聖なる夜はあなたに祝福を(パーティー編)


継「それはそっち。あぁそこじゃないよ、うん、そこそこ」


カ「キュルル~…、どう~…?」


キュ「もうちょっ…とっ!付けれた!」


翌朝、朝食も取り継月達はクリスマスツリーの飾り付けをしていた

高いところは博士と助手、他はそれぞれの

身長に合った高さの所を担当していた

カラカルはキュルルを肩車していたが


フ「なんだか一年前を思い出すね~」


継「あの時はフルル達もいたもんね」


そして箱の中の飾りがひとつ、またひとつと

減っていき、一番上に付ける星飾りだけとなった


か「これは…博士達に任せた方が良さそうだね…」


かばんが木の頂点を見上げながらそう呟いた


継「いや、これはキュルルに付けてもらおうよ。博士、助手、二人も頼める?」


博「わかったのです」


助「任せるのです」


継「はいこれ」


キュ「うん!」


継月がキュルルに星飾りを渡すと博士と助手が

キュルルの両脇をがっしりと掴む


博「いくですよ」


二人が羽を広げふわりと飛び立つとゆっくり

木の頂点へ向かう


助「さぁ、着いたのです」


博「さっさと星を付けるのです」


キュ「うん」


キュルルが慎重に星飾りの下の窪みを木の先へと合わせていく


「…っ…。…出来たぁ!」


キュルルが星飾りを付けたのを確認すると

博士と助手はゆっくりと地上へ降下していく


か「これで、ツリーの飾り付けは完成かな?」


継「そうだね。あとは…」




研究所のキッチン


「さて、クリスマスディナーを作っていこうか」


継以外『はーい!』


アムールトラと博士と助手はライブステージに残り、継月とキュルル、カラカルとサーバル、かばんは研究所へと戻り、調理へ

担当は


キュルルとカラカルがカレー

(尚かばんの監督の元での作業)

かばんとサーバルがケーキ

継月がメインディッシュ


といった具合となった


カ「キュルル、大丈夫なの?」


キュ「う、うん…。多分…」


か「落ち着いて。ゆっくりやれば大丈夫」


サ「かばんちゃん!なまくりーむってこんな感じでいいのかな?」


か「うん。上出来だよ、サーバル」


それぞれの作業を横目で見ていた継月も自分の作業に取りかかった


継「…さて、取りかかるか」



まず、バターを溶かしておいたフライパンに

牛乳、薄力粉、粉末のコンソメを入れて加熱、

とろみが出たらそこで火を止める

次に、キノコ類の石突きを切り胞子を洗い流して

食べやすい大きさにカット

人参、玉葱、じゃがいもを切って、

じゃがいもは水に晒して灰汁を抜いたら

耐熱皿に移して塩、コショウ振ってレンジで

3分加熱


継「あとは…」


継月は大量の鮭の切り身の入ったタッパーを

冷蔵庫から取り出した


か「あっ、臭み抜き?手伝うよ」


継「あぁ大丈夫、それは今朝のうちにやっておいたから」



時間は遡りみんなが起きる前…


継『さてっ…と』


鮭は一度三枚に下ろして、一人前分の幅に切っていく

そして切り終えて並べたら、酒と塩を全体的に振りかけて10分放置

あとは、流水で軽く洗いキッチンペーパーで水気を拭き取る

これで、臭み抜きは完成だ


※丸一匹釣ってきて下ろす所からやる人はそうそういないと思うので市販の切り身でOKです



か「今朝がた何してたかと思ったらそれをやってたんだ…」


継「釣って一晩寝かせてからやるのがいいんだよ」


あとは、広げたアルミホイルに鮭の切り身、

バター、切った人参、玉葱、じゃがいも、

キノコをのせて、再度暖めたホワイトソースを

掛け、ホイルを畳んで包んだらオーブントースターに入れて15分焼き、

最後に胡椒を軽く振り、刻んだパセリを振ったら…


カ「あら?」


サ「美味しそうな匂い!」


キュルルルルル…


キュ「あっ…///」


か「ふふっ」


継「よしっ、出来た」


鮭のホイル焼きクリームソース仕立ての完成だ…!




ライブステージ


全員『かんぱーい!』


そしてお昼頃、ついにクリスマスパーティーが開始した!


博「はやくおかわりを寄越すのです!」


助「待てないのです、さっさとするのですよ!」


か「はいはい」


カル「はいはい!一列に並んで~!」


カレーを堪能したり


ナ「このケーキ、美味しいわね」


アリ「はい!甘酸っぱくて美味しいですね!」


サ「ふっふーん、私が作ったんだよ~!」


アー「サーバルさんが…!?すごいですね!」


カラ「あんたはかばんさんの手伝いをしただけでしょうが…」


かばんとサーバルのケーキを堪能したり


ヒョ「なんやこれ!?」


イリ「まさかあの魚がこんなうまい物に変わるだなんて…」


ド「芸をしてないのに、こんなご褒美もらっちゃっていいのかな…!?」


フォ「いいと思いますよ。継月さんも言っていたでしょう、『俺からの気持ちだから遠慮なく食べて』と」


継月の作ったホイル焼きを堪能する者もいた

どれもこの世代のフレンズにとっては馴染みのない未知の物なので、最初は恐る恐る食べたフレンズも一口食べたらあとはその旨さの虜となっていった


継月はというと、みんなから少し離れた木の辺りにいた

手に二人分のホイル焼きを持って


継「そんなところで見てるだけじゃなくて

姉さんたちもこっちに来たら?」


木の上の何もないところに声を投げる継月

すると黄色い光と青い光が灯り、継月の元へと

ゆっくり降りてくる


カタ「まったく…ワレワレをサソうだなんて、おまえもモノズきだな」


カン「もしワレワレがココにコなかったら、

イッタイどうしていたのだ?」


継「ううん、二人なら絶対来るって思ってた。

だって…ほんとはこういうの好きでしょ?」


カタ カン「「うっ…」」


そう、実はこの二人ミステリアスな雰囲気に

反してパーティーなどの催し物が好きなのだ


継「まぁ無理にとは言わないけどさ、折角だし楽しんでいってよ」


継月はホイル焼きの載った皿を二人に渡すと

キュルル達の方へと踵を返して戻った

その後ろ姿を見た後、ホイルを開けた二人は

その匂いにゴクリと唾を飲み、鮭の身を食べた


カタ カン「「ウマい!!」」


フレンズ達の所へ戻った継月にキュルルが

近づく


キュ「パーティー、大成功だね!」


継「うん」


ト「やっほー!」


そこにトナカイとエゾヒグマ、カムチャッカオオヒグマ、コディアックヒグマがやってきた


キュ「あっ、トナカイさん!」


継「エゾヒグマ姉さんにカムチャマにコディアック姉さんも来たんだね」


エ「お前から誘われたからな。うんうん、いいなぁこの感じ、懐かしいなぁ」


カム「継りんひっさしぶり~!」


コ「久しぶりですね、継月さん」


キュ「三人とも継月の知り合い?」


継「まぁね、エゾヒグマ姉さんに

カムチャマことカムチャッカオオヒグマ姉さん

それとコディアックヒグマ姉さん。

三人ともLLベアーズっていう…

んまぁ兎に角大きい物好きの集まりなんだ」


カム「この子は?継りんのお友達?」


継「キュルルだよ。この辺りを一緒に旅したんだ」


キュ「よ、よろしく」


カム「そーなんだ~。ボックりんはカムチャッカオオヒグマのカムチャマ♪」


五人が話しているとイエイヌも継月を見つけて合流した


イエ「継月さん!キュルルさん!」


キュ「イエイヌさん!どうして?」


継「俺が誘ったんだ、折角だからね。どう?久しぶりのクリスマスパーティー、楽しんでる?」


イエ「はい!とっても楽しいです!」


アム「おやっ、LLベアーズの三人も揃ってるんだね」


更にそこにアムールトラも加わる


エ「アムールトラ…!」


アム「久しぶりだね、エゾヒグマ」


エ「お前、ビーストになった筈じゃ」


アム「ついこの間まではね」


エ「もう…大丈夫なのか?」


アム「うん、キュルルや継月達のおかげでね」


カム「どういうことなの?継ちゃま?」


継「俺にもよくわかんない。でも、キュルルの

フレンズが大好きって気持ちと、ビーストだった頃のアムール姉さんを信じようとした気持ちが、奇跡を生んだのかもね」


するとライブステージの方から歓声が上がる

ステージにはサンタコスをしたPPPの姿が


プ『みんなー!パーティーは楽しんでるかしらー?』


イエーイ!


キュ「どうしたのあれ!?」


継「ツリーの飾りの近くにあったから持ってきた。んで着てみないかって話したら…」


か「あっさりOKが出たってことか…」


継「何かマーゲイがすっごい乗り気だったけどね」


プ『それじゃあ一曲目行くわよ!「大空ドリーマー」!』


そのあとはPPPから始まり、

これまたサンタコスのサーバル、アライさん、フェネックの三人でハッピービスケット

カラカルとキュルルもサンタコスをして

サーバルと三人でジャパリダンスを披露

何故か参戦したメキシカンなラッキービーストの歌、ナミチスイコウモリの蝙蝠晩餐会に

継月はイエイヌ、かばんとの連続デュエット

いてもたってもいられなくなり、飛び入り参加したカンザシフウチョウとカタカケフウチョウによる月と太陽

最後はかばん、サーバル、カラカル、キュルル

アライさん、フェネック、継月、PPPとマーゲイ(勿論彼女もサンタコスした)、カンザシと

カタカケの主役オールスターでのようこそ

ジャパリパークへでパーティーは幕を閉じた


余談だが継月とかばんもサンタコスをして

それを見たサーバルとフルルのボルテージが

上がったとか上がってないとか…




翌朝


か「昨日のパーティー、大成功だったね」


継「うまくいってよかったよ」


台所で朝食の準備をしているとドタドタと

慌ただしい足音が聞こえ


キュ「継月!かばんさん!」


バンッ!とキュルルが扉を開けて中に入ってくる


か「どうしたのキュルル?朝から」


キュ「これ見てよ!」


キュルルは手に持っていたスケッチブックと

色鉛筆のセットを二人に見せた


「朝起きたらこれが僕のところにあったんだ!」


継「…あぁなるほど。それ、もしかしたら

サンタさんからのプレゼントかもね」


キュ「…?どういうこと?」


継「実はクリスマスにはもうひとつ、言い伝えがあってね。それは、一年間いいことをしていた子供にはサンタクロースというヒトから

その子の望んだ贈り物が届くっていうものなんだ。キュルルはフレンズの為に色々頑張ってたからね、そのご褒美じゃないかな」


キュ「そうなんだ…」


そして朝食を取り、キュルル達はまた旅をすることに


「それじゃあ、僕たちいくね!」


サ「また来るね!かばんちゃん!」


か「うん、気を付けてね」


継「カラカル、アムール姉さん。引き続きキュルルの事、任せたよ」


アム「任せて」


カラ「サーバルのことはいいのかしら?

この子すぐドジるし」


サ「あーっ!カラカルひどーい!」


キュ「まぁまぁ…。それじゃ、また!」


継「元気でね~」


キュルル達が見えなくなるまで見送り


「メリークリスマス」


キュルル達が見えなくなった所で継月がポツリと呟くとかばんが継月に話しかけた


か「にしても兄さん、なんであんなことを」


継「実際にサンタの言い伝えはあるからさ。

嘘は付いてないよ」




昨夜


か「ほんとにやるの?兄さん」


継「クリスマスと言ったら、プレゼントだからね」


継月の手元にはスケッチブック(継月直筆の

ジャパリパークのロゴ入り)がかばんの手元には色鉛筆があった

継月とかばんはゆっくり扉を開けてキュルルの眠る部屋に入り、キュルルとカラカルとアムールトラを起こさないように慎重に歩く


キュ「ううん…」


継 か「「…!」」


キュ「Zzz…」


継 か「「ホッ…」」


継月とかばんはそっとキュルルの枕元にプレゼントを置くと、そそくさと退散していった




か「いつかサンタクロースに会いに行くとか言うんじゃない?」


継「どうだかね。それじゃあかばん、俺はそろそろ向こうに戻るから。まだこっちでもクリスマスの準備しなきゃだし」


か「うん、またね」


継月はゲートを開き、自分の世界へと戻っていった











後日談おまけ


かばんの部屋


サ「そういえばかばんちゃん」


か「なに?サーバル?」



研究所の外


アム「継月」


継「どうしたの?アムール姉さん」




サ アム「「キュルル(ちゃん)がクリスマスに

貰ったプレゼント。あれかばんちゃん(継月)が用意したんだよね?」」


継 か「「…」」

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聖なる夜はあなたに祝福を 継月 @Suzakusaiko

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