聖なる夜はあなたに祝福を(準備編)
針葉樹を取りに向かうキュルル達を乗せた
トラクターは雪山へと差し掛かっていた
サ「冷えてきたね…」
キュ「そうだね…」
キュルル達は継月達から貰った防寒着を着ていたがそれでも顔に当たる冷風が雪山の寒さを
感じさせる
カ「それにしても、あんたはこの毛皮着なくていいの?」
ア「あぁ。私、どうやら寒いのには慣れてるみたいなんだよね」
唯一防寒着を着ていないアムールトラを不思議に思う三人
キュ「不思議…僕たちと殆ど同じ格好なのに」
ラ『アムールトラハ、シベリア等ノ極メテ寒イ地域ニ生息シテイテ、他ノトラノ種類ヨリ毛ガ長イカラ、寒サニ強インダ。別名、シベリアトラトモ呼バレテイルテ、身体ハトラノ仲間デモ
大キク、ネコ科最大ノ亜種ト言ワレテイルヨ』
キュ「へぇ~」
サ「だからアムールちゃんをぎゅーってしたら温かいんだね!」
キュ「うん、何か安心するよね」
ア「なんだか照れるなぁ」
荒野エリア
助「と、言うわけで三人にも参加してもらいたいのです」
チ「へぇ~」
プ「クリスマスパーティー…か」
ロ「いいじゃねぇか!」
ライブステージ
助「実は明日、キュルル達の提案でクリスマスパーティーを開こうということになってて、
それでこの辺りを使いたいのです」
プ「もっちろん!」
助「あと、PPPのライブもすれば盛り上がること間違いなしです。それも頼めますか」
マ「いいですよ!」
助手は着々と会場のアポやパーティーへの勧誘を進め
サバンナエリア~ロバのパンや~
博「動くにはエネルギーが必要なのです」
博士はロバの焼いたパンを堪能し一息いれていた
か「メニューはどうしようか」
継「とりあえず、無難な所でケーキとカレーだろ。あとは…鶏肉があればいいんだけど…」
か「鳥の肉って…大丈夫なのそれ?」
継「オオタカやワシミミズクといった中~大型の猛禽類は小型の鳥も補食するからな。
それに肉食動物のフレンズもそこそこ居るし
そこは問題ないけど…そもそもの話、物がない可能性もあるし…」
継月はうーん…と唸ったあと何か閃いた
「そうだ、あれでいこう!」
ラ(キュ)『目的地ニ、着イタヨ』
トラクターが針葉樹林の前に止まり、
キュルル達が降りる
キュ「これが…針葉樹…」
カ「でっかいわね…」
サ「でもこれどうやって持っていくの?
ビーバーも居ないし…」
ア「私に任せて」
キュ「アムールトラさん…?」
ア「野生解放・獣」
アムールトラは前傾姿勢になるとドゥッ!と身体から大量のサンドスターを放出しだした
カ「あれって…!?」
サ「まさか、またビーストに!?」
そのままアムールトラは針葉樹の根元に向かって走りだし
ア「ゥウアアアアアアアアアアアッ!!」
ズドォンッ!と強烈なパンチを繰り出すと針葉樹はバキバキバキッと音を立てて倒れた
「…ふぅ、こんなものかな…。んっ?どうしたのみんな?」
アムールトラが振り返るとキュルル達は
ポカーンと口を開けていた
カ「あ、あんた…ビーストになったんじゃ…?」
ア「あぁ、さっきの?実はあの時以来、ビースト状態の自分も完全にコントロール出来るようになって。だからさっきみたいな事も出来たんだ」
サ「へぇ~!アムールトラちゃんすっごーい!」
カ「まぁなら良かったわ、兎に角これを積んじゃいましょ」
針葉樹を荷台に積み込み…
キュ「じゃあ、そろそr」
?「もしかしてさっきのすごい音、君たち?」
出発しようとキュルルがいいかけた所にフレンズが姿を現す
キュ「あっ、トナカイさん!」
ト「ひっさしぶり!元気そうでなによりだよ~」
サ「ひっさしぶり!半年ぶりくらい?」
ト「そんなに経ってないよ~。1ヶ月くらいだよ~」
キュ「そうだ!トナカイさんもよかったらこない?クリスマスパーティー」
ト「クリスマスパーティー?」
キュ「えっとね、クリスマスパーティーっていうのは」
キュルルはクリスマスパーティーについてトナカイに話す
ト「面白そう~!行く行く!で、どこでやるの?」
か「まったく…兄さんも注文が多いなぁ…」
一方かばんは出す料理も決まったため、
バスで食材の採取に向かっていた
遡ること小一時間前
継『とりあえず、メニューは決まったから、
あとは材料だな。かばんは、ケーキに使えそうな果物類、あとはカレーの具材とキノコ、
牛乳を手に入れて来てほしい』
か『なんか私の担当多くないかな?』
継『こっちの今の地理は殆どさっぱりなんだよね。だからかばんにその辺頼るしかないんだよ。その代わり、鳥に変わるメインは俺が取ってくるからさ…ねっ?』
か『はぁ…わかった。そういうなら』
か「まぁ、兄さんが用意する物は取るのに一番時間掛かるし、取れるかどうかも分からないものだからしょうがない…か。それに…」
かばんはクスッと笑い、後ろの座席を見る
「なんだかんだで請け負っちゃう私も私なんだけどね」
そこには継月から頼まれた材料の数々が所狭しと積まれていた
「あとは牛乳か…」
かばんはフリシアンのいる牧場へと向かった
継「…」
一方継月は、川で釣りをしていた
…しかし、思うように成果が出ていなかった
継月は一度垂らしていた釣竿をあげる
「…釣れないなぁ…」
?「どうしたんだー?」
継「…!エゾヒグマ姉さん」
継月が釣果の伸びに悩んでいるとそこに
エゾヒグマが現れた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ちょいとここで解説を
これは北海道の知人からの情報なんだが
けものフレンズではエゾヒグマとヒグマは別の動物として扱われてるんだけど、実は全く同じ動物
そもそも本州にいるのはヒグマではなくニホンツキノワグマで、日本でヒグマが生息するのは北海道のみ
なのに何故ヒグマとエゾヒグマの二種類が存在するのかとその知人は言ってたな
作者
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
エ「何をしてるんだ?」
継「鮭を釣ろうとしてるとこ」
そう、継月が狙っている獲物は鮭だった
「ただ、中々食い付かないんだよね…。
そろそろ卵を産むために遡上してくる時期だからこの辺りに集中する筈なんだけど…」
継月が今居るのは川の上流と中流の辺り
時期も相まってこの辺りで竿を垂らせば食い付くと睨んだ継月は、ここで既に二時間程耐久していた
エ「なんだそういうことか。でもそれだとこの辺りじゃ無理だぞ?」
継「えっ?」
エ「鮭が欲しいならこっちだ。付いてこい」
継「えっ、ちょっ、待って!」
継月は釣り道具を持ってエゾヒグマの後を付いていった
少し移動して川の上流と中流の水流が激しいポイントに着いた
エ「ここなら鮭も手に入る筈だ」
継「ありがと、エゾヒグマ姉さん。よーしっ」
エ「まぁ待て、私が代わりに獲ってやろうじゃぁないか」
継「えっ?」
釣りを再開しようとした継月に待ったを掛けたエゾヒグマは熊手を持って川の中へ
エ「…」
エゾヒグマは野生解放し、熊手を深く構えて
川の中をじっと見つめ…
「そぉーれっとぉ!」
熊手をフルスイングすると大きな鮭が数匹宙を舞って継月の近くへ落ち、ビチビチと跳ねる
継「すごい…。っと、すぐに凍めなきゃ」
継月は持っていたピックで鮭の脳天を突いて
クーラーボックスへ
その間にエゾヒグマが川から戻ってくる
エ「どうだ~?それだけあれば足りるか~?」
継「えっと…うん!これだけあれば人数分作っても少し余るくらいだ。ありがと、エゾヒグマ姉さん」
エ「どうってことないぞ。でもこんなにどうするんだ?」
継「明日、クリスマスパーティーをするんだ。
それに出す料理に鮭が必要だったんだよ」
エ「みんなでクリスマスパーティーかぁ~。なっつかしいなぁ~」
継「じゃあ、エゾヒグマ姉さんも来ない?
カムちゃまやコディアック姉さんも一緒にさ」
エ「それはいいなー!じゃあ楽しみにしてるぞ、またな~」
継「うん!ありがとうー!」
継月は研究所への帰路へ着いた
か「それじゃあフリシアンさん、また」
フ「はい、パーティー楽しみにしてますね♪」
一方かばんも、フリシアンから牛乳を入手し
研究所へと戻る帰路へ着きはじめた
…どうすれば大きくなるのかなぁ…
…自分とフリシアンの胸の大きさを比べ、そんな事を考えながら
継「おっ?あれは…」
継月は研究所へと戻る道中で木苺を見つけた
「野生の木苺かぁ。これもケーキの材料に使えそうだ」
継月は木苺をいくつか採取
「よしっ、これくらいで…んっ?」
継月が顔を上げると視線の先には見覚えのある建物が見え、継月はそこへ向かった
イ「もうすぐクリスマスの時期ですねぇ~…。
でもそれを知ってるフレンズは数少ない…。
今年もひっそりと過ごすことになりそうですね~」
イエイヌは壁に掛けてあるカレンダーを見つめていた…するとコンコンッと、戸を叩く音がした
「…!」
イエイヌはすぐさま玄関に向かい勢いよく
戸を開ける
継「やぁ、イエイヌ。久しぶり」
イ「継月さん!」
イエイヌは訪問した主が継月であると分かると
継月に飛び付き、顔や身体を擦り寄せた
継「くすぐったいよイエイヌ~」
イ「あぁすみません、つい…」
イエイヌは詫びを入れると継月から離れる
「それにしても、継月さんは元の世界へ戻った筈では?」
継「一応、自由に行き来することは出来るんだ。今回はかばんに呼ばれてね、その用事の途中で近くを通ったから」
イ「そうだったんですね~。でも継月さんがお元気そうでなによりです!」
継「イエイヌもね。…あっ、そうだイエイヌ」
イ「はい、なんでしょうか?」
継「明日クリスマスパーティーを開くんだけどさ、
イエイヌも来る?」
イ「…!良いんですか!?」
継「もっちろん!みんなで楽しもうよ」
イ「はい!是非!」
イエイヌは尻尾を揺らし、継月の誘いを快く
承諾した
継「良かった。場所はここからちょっと行った先にあるライブステージの辺りを予定してるから。じゃあまたね」
イ「はい!」
継月は個人的に誘おうと思っていたイエイヌへの勧誘も成功し、意気揚々と研究所へ戻った行った
継「ふぃ~」
か「おかえりなさい、兄さん」
カ「随分遅かったじゃない」
博「しょうがないのです。継月の持ってくるものが
一番時間が掛かるのですから」
継月が研究所に戻り、客間へ入ると他のメンバーは既に戻ってきていた
継「さてっと、とりあえずそれぞれの成果は?」
キュ「おっきな針葉樹はちゃんと手に入ったよ!」
助「既にライブステージの使用の許可も取ったので、そこに運んでおいたのです」
カ「あとは飾りとやらを付けるだけよ」
継「かばんは?」
か「兄さんから言われてた材料も確保出来たよ」
一同がキッチンへと向かうとかばんが入手してきた材料の数々が置いてあった
継「上々だね」
ア「継月はどうなんだい?」
博「まさか成果ゼロってことはありませんよね?」
継「ふっふっふっ…」
継月は背負っていたクーラーボックスを置いて中身を開ける
サ「なにこれなにこれー!?」
キュ「おっきいね!!」
継「今回のメインとなる鮭だ。あとケーキに使う木苺ね」
か「兎に角、必要な物は揃ったね」
継「よし。あとは明日、パーティーの準備に取りかかるだけだ」
その夜
継月は姉たちに友人宅で2日程泊まることを
伝え、キュルル達と共にかばんの研究所に
泊まることに
かばんの寝室
サ「明日が楽しみだね、かばんちゃん」
か「そうだね、サーバル」
客用の寝室
カ「Zzz…」
キュ「スゥ…スゥ…」
カラカルとキュルルは既に眠りについていた
継「いよいよ明日か…」
ア「楽しみ?」
継「ジャパリパークでクリスマスを迎えるのなんてもう15年ぶり位だからね」
ア「継月がどれだけ成長したのか、私も楽しみだよ」
継「じゃあ…お休み、アムール姉さん」
ア「ゆっくりお休み、継月」
継月はアムールトラの温もりに包まれ、
眠りに付いた
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