お姉ちゃんと副会長とカラオケ?

  今、僕とお姉ちゃんと本田副会長の3人で、カラオケに向かっている。本田先輩が、お姉ちゃんを誘ってカラオケに2人だけで行こうとしてたのだが、僕がそうはさせない。僕も一緒にカラオケに着いて行く事にしたのだ。僕が着いて行く事によって、本田先輩とお姉ちゃんが2人っきりになる事はない。それに、カラオケに着いて行ったらお姉ちゃんの美しい歌声も聴く事ができる。本田先輩、あなたにだけ、お姉ちゃんの歌声を聴くという事は僕がさせませんよ! そういえば、本田先輩から貰ったお姉ちゃん宛ての手紙ってお姉ちゃんに今、渡した方がいいのだろうか?

 僕が手紙の存在を思い出したと同時に、学校の近所のカラオケ店に着いた。受付で、フリータイムで歌を歌えるようにしてもらい、店員さんが用意してくれた部屋に入る。

「カラオケに来た事だし 誰から最初に歌おうか? 荒井さんが先に歌うかい?」

そう言う本田先輩にお姉ちゃんが淡々と答える。

「いえ、私はまだ、いいわよ 良弥、貴方が最初に歌ったら?」

僕はお姉ちゃんにそう言われる。確かに最初の方が僕は歌いやすいかも知れない。僕は音痴なので、歌を上手に歌う事ができない。どれくらい下手かと言うと、カラオケで全国採点をしてもらったら、70点を取れればなかなか良い点数だと思えるくらい下手である。僕は、お姉ちゃんの言う事に頷くとカラオケ店に置いてあるタブレットで、適当に知ってる歌を入れて、歌を歌い始める。歌を歌い終えると本田先輩とお姉ちゃんが感想を言ってくる。

「荒井さんの弟って、音痴なんだね… でも、大丈夫!! これから上手に歌えるようになる!!きっと!!」

「大丈夫よ、良弥 人の歌い方なんて皆それぞれよ」

(音痴な良ちゃんも可愛くて素敵!!どんな良ちゃんでも私は好きよ!!)

本田先輩、はっきり言うなー 何か腹立つなー まー事実だからしょうがないんだけどね!! お姉ちゃんには何言われても褒められてるようにしか聞こえないなー♪

「次は、誰が歌おうか? 俺が先に行こうか? 荒井さん」

「そうね、本田君が先に歌ってちょうだい」

(私はもう、良ちゃんの歌声を聴けて満足したから、帰っても良いんだけどね)

お姉ちゃんが本田先輩に先に歌うように言うと、本田先輩は今、流行りの曲を入れて歌い始める。本田先輩はカッコを付けて、少し、踊りながら歌う。何故だろう… 何かすごく腹が立ってきた。カッコ付けてきてるから腹が立ってるのかな? でも、本田先輩、歌は普通に上手いな。羨ましいなー 

「ふぅ、歌った歌った!!さ、次は荒井さんの番だな!」

本田先輩が歌い終わり、いよいよお姉ちゃんの番だ。お姉ちゃんは女性ものの曲を入れて歌い始める。

「〜〜〜♪ 〜〜〜♪」

お姉ちゃんが歌ってる姿はとても綺麗だった。写真を撮って、写真のコンテストに出したら余裕で優勝してしまいそうな程、綺麗だった。後、歌もめちゃくちゃ上手い。今、売れてる歌手よりも上手い。ん?流石にお姉ちゃんを過大評価しすぎだって? いやいや冗談抜きで本気で上手いんだって。いや、まじで。お姉ちゃんが歌い終わると、本田先輩が感動して涙を流していた。

「荒井さん、歌うのうますぎだろ どこの芸能人だよ!!」

「嫌ね、本田君 流石に過大評価しすぎよ 私は芸能人でも何でも無いわよ 私は、ただの普通の女子高生よ」

(誰のものかって言われると、私は良ちゃんのものかな!!)

 僕達はその後も歌い続けた。そして、気がつけば今は午後の7時半。いつもの僕達ならとっくに家に帰ってる時間だった。僕達は、ここらでカラオケを終える事にした。僕達はお会計を済ましてカラオケ店から外に出る。

「荒井さん、今日はカラオケに付き合ってくれてありがとう!!とても楽しかった!!弟さんも今日は付き合ってくれてありがとう!!」

本田先輩はお姉ちゃんと僕に感謝の言葉を送った。僕とお姉ちゃんも本田先輩に感謝の言葉を返す。感謝の言葉を返したら、本田先輩が僕に近づいてきて、耳元で囁いてきた。

「帰ったら、荒井さんに今日の昼休みに君に渡した手紙を渡しておいてくれよ?」

本田先輩が囁いた言葉に僕が頷くと、本田先輩は顔に笑みを浮かべ、僕とお姉ちゃんに別れの挨拶をして、そのまま走って帰って行った。

「本田君に何、言われたの?」

お姉ちゃんは不思議そうに顔を傾けて、僕に聞く。お姉ちゃん、貴方が顔を傾けると全国の男子高校生はキュン死するから、顔を傾けるのは弟である僕の前だけにしようね?

「別にどうでも良い事だよ」

僕はお姉ちゃんの質問にそう答えると、僕とお姉ちゃんは自宅へと帰って行った。それにしても、お姉ちゃんの歌声、本当に綺麗だったな〜

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