お姉ちゃんと副会長?

 午後の授業も全て終わり、僕は帰りの支度をして、校門前に向かおうとする。いつもお姉ちゃんと一緒に帰る時は校門前で待ち合わせする事になっているのだ。今日は、お姉ちゃんと一緒に登校だけじゃなくて、下校もできるなんて、僕はやっぱり幸せ者だ。僕は教室を1番に出る。他のクラスはまだ、SHRを終えてないらしい。僕が校門前まで来ると、お姉ちゃんが既にいた。僕がお姉ちゃんに声を掛けようとすると、誰かがお姉ちゃんの名前を呼ぶ。その声の正体は、イケメン副会長だった。イケメン副会長はお姉ちゃんに近づくと声を掛ける。

「荒井さん、今帰り? 帰るなら俺の家と荒井さんの家の方向が一緒だったような気がするから、俺と一緒に帰らない?」

イケメン副会長は僕がいる事に気がついて無いのか、僕に声も掛けずにお姉ちゃんと話す。

「え、えーと、本田君 私、実は先に一緒に帰るのを約束してる人がいて… あっ…良弥、来たのね 帰るわよ そういう訳だから本田君、せっかく誘ってくれたのにごめんなさいね」

お姉ちゃんは僕に気付くと、イケメン副会長に断りの言葉を入れて、校門前を後にしようとする。イケメン副会長の名前は、本田って言うのか…

「ま、待ってくれよ! 荒井さん! それなら弟さんと俺と3人で一緒に帰らないか?」

イケメン副会長の本田先輩は、慌ててお姉ちゃんを引き止めて、そんな提案をする。

「あら 良弥と本田君は知り合いだったの? 本田君、私は今日は家に帰ったらしないと行けない事があるから、早く帰りたいのよ 本田君を急がせるのも悪いし、やっぱり今日は遠慮させてもらうわね」

「だ、大丈夫だ! 荒井さん! 俺歩くの結構速いし、だから、荒井さんの歩くスピードに合わせる事もできると思うし… 問題ないと思う!!」

本田先輩は、どうやらお姉ちゃんと一緒に帰りたくてしょうがないらしい。でも、本田先輩しつこい男は嫌われますよ?

 お姉ちゃんと本田先輩が話合ってる間に他の生徒が集まってきた。他のクラスもSHRが終わったらしい。お姉ちゃんは人気があるため、人が集まって来る。本田先輩も人気なのか、彼の周りにも人が集まって来る。これ以上人が集まると、周りの迷惑になるので、結局、僕とお姉ちゃんと本田先輩の3人で帰る事になった。お姉ちゃんの機嫌が悪そうに見えたのは気のせいだろう。


 私、荒井愛梨は怒っていた。理由は、今日はせっかく2人で一緒に良ちゃんと帰れると思ったのに、こんな言い方は悪いけど邪魔が入ったからだ。私は、今日は頑張ったら良ちゃんと2人っきりで帰れると思ったから、今日の学校での1日は頑張れたのに、それが何!? 本田君とも一緒に帰るってどういう事なの? 校門前で良ちゃんを待ってたら、何故か、本田君が先に来て、一緒に帰ろうとか言い出すし、良ちゃんが後から来たから、私は良ちゃんと2人で帰りたかったから、本田君には悪いけどそのために嘘も付いたのに!! それが今度は何!? 今度は他の生徒達が校門前に私と本田君の周りを囲い出すし、これ以上私達が居たら、周りの人とか、近所の人の迷惑になっちゃうと思うから、私はしょうがなく、本田君と良ちゃんと私との3人で一緒に帰る事にした。あーもう!! 本田君のバカ!! 私は本当に良ちゃんと2人っきりで帰りたかったのに!! そんな私の気持ちを知らないであろう本田君が私に話掛けてきた。今は、私と良ちゃんと、本田君とで3人で一緒に帰っている。

「あ、荒井さん、よ、良かったら今から俺と一緒にカラオケに行かないか?」

本田君は、私の話を聞いてなかったのかしら? 嘘だけど、今日は私は家に帰ったらやらなくちゃいけない事があるから、早く帰りたいと言っているのに、何故か本田君は私をカラオケに誘って来た。

「本田君、さっきも言った通り、私は家に帰ったらやらないといけない事があるから早く帰りたいのだけど?」

「そ、それって、生徒会絡みの仕事か?それなら、俺も手伝うよ 俺も副会長だしね!!だから俺と一緒にカラオケに行こう!!」

「違うわよ お家で、やらないといけない事なのよ、だから今日は悪いけど、お家に真っ直ぐ帰らせてもらうわね ごめんなさいね」

私はそう言って、本田君の誘いを断った。すると、良ちゃんからこんな提案がきた。

「お姉ちゃん、お家でやらないといけない事って、もしかして、お母さんに家事の手伝いを頼まれてるのか? それなら僕も一緒に手伝うよ お姉ちゃんも生徒会長の仕事ばかりで疲れてるだろうし お姉ちゃんだって遊びたいだろうし、だから、僕と本田先輩と3人で一緒に行こう!!」

良ちゃんがそんな提案をしてきた。それだと、本田君がいるけど、良ちゃんと一緒にいれるし、良ちゃんの素敵な歌声が聞けるものね!! っていうか良ちゃん、あなたは何て良い子なの? 私の嘘だけど、私の家事の手伝いをしてくれるって? キャーーー!! 何その超魅力的な話!? 明日、わざと生徒会の仕事を溜めて、家に持ち帰る事にして、それで、良ちゃんと一緒に2人っきりで生徒会の仕事をやる事にしよう!! 良ちゃん、悪いけど明日よろしくね? 私が良ちゃんと2人っきりで一緒に居たいだけだから許してね? 私は良ちゃんの提案に乗った。こうして、私達3人はカラオケに行く事になった。

「何で、弟まで来るんだよ…!! 俺は荒井さんと2人で行きたかったのに!!」ボソッ

本田君が何か言ったような気がするが、気のせいだろう。それよりも良ちゃんの歌声が聞けるの楽しみだな〜!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る