコ笑顔はどうしたんだ? ん? もしかして、これって空気が悪いって言うのか?


「あ… 私、ここで曲がるから…荒井君は真っ直ぐ?」


僕達は歩きながら話をしていると真っ直ぐ行く道と左に曲がれる道とで別れる場所まで来ていた。品川さんはここで曲がる見たいだ。ちなみに僕とお姉ちゃんの家はここから、真っ直ぐ歩いた所にある。


「うん 僕達はこのまま真っ直ぐだから、品川さんとはここでお別れだな」


「そうだね… ね、ねぇ荒井君 スマホ持ってるよね? よかったら連絡先交換しようよ!! 私、荒井君ともっと話してみたいし!」


「べ…別に良いけど…」


ごめんなさぁぁぁい!! お姉ちゃん!! 僕は今、お姉ちゃん以外の女性にドキッとしちゃいました!! だって、こんな可愛い子がこんなに近くまで寄ってきて、上目遣いで頼まれたら世の高校生男子は誰でもドキッとしちゃうでしょ!?なぁ! なぁ!!


 こうして僕と品川さんはお互いにスマホを出し、連絡先を交換した。おぉ…これは感動ものだ。僕のスマホの連絡先に家族以外の名前がある。しかも、同じクラスで結構可愛い子の!! あ…何かお姉ちゃんの顔が般若見たくなってきたぞ? 本当に何があったの? お姉ちゃん


「あ…ありがとね!! 荒井君!! 私、荒井君にまた連絡すると思うから、必ず返信してね!!絶対だよ!!」


品川さんは元気良く言うと、そのまま曲がり角を曲がって行った。品川さんの機嫌が直ってくれた見たいで良かったです。


 品川さんと別れた後、僕とお姉ちゃんも真っ直ぐ歩いて帰った。この日のお姉ちゃんの機嫌はすこぶる悪かった。品川さんと別れた後から翌朝になるまで、お姉ちゃんは僕と口をきいてくれなかった。僕は死にそうになりながらも、その日を何とか耐えきった。僕、お姉ちゃんに何かしたっけ?






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