第5話 告白
抱きしめられながら、龍の自殺の原因となる告白を、聞いていた。
「樹海にいたはずなのに目が覚めたら、病院にいた。
俺を助けた人の名を聞いてすぐわかったよ。
しかも、死ぬまで夢を見させてって、訳わかんないこと言ってさ。」
(わかってたの?)
「俺は、お前を好きだったんだ。言い訳にしかならないけど。」
「でも、憎い母が死んでなんか、生きる意味あるのかって
今はいつの間にか、同棲ごっこが俺の居場所になっていた。」
「仕事終わって、お前のいる家に帰って。
ただいまー、お帰りって言ってくれて。」
(龍の顔は、見えないけど泣いていた。)
「ありがとう。お前を傷つけた、俺なのに救ってくれて。」
(気づいて、いたんだ。私まで、泣けてきた。ありがとう、私だって救われたんだよ。)
3月 ひな祭り 春ー桜を見る
いつもより早起きして、はりきって色とりどりのお弁当を作って、桜を見に行く。
青空ベースのスクリーンに、桜の木々が何本も浮出ているようだ。
何百年も、生きた木々たち。
この木々たちは、どれだけのストーリーを見てきたのか。
風が吹くたびにひらひらと、花びらが散ってく。
白い桜の花びらが、個々に美しさを競っているようだ。
4月 エイプリルフール
思い切り、だましてやろうと思っていた。
「俺、樹海に戻る。」
「えー。えー」死ぬの?頭の中は、パニック
龍は、舌をだす。
くしょー、先手を取られた。
ふと、私が復学できないのかなあ。と、言った言葉に
「戻りたいのか?」と、問う。
わからない。
何故か、口から出ただけなの。
エイプリルフールなんだから、学校に問い合わせてみようよ。
それ、関係あるかなあ。
問い合わせてみたら、2年まで終了していたので可能ということ。
うちら、樹海に戻るんじゃなかったっけ。
5月 子供の日 もう関係ない?が男の子の日ということで
二人とも、未来のない身なので服は、極力買わなかった。
しかし、あまりにもよれよれの服しかないんで、白いシャツをプレゼントする。
6月 樹海に戻る?
約束の月に、なったね。
夢かなえてくれて、今までありがとう。
私は、いろいろ考えたけど
大学に戻ろうと思う。生きていこうと、思う。
だから、もう同棲ごっこから解放してあげる。
「何、俺の気持ち無視して言ってくれてるの。ばっかじゃねー
俺も、復学するかなあ。(今更、勉強したくないけど。)
同棲ごっこから、解放してくれるなら本当の同棲をはじめよう。」
「えっ、本当に?」顔中に笑顔が、あふれ出る。
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