第51話  ★

*後半部分の◆◇から下にえちえち展開がございます。

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 え、今ここで着替えるの?

 と思ったらさっそくキャミソール脱ぎ始めた!?

 

 慌てて背を向け、ベッドのシーツを頭からすっぽり。

 しばらく二人の「あーでもない」「こーでもない」といった声が聞こえた後、近くで人の気配を感じた。


「タックさん」

「タック」


 甘く、囁くような二人の声に、僕の心臓は高鳴る。


「き、着替えた?」

「えぇ、着替えたわ」

「見てください、タックさん」

「う、うん」


 しゅるしゅるとシーツを脱ぎ、うつむいていた顔を上げた。


 そこには、純白のドレスに身を包んだ二人の姿があった。


 アーシアは胸元を白のバラで縁取った、ボリュームのあるスカートのウェディングドレス。

 ルーシアは胸元を強調し、スカートは膝のあたりまで体にピッタリとして、その下からふわりと広がるウェディングドレス。

 可愛いアーシアに、綺麗なルーシア。

 そんな二人が、頬を染めて僕の前に立っている。


「ど、どう?」

「は、初めて着る衣装ですので、間違った着方ではありませんか?」

「あ……いや、あの。そ、それって女性だけが着るものだから……ご、ごめん。僕も分からないや」

「アーシア、何言ってるのよ。タックが知ってるわけないでしょ。もうっ……ぷふ」

「わ、笑わないでよルーシア」


 そう言いながらアーシアも笑っていた。

 眩しいくらい可愛く、そして綺麗な二人を見て、それでも僕は何かが足りないと感じた。

 何だろう。何が足りないんだろう。


 そこで僕は、以前プレイしていた美少女ゲームを思い出すことにした。

 エンディングは主人公と、無事落とせたヒロインとの結婚式という内容。

 ヒロインたちは……。


「あ、そうか。アレが足りないんだ」

「あれ?」

「タックさん?」


 あったはずだ。このガチャに限らず、今まで何度も登場しているアバターだ。

 アイテムボックスのアバタータグを開き、上から順に見ていく。

 そして見つけた。

 はは。ちょうど二枚持っているなんて、都合がいいな。


 ソレを取り出し、二人の前に差し出す。

 純白のレースで編まれたヴェールを。


「これはヴェールと言って、僕の世界で花嫁の頭に被せるものなんだ」


 広げて見せたレースのヴェールだけれど、彼女らが見ているのは僕。

 その表情は、どこか悲し気に見えた。


「ど、どうしたの二人とも。こ、これってこっちの世界じゃマズい?」


 二人は首を横に振る。


「違うのタック。違うの」

「もしかしてと思っていたことがあったです。それが……現実だったから」

「え、もしかして?」


 ウェディングドレス姿の二人が両手を広げ、そしてそっと僕を抱きしめる。


「タックはこことは別の世界から来たのね」

「タックさんが私たちとは違う世界の人なんじゃないかしらって、そう、思っていたですの」


 ……あ。

 そうか。思わず言ってしまっていたんだ。

 僕の世界で──


 そして二人は、薄々気づいていたことを告白してくれた。


「そっか……うん。そうなんだ。僕は──」


 僕が地球という惑星の、日本という国から来たこと。

 オンラインゲームをプレイ中に大きな地震が来て、気づいたら二人に穴へ埋められそうになっていたことを話した。

 オンラインゲームを説明するのは難しかったけれど、特殊な箱の中で物語の登場人物になり切って冒険をするゲームだと伝えた。

 そのゲームが、まさにこの世界──正確には300年前のこの世界と酷似しているとも。


「そんなことって……」

「だからタックは、遺跡のことやグリードのことも知っていたのね」

「うん。ただ300年の間で変わっていることもあったし、西の大陸はゲームでもあまり解放されていないから知らないことも多いと思う」


 全部話してから、なんだかスッキリした気分になった。

 最初から話せばよかったと、そう思えるほどに。


 隠したかったわけじゃない。話す機会がなかったというべきか。


「タック。実はね、300年前の話なんだけど……。あなたの世界で起きたっていう地震、無関係じゃないのかもしれないの」

「地震? 無関係じゃなって、どういう──」

「タックさんには一度お話しましたが、300年前に忽然と英雄たちが姿を消したとき、こちらの世界でも大きな地震があったのです」

「な、なんだって!?」


 当時は大災害として、人間も獣人も、他の種族にも大打撃があったようだ。

 それもあって、地震の前後どちらで英雄たちの姿が消えたのか、正確なことは分からないらしい。

 

 獣人を蔑む人間たちは、神の怒りによって獣人に与する者は大地に呑み込まれたのだと言う者もいる。

 獣人たちは英雄の死を受け入れず、来たる時のために身を隠しただけだと言う者もいる。


 日本での地震が原因でこの世界の英雄たちがいなくなったのだとしたら……。

 日本はどうなってしまったんだろう。

 みんなは無事、なんだろうか……。


 そんなことを考えたら、急に怖くなってきた。

 

 もう、誰もいないんじゃないか。

 この世界に来たのは僕ひとりなんじゃ……。


 寒い。

 そんな気がして、自分の体を抱きかかえた。


 すぐにその体は温かくなる。


 アーシアとルーシアが僕を抱きしめてくれ、ふわふわの尻尾で包み込んでくれたから。


「大丈夫です、タックさん」

「心配しないでタック」

「私たちがずっと傍にいるですの」

「ひとりじゃない。アタシたちがいるわよ」


 そう言って、二人は優しく僕を撫でてくれた。

 暫くその時間を堪能して、ふと手に持ったままのヴェールを思い出す。


「そ、そうだ。これ、被ってみて貰ってもいいかな?」

「あ、そうですね。花嫁が被るものだって仰ってましたね」

「すっかり忘れてたわ」


 三人で笑って、それからまずはアーシアの髪に──く、こ、これどうやって着けてあげればいいんだ?


「貸して。ここにピンがあるでしょ、それをこうして」


 見かねたルーシアが手伝ってくれて、無事にアーシアの頭に純白のベールをかけてやることができた。


「じゃあアーシアお願いね」

「ふふ、任せてくださいの」

「……なんかごめん。不器用でほんとごめん」


 ルーシアのベールはアーシアがあっさり掛け終わり。

 こうして二人の花嫁が完成した。


「タック……」

「タックさん……」

「アタシたちを──」「私たちを──」


 自然と僕の手は二人のヴェールへと伸びた。

 二人の顔を隠していたソレをそっと捲って、彼女らを見つめる。

 赤く染まった二人の頬。

 潤んだ瞳。

 なにかを求めるような艶のある唇。


 そのすべてが愛おしく。


 声を揃え、アーシアとルーシアが懇願した。


「「貰ってください」」


 拒む理由なんてどこにもない。

 ずっと……僕はずっとこのまま、二人と一緒にいたいのだから。


「もちろんだよ、ありがとう。アーシア、ルーシア。大好きだ」 







◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇








 仮初の結婚式。

 指輪はスキルが封じ込められていた物の中から、それぞれ見た目で選んだ。

 それを、僕からアーシアへ、僕からルーシアへ、そして二人から僕へと嵌める。


 指輪の交換の次が、誓いの口づけでいいんだよね?


 僕は二人の肩を抱き寄せ、まずはアーシアと唇を重ねた。


 キスなんて初めてのこと。どうすればいいのかなんて、まったく分からない。

 軽く触れあい、それから閉ざされていた唇に舌を少しだけ押し当てた。


「んぅ」


 甘い吐息がアーシアの口から洩れる。


「ア、アタシも」


 しびれを切らせたルーシアに求められ、彼女とも軽いキスを交わす。

 その後再びアーシアと唇を重ね、今度はお互い舌を絡める濃厚なキスを。そして次にルーシアと。


 そのまま僕たちはベッドへと倒れ込み、二人の柔らかい肌を貪るようにまさぐった。

 結婚式って、こういうところまでしないよね。

 そうは思いつつも、もう止められない。


 ドレスの胸元を強引に下ろし、二人の乳房を優しく包む。


 手のひらにすっぽりと収まるアーシアの胸。

 まったく収まらないルーシアの胸。


 共通しているのは、ほんの少し触れただけで体をビクンと震わせることと、甘い吐息。


「はんっ」

「ひゃうっ」


 少し触った程度で、彼女らの胸の頂がぷっくりと膨らんだ。

 さ、触ると盛り上がるのか、ここって。


 右手はアーシアの左胸を、左手でルーシアの右胸をそれぞれ撫でまわし、時折それを口に含んで甘噛みする。

 そのたびに彼女らの体がびくびくと小刻みに弾んだ。

 面白いのは、二人の頭頂部にある耳だ。こちらもピクピクとよく動く。

 尻尾もだ。


「そうだ。尻尾を下に敷いているけれど、痛くないのかい?」

「んぁ、はぁ。ん……平気」

「尾っぽはほとんど毛ですから。んふぅ……いた、く、なあーっん」

「そか。じゃあ続けるよ」


 いつまでも触っていたいと思う衝動を抑え、次はドレスの裾を捲って下半身を──って、パンツ穿いてない!?


「え? ノ、ノーパン?」


 顔を上げて二人を見ると、揃って顔を真っ赤にして僕を見ていた。


「ひ、必要、ないじゃない」

「そ、それともタックさんは、その、ぬ、脱がせるほうがよろしかったですか?」


 脱がせる方がよろしかったかどうかと聞かれると、それはそれで興奮するかもなわけで。

 でも、こうして最初からさらけ出されているのも、もちろん興奮する。


「さ、最初に言っておくけど、僕、その……経験、ないから」

「つまりそれは──」

「アタシたちが初めてってことね」

「うん。君たちが初めてだ……痛かったらゴメンね」


 そう言ってから、ルーシアの足に手を伸ばす。

 閉じられた足を押し広げ、秘めたる部分を覗き込んだ。

 あ、ここも銀色の毛なのか。じゃあアーシアは──


 隣のアーシアの足を広げて確認すると、予想通り、彼女は金色だった。


「は、恥ずかしいから、じっと見ないでよ」

「わ、私は恥ずかしくありませんっ。い、いっぱい見て欲しいですの」

「うん。いっぱい見るよ。もちろんルーシアのもね。触ってもいい?」


 アーシアが承諾するよりも前に、彼女の股の間へと手を伸ばした。


「あっ」


 わずかに触れただけで、胸のときよりも激しい反応を見せるアーシア。

 この突起みたいなのが──


「んあぁっ」


 アーシアがビクビクと跳ねる。やっぱりここが性感帯か。

 ルーシアはどうだろう?


 彼女は顔を手で覆って、恥ずかしさを必死に抑えているようだった。

 そんな彼女の割れ目へと手を伸ばしたが、予想以上にそこは湿っていて、くちゅりという音が漏れた。

 

 お、女の子のここって、本当に濡れるんだ。


 くちゅくちゅという音が余計に性欲を掻き立てる。

 自慰でもここまで大きくなったことなんてないほどに、もうひとりの自分は元気にそそり立っていた。

 それは我慢の限界を迎えていて──


 




 それからのことは、よく覚えていない。


 ルーシアと激しく愛し合って達した後──アーシアとも体を重ねた。

 それからまたルーシアと。

 んでアーシアと……。


 窓の外では未だお祭りムードだったけれど、その声がまるで僕らの結婚を祝福してくれているようにも聞こえ。

 それでも僕らの営みは続いていた。


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