聖なる夜はあなたに祝福を
継月
聖なる夜はあなたに祝福を(企画編)
「ちょっとキュルル~」
「なぁにカラカル~?」
パークを旅していたキュルル一行は
途中立ち寄った大きな建物の中を散策していた
するとカラカルが箱に入った何かを見つけた。
「これ、何か知らない?」
「なんだろ……これ」
「うわぁ~!キラキラしてるね!」
カラカルが見つけた箱には緑や白の長いヒモの様な物や赤や黄色、青の球体等が入っていた
サーバルは黄色い球体を手にとる。
「これは……、クリスマスの飾りだね」
「アムールトラさん」
そこにアムールトラも合流し、アムールトラが
クリスマスの装飾であることを伝える。
「『くりすます』?」
「アムールトラ、あんたこれが何か知ってるの?」
「クリスマスっていうは、昔ヒトの風習として行われた行事の一つで、これはその時の開かれるパーティーに使われた飾りなんだ」
アムールトラはそこで一度言葉を区切り、視線をカラカル達からクリスマスの飾りに向ける。
「懐かしいなぁ。継月やパークのみんなと、毎年パーティを開いて賑わったのを思い出すよ。まぁその度に、現れたセルリアンの対応にも追われたけど」
アムールトラは当時の事を思い返し懐かしんだり、苦笑いを浮かべたりした。
「クリスマスの……パーティー……」
「たのしそー!やってみようよ!クリスマスのパーティー!」
「ちょっとサーバルあんたねぇ……。そもそもどうやるかも知らないのに、どうやってやるってのよ。まったく……」
クリスマスパーティーをやろうと意気揚々と
なるサーバルに対し、カラカルは
「またいつもの突拍子な思いつきか」
と、呆れ顔をしながら待ったを掛ける。
「アムールトラさん」
「んっ?」
「どうやったらいいかは、継月やアムールトラさんが知ってるんだよね?」
「まぁね」
「だったら、継月も呼んでみんなでやってみようよ!」
「ちょっとキュルルまで!?」
「でもどうやって継月にその事を知らせるつもりだい?」
「それはね」
場所は移り、キュルル一行が向かったのはかばん達の研究所だった。
「いらっしゃい、どうぞ中へ」
「お邪魔します」
事前にラッキービースト(コア)で向かうことを伝えてあったキュルル達は、スムーズに客間へと案内される。
「クリスマスパーティーを再現したい?」
「うん。アムールトラさんから聞いて
サーバルがやってみたいらしくて」
キュルルとかばんがサーバルへ視線を向けると
サーバルはニコニコと笑みを浮かべていた。
かばんはそれを見て少しばかり微笑むとキュルルへと視線を戻し、「うーん」と唸りながら腕を組む。
「それは構わないけど……。肝心の方法は、
どうする考えなの?私も、そういうヒトの習わしがあったって事を少し昔に図書館で本を読んで知ってるくらいで、具体的なやり方までは知らないよ?」
「それが、アムールトラさんの話によるとアムールトラさんと継月が知ってるらしくて。
だから、かばんさんに継月を呼んで欲しいんだ。かばんさんの腕のラッキーさんならそれが出来るんでしょ?」
キュルルは以前、かばんが腕に着けているラッキービーストを使って継月と通信をしていたのを見ていた。
だから、継月をこちらに呼び出せる方法を
唯一持っているかばんの元へと訪れたのだ。
「わかった。一度、兄さんとの通信を試してみるよ。今は元の世界に戻ってるから繋がるかわからないけど……。……ラッキーさん、兄さんの電話に繋げてみてくれる?」
『ヤッテミルネ』
かばんがラッキービーストを使って継月への通信を試みる。
「なるほど、だからここに来たのね」
「キュルルちゃんすっごーい!」
「えへへっ」
時を同じくして、継月の世界
「もうすぐクリスマスかぁ……」
継月はこの日、早々にクリスマスムードに移りつつある街を見て、去年の事を思い返しながら
姉達が住んでいる別荘へと向かっていた。
去年の今頃はフルル達とパーティーしたっけ……。
今年は……、フルル達はもう元の世界に戻っていないんだったな。
店も休みだし、姉さん達と過ごすか。
『♪~』
「んっ?」
すると、突然継月の携帯に着信が入る。
画面にかばんの名前が表示されているのを確認し、電話を取る。
「もしもし?」
『あっ、もしもし兄さん?今いいかな?』
「あぁかばんか。どうしたの?」
『実は、キュルル達がクリスマスをやってみたいって言い出してきて……』
「クリスマスパーティー……ね。でもなんでまた?」
『かばんさん。今、継月に繋がってるの?』
『繋がってるよ。キュルル、説明お願い出来る?』
『うん!継月、久しぶり!』
「あぁキュルル、久しぶりだね。それで?
かばんから聞いたけどクリスマスパーティーがやりたい……とかなんとか」
『うん。実は旅の途中立ち寄った建物で、
クリスマスの時に使う飾りを見つけてね。
アムールトラさんがクリスマスの事を話したらサーバルがやってみたいって』
「ははっ、サーバルらしいね」
『でしょでしょ~?』
『それで、継月もクリスマスがなんなのかを知ってるみたいで』
「俺に白羽の矢が立った……ってことか。
……わかった、じゃあ今からそっちに行くよ」
『うん!』
『待ってるね~』
「はいはい」
電話が切れたことを確認した継月は姉の優理へと電話を掛けた。
「……あぁもしもし優理姉?俺だけど。
ちょっと友だちのクリスマスパーティーの
手伝いに行きたいんだけど……いいかな?
……うん、ありがと。じゃあ、また後で。
……さてと、いきますか」
継月は電話を切るとゲートを使ってパークへと向かうため裏路地へと入っていった。
一方その頃のかばんたちは……
「よし。あとは、兄さんを待つだけだよ」
「ありがとうかばんちゃん!」
「どういたしまして」
エレベーターから博士と助手がティーカップを載せたおぼんを持って出てくる。
「お茶が入ったのです」
「一息入れるのです」
「ありがとう博士、助手」
博士はおぼんを置くと砂時計を逆さまにして
助手と二人でかばんの近くに座る。
「それで、何の話をしていたのですか?」
「クリスマスパーティーをしようって話だよ!」
「クリスマス……パーティー……!?」
キュ「博士さん、助手さん、何か知らない?」
「ああ当たり前なのです!クリスマスパーティーというのは、クリスマスの日に行われる催し物で、ケーキや果物など美味しいものを食べられる、ヒトが開いていた一大イベントの一つなのです!」
「へ、へぇ~……」
クリスマスパーティーと聞いた博士の性格の変わりようにカラカルは少し引いていた。
「まぁ大体間違ってはない…かな?」
ブゥン、と客間に空間の穴が開く。
「あっ、どうやら来たみたいだね」
かばんがそれに気付き穴へと視線を向けると
キュルル達の視線も釣られて移る。
「やぁ、みんな久しぶり」
継月が完全に出ると穴が閉じた。
「継月!」
「かばん、隣いいかな?」
「どうぞ」
継月がかばんの右隣に座ると砂時計の砂が落ちきった。
「ちょうどお茶が蒸れたのです」
「継月も一杯どうですか?」
「貰うよ」
お茶を飲みながらクリスマスパーティーについて話し合っていくキュルル達。
「へぇ~、じゃあ元々クリスマスは
そのイエスさんってヒトの誕生日だったんだ!」
「まぁそんなところかな。だからクリスマスの日はXデーと呼ばれて、綴りも『X M A S 』となってるってわけ」
※諸説あります
「最も、それを重んじてるのはごく一部の国だけで、殆どの国が家族や友達と集まってパーティーを開いてるんだけどね」
継月は紅茶を一口飲み、ほぅ……と息を吐く。
「じゃあ、私たちはどっちを再現したらいいの?」
「アムール姉さん達の記憶を頼りにするなら、後者でいいと思う。キュルル、とりあえずその飾りを見つけたって場所に案内してもらえるかな?」
「うん!」
キュルル一行とかばんと継月は、バスに乗り、クリスマスの飾りを見つけたという建物へと向かった。
「これだよ」
「へぇ~……」
継月はリースや球体の飾りを手に持ち、状態を見る。
「これ……かなり状態がいいな」
「かつてのパークの遺産ってところ?」
「そんなところだと思う」
継月は飾りを箱に一度戻して箱を閉じ、持ち上げる。
「とりあえず、これを持って研究所へ戻ろう」
再び研究所へと戻ってきた一同は客間でこの後について話すことになった。
「ここからは、それぞれの役割で動こう。
まず、キュルル」
「ん?」
「サーバル」
「うみゃ?」
「カラカル」
「んっ?」
「アムール姉さん」
「なんだい?」
「四人には、この飾りを飾るための木を一本、
手に入れてきて欲しい。出来るだけ大きいのをね」
「はーい!」
「でも、それってどんな木でもいいの?」
「飾り付k
『クリクマスノ飾リ付ケナラ、針葉樹ガイイヨ』」
イニーが継月に割って入る形で解説をする。
「針葉樹……って?」
「……針葉樹って言うのh
『針葉樹トイウノハ、雪山等ノ寒イ地域ニ生エテイル木ノ事ダヨ。丁度コノマエ行ッタ、
ココカラ北ニアル雪山ニ生エテイタノモソウダネ』」
今度はキュルルの腕に着いている方のラッキービーストが割って入る形で解説をする。
「あれが針葉樹だったのか~」
「二人とも……俺が話してる所に被せてこないでよ、お願いだから」
継月がキュルルの質問に答えようにも続けざまに2体のラッキービーストに邪魔をされ、
継月は項垂れる。
『サッキカラ継月ガドンドン先ニ進メチャウカラ、ボクタチパークガイドロボットノ立場ガ無クナルト思ッテ』
「……まぁ兎に角、それならそれで話は早いよ。四人はそこに向かって針葉樹を、それも出来るだけ大きいのを一本、持ってきて欲しいんだ」
「えぇー!?またあの寒いとこに向かうのー!?」
「カラカル、無理にとは言わないよ。
雪山は、本来カラカルの居るサバンナの温暖な気候とは真逆の極寒の地だからね。こっちに
残って俺たちを手伝ってくれてもいい」
「う~……」
カラカルはチラッとキュルルの方を見た。
「しょうがないわねぇ。アムールトラ……も居るし大丈夫だと思うけど、サーバルがドジんないか心配だから、私も行くわ!」
「えーっ!?私!?」
「あんたがドジ踏んだらどうするのよ?
雪で見えない穴に落っこちたり……いえ、それならまだしも雪山で遭難とかなったら洒落になんないわよ」
「私そこまで酷くないよ!?」
「まぁまぁ……」
そのやり取りを見ており、カラカルのサーバルがドジった時の例を聞いていたかばんと継月は思った
サーバルならやりかねないな……と
「と、兎に角……。寒さへの対策はこっちで
準備するから、トラクターに乗って雪山まで
向かってね」
「いってきまーす!」
「気をつけてー!」
「頼んだよー!」
トラクターに乗り込んだキュルル達を
継月とかばん、そして博士と助手が見送る。
「にしても、カラカルも素直じゃないなぁ。
サーバルが心配なのは建前で、ほんとはキュルルが心配なのに」
「あっ、やっぱり兄さんも気付いてた?」
「視線がサーバルじゃなくてキュルルの方を向いてたからな。分かりやすかったよ」
「言えてる」
継月のカラカルへの感想を聞いたかばんはクスッと苦笑いした。
「それで兄さん、残った私たちは何をするの?」
「俺とかばんはクリスマスパーティーに使う
料理の制作と、それに必要な材料の調達だね」
「我々はどうするのですか?」
「博士と助手は、みんなにクリスマスパーティーを開くことを伝えてきて欲しいんだ。
俺たちも、材料調達の途中会ったフレンズに
伝えるけど」
「なっ!?何故我々がそんなことを!?」
「俺の考える限り、二人が声を掛けるのが一番効果が大きいんだ。料理、飛びっっ切り美味しいもの作るからさ……ねっ?お願い、二人とも」
継月が手を合わせてウインクすると
博士と助手はお互いの顔を見つめ頷く。
「し、仕方ないですね」
「我々に任せるのです」
博士と助手は腰に手を当てどや顔で承諾した
「さっすが博士と助手!頼りになるぅ~♪」
「当然です」
「我々の力を見せてやるですよっ」
兄さん……博士と助手の扱い上手いなぁ……。
隣でその様子を見ていたかばんは苦笑いを浮かべつつそう思った。
「では、行ってくるのです」
「パーティーの料理、楽しみにしてるのですよ」
「お願~い」
博士と助手はパーク各地のフレンズにパーティーのことを伝えるために飛び立ち、
博士はアヅアエンやサバンナの方角、
助手はライブステージやジャパリホテルのある方角へと向かっていった。
「よし、じゃあ俺たちも取りかかろうか」
「うん」
博士と助手を見送った継月とかばんは、
まずパーティーに使う料理のチョイスをしに
研究所の中へと戻った。
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