人助け?

 カラオケ店の前で本田先輩と別れた後、僕とお姉ちゃんは真っ直ぐお家に帰った。その後は、お母さんが作ってくれた夕飯を食べ、お風呂に入った。そしてリビングでくつろいでいると、本田先輩に渡された手紙の事を思い出し、夕飯で使った皿洗いの手伝いを終えたお姉ちゃんに手紙を渡す。

「お姉ちゃん、これ本田先輩に渡すように言われたんだけど」

「はぁまたね… ありがとう良弥」

お姉ちゃんは少し憂鬱そうな表情をしたと思ったら、僕から手紙を受け取り、手紙の内容を読み出した。それにしても、またねって事は、お姉ちゃんは前にも本田先輩から手紙は受け取った事があるのか?

「やっぱり、ラブレターだったのね… 本田君、こうやって、月に1回私にラブレターを書いて、毎回違う方法で私に手紙を渡して来るのよ 今回は良弥を使ったのね それにしても彼、しつこいわね 私、断ってるのに」

お姉ちゃんにその話を聞いて、お姉ちゃんも大変なんだなと思った。ま! 最終的にお姉ちゃんは僕が貰いますけどね!! 本田先輩もお疲れ様です。お姉ちゃんは諦めて下さい。


 翌朝、今日はお姉ちゃんは、生徒会長の仕事があるので、お姉ちゃんは先に学校に行った。今日は1人登校だ。そう言えば、昨日お姉ちゃんの家事の手伝いを僕も手伝うと言っておきながら、全然してないな… やらかした… お姉ちゃんに嫌われたらどうしよう… お姉ちゃんに嫌われたら人生終わりだ…とそんな事を思いながら歩いていると、突然、1人の男が僕にぶつかってきた。

「テ、テメェ!! 邪魔なんだよ!!」

男が僕にぶつかってきて、そんな事を言ってきた。僕よりぶつかってきた相手の方が悪い気もするが、僕がボーッとしてたのも事実なので、その男に謝ろうとする。すると後ろの方から女性の大きい声が聞こえてきた。

「そ、その人!!私のカバンを盗ったんです!!その男の人を捕まえて下さい!!」

女性がそう言うので、僕は男の方を再度見る。すると、その男はうちの学校の制カバンを持っていた。男は制服では無くジャージを着ていて、年齢も見るからに僕と年が近そうには見えないくらい老いていた。男はハゲ気味の髪型をしており、無精髭を生やしていた。

「テメェ!! 早くどきやがれ!!どかねぇとぶっ殺すぞ!!」

男が急に僕にそんな事を言ってきた。僕は焦った。何だよ!?この展開!? まるでこの展開、刑事ドラマじゃねぇか!! いや、ちょっと違うか? いや、あってるのか? ダメだ 訳わかんなくなってきた… 僕が男から逃げようとすると、僕が焦っていたせいか、僕は思いっきりずっこけてしまった。僕がずっこけたのが原因で男に頭突きをしてしまった。僕より男の方が身長が低いのと、男が僕がコケたら男に頭突きはできる程の距離にいたのだ。僕が頭突きをすると、男は軽くふらついて、尻餅をついた。すると、後ろから女性が追いついてきた。女性は僕と同じ学校の生徒のようで、僕の学校の制服を着ていた。


「あなた!! 私のカバンを奪って行きましたよね? 覚悟して下さいね? 私、あなたを追いかける前に近くの交番に行って、おまわりさんにも来て貰いましたからね?」


女子生徒が前方を見ながら言う。僕も前方を見ると、警官が既にやってきていた。男はその後、警官に連れて行かれていた。僕はその姿を見て、ホッとした。学校に遅れそうだったので、僕は走って学校に向かった。女子生徒から声を掛けられた様な気もするが、そんな事気にしてる場合じゃない!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る