第3話ー夢をみさせて
3日間、龍は目を覚まさなかった。
私は、何やってるんだろう。
樹海で死ぬつもりで、大学もバイトも辞めて、アパートも携帯も解約したのに。
人を助けて、病院にいる。
本人が、目を覚ますまで医療費まで立て替えて。
二度と会いたくなかった人なのに。
4日目、病室に行くと龍は、目を覚ましてベットに座っていた。
今まで目を閉じてずっと寝てた人が座ることができ、私を視線でとらえる。
うれしさもあり、思わず照れる。
開口一番「あんた誰?」
こんな反応かあ。半年は付き合ってたのに忘れたってか。
「あんたの命の恩人」恩着せがましくいう。
誰も、頼んでないぞ。あんただって、あんなところにいたってことは俺と同じだろう。
「うっ、痛いところをつく。でも、しょうがないじゃないほっとけなかったんだから。」
おれさ、もう死ぬつもりだったからお金はすっからかんだし。帰るところもないんだ。プータローだ。ここの、医療費立て替えてもらったって。払えないし。
(う、うるさい。私だって帰るところはない)
これからのことは、退院してから話そうよ。
そう、4人部屋でカーテンの仕切りだけでは、音がもれて恥ずかしい。
ここの声に、集中している。
もう、いつ退院してもいいといわれたので、さっそくお昼に退院した。
また、金が出てくー。
龍は、お前がかってなことをしたんだからと言わんばかりにふてくされた態度。
退院
病院から少し離れた所にある公園で、腰をおろした。
「少し、これからのことを考えたの。」
「何。」
「これから、半年私に夢をみさせてほしいの。
クリスマスに彼氏と過ごして、お正月もデートして、バレンタインもデートして。半年だけ。」
お前の彼氏になれってか。ていうか、振られてあそこへいったのか?
「そうよ。悪い?あんたは、どうして自殺したのよ。」
聞きたいか?
「聞きたいわよ。」
いつか、言うわ。きが向いたときにな。
「なんか、ずるいわよ。」
「女って怖いなー。そんなことで、男を恨んで死ぬんだろ?」
「そんなことって何よ。」
(私の顔なんか、覚えてないはずだよね)
「早いところ、二人で住むところみつけて仕事もみつけて、半年いきてみない?」
かったるいなー。とりあえず、Hしてから考えるか?
「そういうのいらないから。」
えー。一緒に住むってそういうことじゃないの?
「それは、よそですましていいから。」
「よそでって。馬鹿じゃねぇの。犬ころっじゃあるまいし。」
(100人達成のお前がいうか。)思いっきり睨みつけた。
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