第101話
僕たちの周りを冒険者が取り囲む。
もちろん全員じゃない。
「おい、なんだなんだ?」
「ガキが何かやらかしたってことか」
何も知らない冒険者もいるようで、面白半分にこちらを見ていた。
「書類に不備があるようです。別室に来ていただけますか?」
ベレー帽を被った職員の女が、笑みを浮かべてそう言った。
この笑い……イラつく。
不備なんていうのは嘘だろう。
「拒否したら?」
「おい坊主。ギルドの姉ちゃんが来いって言ってんだ。大人しく行きやがれ」
取り囲む奴らをじっと見つめ、インターフェースを出してレベルを確認。
おぉ、こいつら結構レベル高いじゃん。
アイコンからして下級職だろうけど、レベル70台ばかりだ。
へぇー、ほぉー。
このまま暴れて出ていくことも出来る。
けどそうなったら、確実に冒険者の資格がなくなるだろうなぁ。
だいたいなんで囲まれきゃならないんだ?
「タック、やる?」
「いつでも準備できてますの」
アーシアたちもやる気満々だ。
でも、
「いや、従おう」
「「え?」」
やろうと思えばいつでも出来る。
ただこうなった理由は知っておきたい。
「ありがとうございます。ではこちらへ」
相変わらずにこにこ顔の職員に着いていくと、僕らを囲んでいた冒険者も何人かがついて来る。
カウンター奥の扉を潜り、廊下を進み、厨房へと入る。
ん?
厨房?
「え、待って……まさか僕らを鍋に入れて食べるの!?」
「えぇ!?」
「はっ!? ア、アタシ聞いたことがあるわ。じ、人肉を食べる部族がいるってぇっ」
「じ、人肉!?」
なっ。僕らを食べる!?
バレて焦っているのか、職員も、そして冒険者も明らかに狼狽えていた。
そして──
「ぶわっはっはっは」
「おいおい、勘弁してくれよ。なんでそうなるんだ」
「あの、何か勘違いなさっているようですが、別にあなた方を鍋に入れるために厨房へ来た訳ではないのですよ」
え、違う?
僕たち三人以外が大爆笑。
目に涙を浮かべながら、ギルド職員の女がしゃがんで床板を──剥ぐ。
で、何やら引っ張っている模様。
「あのー、ケビンさん。手伝って頂けません?」
「お、そうだったそうだった。坊主に嬢ちゃん、ちょっとどいてくれ」
「あ、はい?」
な、なんだ。なんなんだ!?
急にフレンドリーになってるんですけど。
ケビンと呼ばれたスキンヘッドの男が職員の横にこれまたしゃがむと、床板を剥いだ場所に手を突っ込んで何かを引っ張った。
鎖だ。
と同時に床板が持ち上がる。
「地下室?」
「おう、この中だ。さぁ下りるぞ」
地下室で……
「地下室でごう──「拷問もしません。とにかく下りてくださいっ」あ、はい」
何がどうなってるんだ!?
「単刀直入に伺います。獣人のお二人は、あなたの奴隷ですか? それともお仲間ですか?」
「妻です」
「つ、つつ、つ、妻ぁーっ!?」
「おい、妻だってよっ」
「待て待て。まだガキじゃないか。結婚なんて早いだろう?」
「くっ。小僧のくせしやがって。こんなべっぴんと二人も妻にしてやがるだと?」
「世の中不公平だぜ!」
だからなんなんだこいつらは!
ただの地下室かと思ったら、意外と深く、更に横穴が随分と続いた。
15分以上歩かされたかな。
ようやくたどり着いた場所には、いくつかの部屋があって、その一つに通されるとこの質問だ。
アーシアとルーシアが僕の左右で腕を掴んで、唇を尖らせている。ご立腹なようだ。
「ど、どうやら嘘ではないようですね。ほっ」
「おうおう、ミリアナちゃんよぉ。そう簡単に信用すんなって。おい、お前ら。夫婦だってんなら、今ここでちゅ……ちゅう……」
なんでスキンヘッドが顔真っ赤にしてんだよ。タコじゃん。
「ちゅーすればいいんですのね。タックさん」
「ん? ──ん!?」
「「おおおおおぉぉぉぉ!!」」
いきなりアーシアがキス!?
え、しかもちょっと……濃厚。
「あぁん、アーシアずるい!」
「ふぅ……ひ、人様に見られてキスするのも……ち、ちょっと……快感」
「アタシもするっ」
「ルーシ……んん」
待って。何このプレイ。
ねぇ、待って!
お前らもガン見してんじゃねーよ!
*********************************************************
★……ほ……しぃ……
(´・ω・`).;:お…ね(´・ω...:.;::..が(´・;:::い .:.;: サラサラ..
あ、こっちも……読んでほし……いの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます