第108話
革命軍メンバーも交え、あのインスタンスダンジョンへとやって来た。
スキンヘッドのケビンやエイミーさんたちもまだここにいて、順調にレベルが上がっているようだ。
「なんでぃ。ずいぶん大勢で来たようだな。そんな大人数だと、他の連中に勘繰られるだろう」
「多方面から山に入ってさっき合流したんだよ。大丈夫だと思うけど」
六人一組ずつ、山での討伐依頼を受けた冒険者パーティーです!
を装って山に登っている。しかもタイミングも、山に入る方角もバラバラに。
夜の間に隠れて入山したパーティーも多い。
「用心してんならいいや。それよかタック! おめーのくれた紙っ切れはすげーなっ」
「どのくらいレベル上がった? 見てもいい?」
「おうっ。見てくれや」
前回見た時、ケビンのレベルは78だった。
さて現在は──おぉ、90になってるじゃん。
いや、あれから一カ月経ってるんだ。寧ろ低いほう?
何故──と考えたところで、心当たりがあった。
ボスを倒した後、僕はパーティーを解散させている。
インスタンスダンジョンのリセットをするため。リセットするには訳もあった。
「ケビン。ダンジョンを出るときはどうやって出てる?」
「ん? ボス部屋の奥に転送ゲートが出現するだろ? それを使ってんだが、それがどうした」
「やっぱりか。実はその方法で外に出るのは、まぁある意味正解なんだけど」
ゲームでは、それが開発が用意した正規ルートの脱出方法だ。
だけどこの方法で外に出ると、インスタンスダンジョンが終了してしまう。
リセットされるまでに四時間掛かるシステムなんだ。
「脱出したあと、ダンジョンには?」
「入れねーな。なんかクールタイムがどうとかって声が聞こえてきてよ。だいたい四時間ぐれーか」
「あぁ、やっぱり」
異世界でも同じなのか。
でもこのダンジョン。明らかにゲーム仕様だよな。
さて、問題はゲーム仕様でないこっちの世界の住人に、どうやってパーティーを解散させるかだ。
「エイミーさん。冒険者カードがあればパーティーの結成が出来るそうですが、解散も出来ますか?」
「えぇ。パーティーの結成には血判が必要なんだけど──」
一緒にパーティーを組む人の血を、自分のカードに塗る。
複数と組むならその全員の血判が必要になる。
「それでね、血判を押したメンバーの誰か一人でもいいの、仲間のカードに触れ、パーティーを抜けるという意思をはっきりさせればそれでいいの」
「慣れねーと案外うまく抜けられねーんだけどな」
「そうそう。最初の頃はパーティーを抜けるぜーって叫んでも、ぜんぜんダメでやしたね」
「そか。じゃあ今度はさ、ボスを倒したらパーティーを解散させてみて。上手くいけば十秒後に強制的にダンジョンから追い出されるから」
そしたら連続してダンジョンに入れるようになる。そう伝えた。
あとは実行するのみ。
アジトから一緒に来たメンバーもそれぞれレベルの近い者同士でパーティーを組み、経験値アップのチケットとポーション、念のため身代わりのお札も渡しておいた。
それぞれの使い方と効果を教えていると、
「おいおい、死んでも生き返るってどういうことだ?」
「そんなもんあるなら、俺たちにもくれよ」
「あ、うん。忘れてた。ごめん」
「「ひでーっ」」
身代わりのお札って、ソロでダンジョン攻略しようとする時ぐらいしか使わないんだよなぁ。
もちろん、いつもアイテムボックスに数枚用意してはいるけど、使う機会も早々ない。
こっちの世界で二回ぐらい死んでるから消費はしてるけど……。
そういや、この世界の人は事前にチケットを破かなきゃ効果がないんだっけか。
僕は所持品の中にあれば、死んだ時に使うかどうかの選択が出て来て自動的に消費するけど。
「これがあるからって無茶はしないようにね。蘇生できると言っても、死ぬことに変わりはない。それだけ苦痛を味わうってことだし、生き返った後何か後遺症みたいなのが残るかもしれないから」
と、念のために脅しておく。
次にアーシアとルーシアだ。
「僕はジータの町に行くよ」
「え、アタシたちも──」
「二人はここでレベルカンストまで頑張って欲しい。エイミーさんがいるから、レベルのチェックも出来るしね」
「タックさんはどうするのです?」
「僕は預けた武具を引き取りに行こうと思って」
そう告げると二人は納得したように頷いた。
ネタアバター装備はちょっと置いとくとして、外見も悪くなく、補正が付いてるものは持って来ておきたい。
ライド獣も異世界にあって不自然じゃないものは使えるだろう。
アレスの孫のアレックス領主がいいと言ってくれるなら、ロック装備も持って来たい。
まぁその前に──
「まずは僕のお古の装備ロックを外すかな」
さて、いったいいくら使ったら、手持ち50個ぐらいのロックを外せるかなぁ。
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