第8話「小学生時代の回想(前編)」
俺には、誰にも話していない秘密がある。
あれは今から七年前、当時小学生だった俺は、一人で下校していた。すると、突然、突風が巻き起こり、ユーフォ―が目の前に現れたのである。突然の事態にガクブルする俺。思考停止していた俺を、ユーフォ―から一人の宇宙人が現れ、あれよあれよと連れ去ったのである。
未知との遭遇。
今だから笑い話だけど、人生最大の危機だったね。今、思い出しても背筋が凍る。
俺を連れ去った宇宙人、仮にAとする。Aは、地球の住民を調べ、気に入った住民を採取していた。地球の感覚で言うならば、いわゆる密漁である。地球は星間条約を結んでいない発展途上星らしく、セキュリティは、がばがばで密漁等の悪事をやりたい放題できるとか。
Aは密漁の常習犯で、運悪く俺はAのターゲットにされてしまったのだ。
訳も分からず泣き叫ぶ俺。このままドナドナの如く地球をおさらばするんだと嘆いていたら、別の宇宙人が現れた。そいつは、Aよりも一回り大きい筋肉ムキムキの男で、別の大きなユーフォ―から無理やり乱入してきたのである。
今度は、誰? と思ったらAの親だった。
Aの親、仮にBとする。
Bは、Aを見るや怒声を挙げてAをタコ殴りにした。その後、俺に「地球語」で説明を始めたのである。その言葉は、流暢な日本語で、子供だった俺でもある程度事情を理解できた。
要約すると、「息子の罪を許して欲しい。示談にしてくれ」とのことだった。
Aの行為は、地球で言う密漁に当たる。法律が定まっていない昔は、現地人の乱獲が横行していたようで、今は未開の星でも人を拉致したら罪になるらしい。宇宙にも人権団体、いや、どっちかと言うと動物愛護団体のほうがしっくりくるかな。とにかく、そういう団体が力を持っているようで、Aは刑務所に入るかもしれないとのことだ。特に、俺は未成年だから相当重くなるらしい。
宇宙人は宇宙人なりに法律があって、違反すれば地球のように罪に問われる。まぁ、宇宙人の科学力を前にすれば、地球の科学力なんて赤子そのものだ。示談なんてせず証拠である俺ごと消せばいいと思った。だが、宇宙人の警察も優秀なようで、下手なごまかしは効かないとのことだ。証拠の揉み消しなんてすれば、さらに罪が重くなるんだとか。
で、だ。
当時、俺はただの小学生だ。宇宙人の要望を断る勇気なんてあるはずがない。
Bの提案をすぐに受け入れたよ。
そして、示談の結果、俺はAの私物を譲り受けることになった。
Aの私物……。
そりゃすごかった。
例を挙げれば、
地球破壊爆弾……文字通り使用すれば、地球を木っ端微塵にできる。
キラーマシーン……気に入らない奴をボタン一つ押すだけで消せる。一度消したものは元に戻せない。
無限増殖装置……物体を永遠に増殖できる。ただし、停止ボタンは無し。
などなど。他にもたくさん紹介されたが、どれも使い方ひとつで人類が滅亡するようなものばかりだった。
さすが地球人を密漁をするような悪人だと思ったね。
はっきり言ってどれも要らなかった。
あまりにデンジャーすぎる。
何度も要らないと言ったが、Bは言うことを聞いてくれない。俺がウンと言うまでひたすら粘って交渉してきたのである。
俺は、早く家に帰りたかったから、了承せざるを得なかった。
俺が選んだ道具。
「
これがまだましだったのだ。
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