第2話ー前の彼
その時、えっ、何。
視界に人が、寝てる?のが見えた。
こんな所にまっ、まさか。先客?
きゃー。死体なんて、見たくない。
ど、どうしよう。やっぱ、自殺だよね。ぎゃー。
ここは、見て見ぬふりを決め込むか。
しばし、悩んだ末近づく。若い男が、倒れこんでいる。
周りに、薬の錠剤が散らばっている。
自殺か。どうしよう。
まさか、遭遇するなんて。
顔が、はっきり視界に飛び込んでくる。
えっ、え-。こいつ、林田 龍。
1年の時、私を振った奴。
なんで、こんな所で死んでるの? ハハハ、天罰が当たったんだあ。
なんて、チャラけてる余裕はない。
顔を近づけてみる。息がある。助けなきゃ。
携帯で、救急車を呼ぶ。
住所ー矢吉良儀から、深く進んだ樹海です。
誰ー通りすがりのものです。
支離滅裂な、会話だったけど何とか伝わったらしい。
しばらくすると、ドローンが頭上に飛んできた。
私は、大きく手を振った。
それから、しばらくして頭上に救助用のヘリコプターが来た。
すぐに病院へと運ばれ、龍は適切な処置で命はとりとめた。
なんだか、とても複雑な気持ち。
助けてよかったのか?
私も、ノコノコついてきて。
まあ、どっちにしろ樹海に残れる状況じゃなかったけど。
龍の持ち物は、何もなくズボンのポケットに小銭が入ってるだけ。
私ときたら、死後処理で家族に迷惑かけないように、まとまったお金を残した。
だって、12月に振られるとは思わなかったから。
クリスマスとか正月とかイベント用に貯めてたお金。ポケットには、カードが入っている。
なのに、こいつときたら潔いというか。
病院の受付で看護師から、保証人になってくれと言われて断らなかった。
つくづく、馬鹿だなあ。あんな振られ方したくせに。
「俺さ、目標数達成したから、別れてよ。」その時のセリフが頭に浮かぶ。
友達が、止めてくれたのもきかずに、学園1のチャラ男と、付き合った。
もう、真面目に一人の人に尽くすんだ。なんて、歯の浮くセリフも様になってた。
100人彼女達成とか言って浮かれてた。
馬鹿野郎。
でも、なんかさあ。何もいえなかった。かっこよくて、お喋りがたのしくて、きっと結婚詐欺とかこんな感じだろうなあ。一緒に、夢を見てたんだ。
でも、夢から覚めたら心はボロボロになった。
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