第4話ー死ぬために生きる。
あれから、3カ月が過ぎた。
最初に安いアパートを探した。シャワーとトイレ付、小さいキッチンと部屋が8畳1間で、2万。
敷金が半年分。最低限の電化製品も揃えた。それでも二人には痛い出費。
仕事も、探した。
家から、なるべく近いところで。
龍は、土木作業員。
私は、コンビニの店員。
慣れない、仕事に弱音を吐きながら励んでいた。
まるで、憧れの新婚家庭。朝早く、弁当も作った。
12月は、二人で映画や、クリスマスイブの夜のライトアップ、プラネタリウム、彼氏と行きたかった、私の夢を次々と叶えた。
1月は初もうでに行き、いつもと違い混雑している人をかき分けながら二人で、おみくじを引いた。
やったー。二人共、大吉。
「今年もよろしくお願いします。」
「ああ、よろしくな」と、ぶっきらぼうに返ってくる。
2月は、バレンタインでーに冬至にいった。ぶっかっこうな手作りチョコをあげる。
市販の方が良かったなと、呟いたのを聞き逃さなかった。
本当、ささやかな夢だ。
半年後死ぬために生きるなんて。カウントダウンまであと3か月。
仕事から帰って、シャワーを浴びて二人で、ご飯を食べる。
この日常にも慣れてきた。
私の隣に龍がいる。仕事場のぐちをいったり、テレビを見て大笑いをしたり。
不思議だけどあの日、樹海に行かなければなかった、日常。
ある時、龍に突然抱きしめられた。
えー、何、突き放そうとしても力はかなわない。
そのまま聞いてほしい。
昔、父の死後 俺の母は、男をとっかえひっかえした結果 俺を捨てた。
俺は、それから施設で育った。母に優しい言葉をかけられたことも、抱きしめられた記憶もない。
憧れや、憎しみ、愛されたい。いろんな、感情が入り混ざっていた。
俺は付き合った女に、俺を捨てた母を見ていたのかも。
自殺未遂のまえに市役所から俺に連絡があった。
母が、孤独死していて身元保証人が必要とのこと
(冗談じゃない。小学生の頃だぜ別れたの。
どうやって、調べたのか。まったく。)
市が葬儀をおこなってくれた。
遺影をみても、懐かしいとも思わなかった。
ただ、母を恨むことで生きてきた。
自分が張り合いとしてたものがなくなって
あの樹海に行った。
女性とも付き合えば、付き合うほど不信感がうまれた。
まるで、母の血がDNAでうけつがれたみたいに。
付き合ってる女が突然どこかに行ってしまう気がして。捨てられる気がして。
俺は、大学1のチャラ男になっていた。
100人達成したら、その人とマジに付き合う。宣言をした。
でも、そいつは処女で今までの娘とは、違っていて。
なんだか、怖くてちゃんと付き合えるかどうか自信がなくて。
人を愛したことも、愛されたこともないから。
ぼつぼつと、龍は私の返事をまつでなく淡々と今までの思いを吐き出していた。
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