第42話

「す、すげーっ。なんだこの船は!?」

「材質はなんだ? 鉄か?」

「鉄がなんで浮くんだよ!」


 きっと地球でも昔の人はそう思ったんだろうなぁっていう反応を、今僕は生で見ている。

 船着き場の一角にクルーザーを出し、これで移動を告げると船乗りはビックリ仰天。

 僕もちょっと驚いた。


 クルーザーの中に人がいたから。

 ただこの人……たぶんNPCだな。顔の表情がほっとんど動いてない。

 挨拶をするとお辞儀をするけど、生きている人のようには見えなかった。


『目的地を設定してください』

「喋った!? そ、そうか。操縦専門なんだね……えぇっと、今はまだいいや。保留で」


 そう告げると操縦士は頷いて真っすぐ海を見つめる。

 待機モードかな。


 そういえばイベントで使った時も、マップクリックで自動操縦だったなぁ。

 その間、船マップに切り替わって、時々モンスターがポップするっていう。


「そ、それでタックの坊ちゃん。いつ出発しやすか?」

「あ、それなんですが──」


 その前にやるべきことが二つある。

 一つは僕らのレベル上げ。主に僕とアーシア、ルーシアのだ。

 それからみんなの装備作り。

 正直……ショボい。


 船乗りの服と曲刀──シミターかな?

 そんな装備でイベントモンスターなんて倒せるわけがない。いくらレベルがあっても、装備がショボ過ぎるとダメージが通らないからね。

 しかしその為にも僕のレベルを上げる必要がある。


「どこか手ごろな所でレベル上げをしたいな。あ、戦闘の経験を積むっていう意味です。水棲モンスターとの戦闘経験がないので」

「なるほど。分かりやした。じゃあこの島なんかどうですかね?」


 一番年長者っぽい、それでも30代半ばだろうか。船乗りのおじさんが地図を指さす。

 イベントモンスターが出る海域よりずいぶん手前で、実はこの港からもギリギリ見える島だった。


「島には誰も住んでいやせん。島の面積もそれほど広くありやせんが、何せモンスターが多くて」

「この島には地下迷宮があるんですよ」

「あ、エロールの海底ダンジョンか!」

「おや、ご存じで?」


 水棲モンスターの宝庫だ。

 地下一階から三階までは、あちこち水溜まりのある洞窟ダンジョンだけど、四階からは水の中なんだ。

 ゲームだから窒息とかそういうものは無い。

 異世界だとどういう扱いになるんだろう?


 地下一階はレベル20が適正だけど、二階は30前後だったな。三階のモンスターはレベル35から38だったはず。

 まずは二階でレベルを上げ、余裕があれば三階にも行っておきたい。

 目標としてはレベル35かな。



 僕のレベルが今30で、アーシアとルーシアが27。


****************************************


 名前:タック 種族:人族 年齢:18

 職業:エターナル・ノービス

 レベル:30


 HP:1387+175 MP:4260+500


 筋力:1+20

 肉体:1

 回避:1

 命中:1

 敏捷:1+10

 魔力:41+25+41

 詠唱:10


****************************************


 名前:アーシア 種族:獣人 年齢:16

 職業:ソードマン

 レベル:27


 HP:1040+1000 MP:660+500


 筋力:29

 肉体:8

 回避:27+10

 命中:2

 敏捷:24+10

 魔力:1

 詠唱:1


【習得スキル】

 剣術マスタリー☆3 / バッシュ☆2

****************************************


 名前:ルーシア 種族:獣人 年齢:16

 職業:アーチャー

 レベル:27


 HP:1015+1000 MP:860+500


 筋力:9

 肉体:7

 回避:26

 命中:42

 敏捷:29+10

 魔力:1+10

 詠唱:1


【習得スキル】

 ダブルアロー☆3

****************************************



 僕は新しく『ものまね』スキルを試しに3だけ取った。

 他職のスキルを真似るって意味なんだろうけど、いまいち使い勝手が分からない。

 どうやれば真似られるのか……。

 新スキルなんだったら、ちゃんと説明書きまで実装してくれればよかったのに。


 出発前に船乗りのみなさんの装備を一通り作っておいた。

 といってもレベル30装備しか作れない。それよりも高いレベルの船乗りには下級装備になってしまう。


「い、いいんですかい、こんな立派な装備を」

「いえいえ、立派じゃないですよ。ただのハイ・クラス装備ですし。あ、後日またちゃんとしたの作りますから、それ、いらなくなったら知り合いの船乗りさんにでも上げてください」

「え? ご、後日また? ハイ・クラス? え?」


 装備品にがランクがある。

 ノーマル、ハイ・クラス、レア、レジェンド。

 ノーマルとハイ・クラスは譲渡可能装備で、レアとレジェンドは装備ロックが掛かる。

 僕のレベルが上がったら、レアを作る予定だ。レジェンドはモンスターからドロップする素材が必要だから、これは今は無理だ。

 どうせこの装備は必要なくなるし、だからって装備ロックしてしまうレアを作るのはさすがに勿体ない。

 売ってお金にするもよし、人に譲るのも良し。


 ちゃちゃっと作って、それでも19人分用意するのに1時間かかった。


「タックん。ボクの分はないのかなー?」

「ブレッドの装備は十分高級品だろ」

「ボクは心の友が丹精込めて作った装備が欲しいのだよー」

「だが断る」

「タックん。いけずだね☆」


 指をくわえるブレッド。

 だけど君、その装備どう見てもレジェンドだろ!

 とツッコミたくなるのと同時に、いつの間に着替えたの! ともツッコミたくなる。


 ブレッドは軽装ながらも、ほんのり淡い光を放つ鎧に身を包んでいた。





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 タックの習得スキル一覧。本文に書くと長くなるのでこちらで。


 

【習得スキル】

 ファイア☆10 / ファイアーボール☆3

 ファイアーウォール☆5 / フレイム☆10

 ウィンド☆5 / アイス☆10

 ブリザー☆5 / サンダー☆10

 スパーク☆5 / ロック☆8

 エンチャントウェポン☆5 / エナジードレイン☆3

 魔力上昇☆10 / 瞑想☆10



 ファイアブラスト☆10 / フレイムバースト☆10

 アイスストーム☆10 / ライトニング☆10

 アースクエイク☆8 / コメット☆10

 早口言葉☆10 / 魔力感知☆5

 マジックコーティング☆10 / 研究☆10

 テレポート☆1 / スパイダーウェーブ☆5



 HP上昇☆10 / MP上昇☆10

 ものまね☆3




 習得スキル上段は下級職の魔術師

 中段は上位職の魔導師

 下段がエタノビのスキルとなります。

 




 

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