第109話
*以前のお話で、ソードマンの上位職を「ソードマスター」と「騎士」としていましたが、「騎士」→「サムライ」に変更。
また92話で上位職に「聖騎士」「狂戦士」があると書いておりますが、
「聖騎士」→「騎士」に変更しております。
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卵ガチャを頑張って、全部の装備ロックを外してからジータへ。
アーシアとルーシアには、その間、経験値が公平設定できる人たちとパーティーでレベリングをして貰う。
ジータへとやって来た僕は、直ぐに領主の屋敷へ行った。
「どうしたんです、タックさん。祖父の墓参りに来たばかりだったのに。何かあったんですか?」
「実はその……いろいろあって預けた装備を受け取りに」
心配そうな顔でアレスの孫──現領主のアレックス氏が言う。
さすがに領主を務める彼に、革命軍の話は出来ない。彼が信用できないのではなく、巻き込みたくないから。
話せばきっと協力を申し出てくるんじゃないかって、そっちの方が心配だった。
「装備を? 全部ですか?」
「う、うん。全部。ちょ、ちょっと知り合った冒険者に貸し出ししようと思いまして。もちろん前金制で」
「……持ち逃げされませんか?」
「だ、大丈夫です」
なかなか厳しいいい訳だなぁ。
じっと僕を見つめるアレックス氏。暫くそうして、ため息を吐いてから小さく頷いた。
「では祖父の残した物も、どうぞ持って行ってください」
「え、でも大会とかは?」
「いくつか残しておきます。どうせ転移者しか装備出来ないのだから、一本でもあればいいんですよ。どの職業でも装備出来るダガーなんていいでしょうね」
無駄に激レアのダガーを残すという。
激レアでも攻撃力はそれほど高くない。ただめちゃくちゃ装飾が凝ってて、金銭的な意味では相当なものだと言う。
「結構数がありますが、持てますか?」
「ギリギリなんとか」
僕が持っていたお古の装備は全部置いて来た。趣味で持っていた物も。
他にも比較的数の少ない素材系もあっちで預かって貰っている。
アイテムは十分確保したから大丈夫!
装備可能職業順にアイテムボックスへ入れよう。取り出す時に分かりやすいし。
「よし、これでオッケーっと」
「タックさん」
「アレックス氏、ありがとうございます。いろいろ終わったら返しに来ますので」
「タックさん。私は祖父の意思を継いでいるつもりです。何かあれば必ずお助けします。それだけは忘れないでください」
……気づいてる……のかな。
いや、革命軍の存在はまだ世間には知られていないと思う。
でも──
「ありがとうございます。ジータに危機が迫ったら、僕も必ず助けに来ます。必ず」
アレックス氏と握手を交わし、それからアレスの墓前にもそれを誓った。
また来るよアレス。
その時は僕らプレイヤーが目指していた『LOST Online』になっていることを祈っててくれ。
僕がインスタンスダンジョンに戻って来たのは、出発してから二週間弱のこと。
直ぐに合流してレベル上げの再開。辛うじて経験値の公平が保たれているけど、それももう終わる。
戻って来てから五日後、二人がダンジョン内で急に「あっ」と言ってアーシアが剣を落とした。
「どうした?」
「な、なんだか……剣が急に重くなった気がして」
「ワタシはあんまり変わらないけど、なんとなく今までと違うって感じがするわ」
「もしかして──」
慌ててインターフェースで確認すると、アーシアは『サムライ』に、ルーシアは『ハンター』になっていた。
予想外なのはアーシアだな。
「アーシア、サムライになっていたよ」
「え、サムライ……ですの?」
「だから剣が重くなったのかもしれない。サムライだと刀しか装備出来ないからね」
あとはレベルの問題もあるんだろうな。二人のレベルは今、1に戻っているし。
「レベルがリセットされたから、ここのモンスターは危険だ。外に出よう」
今のインスタンスダンジョンはレベル98±が適正に設定されているし、レベル1の二人だと即死コースだ。
ステータスだってリセ──いや、異世界人仕様でステータスがリセットされてないんだ!
えぇ、ずっと加算されるのステータス?
それってずるくなーい?
まぁ……僕も異世界仕様+ゲーム仕様で以前よりステータスの上昇が増えていっているけどさ。
「……試しにあいつだけ、倒してみようか?」
ダンジョンの通路の奥から、巡回タイプのモンスターがやって来た。
ルーシアに弓で射って貰って、ダメージを全然当てられそうになかったら僕がすぐに援護する。
まぁ危険はないだろう。
「じゃあやるわよ」
「ん」
シュッと飛んだ矢は真っ直ぐモンスターの頭に突き刺さり、敵はよろめいた。
ギュイーンっとHPバーが下がる。
あれ?
前と変わらない……いや、少しダメージ量下がったかも?
そう。かも、なレベルで下がっている。
結局、奴がこっちに到着する前にルーシアひとりで倒してしまった。
……レ、レベルどうなった?
インターフェースで確認する。
アーシア、レベル1。
ルーシア、レベル5。
僕、レベル95。
あぁー、うん。獲得経験値の公平設定だけ、しっかり切れてやんの。
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