第44話 仲間たちとの宴
「じゃ、洋と美香さんの結婚を祝ってカンパ―――イ」
「「カンパ―――イ!!」」
披露宴を終えた俺達は、2次会という名の飲み会を行うため服を着替えて雄一たちと川野辺駅近くの居酒屋へと移動していた。
当初は北里夫妻の焼き鳥屋か呑兵衛横丁でという話もあったらしいけど"俺達が飲めないじゃん!"という店主の一言と両者の店では少々手狭ということでここに決まったらしい。
この店は拓也の知り合いがオーナーをやってる大手のフランチャイルズ店で比較的新しくパーティールーム的な個室もあり今日みたいな宴会にはぴったりだ。
あらためて会場内を見ると、沢山の見知った顔が酒を飲み盛り上がっている。
今日の為に一時帰国してくれた雄一と誠子、二次会の店の手配など色々と動いてくれた拓也と美津子、受付や会計など裏方仕事を引き受けてくれた五月に大樹先輩。そして先程までレクリエーションで場を盛り上げてくれた会社の同僚や後輩。そして美香の友人や職場の同僚ともいえる先生方。
結婚式や披露宴からの人も居るけど、大半の人はこの飲み会のためだけに大切な休みを潰して祝福に来てくれたんだよな。
そんな物思いに耽っていると俺の近くに見知った夫婦が近づいてきた。
「とりあえず、めでたいよな。行き遅れてた洋がこんな可愛い嫁さん捕まえて」
「そうよね。それも私たちより一回り近く若い子をお嫁さんに貰っちゃうなんて」
「本当だよ。まさか私より若い子が兄貴の奥さんになるとは思わなかったわ。。。でも美香ちゃん可愛いから大歓迎だけどね♪」
と雄一に誠子。そしてその後ろに着くように凛子。
本人を前に言いたい放題だな・・・って3人とも結構酔ってるだろ。
そして奥のテーブルでは美香が三宅先生達に囲まれてなにやら絡まれてる。
「もう美香ズルいよ!私より先に結婚するとか!」
「そうですよ。私より若いのに・・・」
「え~と百合子も富田先生も落ち着いて・・・」
「とにかく!相良さんの後輩とか部下とか今度いい人紹介してよね!」
「ははは・・・」
先生達も結構飲んでるなあれは。。。
でも本当ありがたいよな。
俺達のためにこんなにたくさんの人が集まって祝福してくれて。
「どうしたんですか?」
先生達の輪から抜け出してきた美香が俺にたずねてきた。
「ん?みんなが俺達のお祝いに来てくれたんだなぁ~ってな」
「そうですね・・・そう思うと嬉しいですよね」
「だな」
「2人共何真面目な顔してるんですか?」
と及川ちゃんこと元西村ちゃんが俺達のところに近づいてきた。
彼女にも世話になったよな。
俺みたいなおっさんが美香と付き合えたのも彼女のフォローあってこそだったのかもしれない。
「ありがとな本当に」
「は?どうしたんですか急に。キモイですよ。
それより、前にも言いましたけど美香を泣かせるようなことしたら絶対に許しませんからね。ちゃんと幸せにしてあげてくださいよ!」
「もちろんだ。幸せにするよ」
「上出来です。それでこそ相良さんです」
満足したのか俺達に微笑みを残し旦那たちのもとへと戻っていった。
「梨花ちゃん相変わらずですね」
「昔からあんな感じなのか?」
「はい。素直じゃないんです。でも根は良い子ですよ」
「ああ、それは知ってる」
その後も皆で談笑したり、記念写真を撮ったりと楽しく盛り上がった。
そして開始から4時間。楽しい宴もついに終わりの時間となった。
俺は雄一に促され急遽締めの挨拶をすることになった。
「今日は折角の休みなのに俺と美香のために集まってくれてありがとうございました。本当嬉しいです。
俺達は今日夫婦となりました。歳だけはいってますが、初婚で若葉マークな旦那です。美香共々色々と迷惑をかけることもこの先あるかもしれませんが、互いに支え合い共に人生を歩んでいきたいと思います。これからも私た2人をどうぞよろしくお願いいたします」
美香と2人深々とお辞儀をするとみんなからの拍手が鳴り響いた。
居酒屋の入り口で皆にお礼を告げながら送り出した後、今からアメリカに戻るという雄一達に別れを告げ俺達も帰宅の途に就いた。
「終わりましたね」
「ああ、長いような短いような1日だったな」
「疲れました?」
「まぁちょっとな。でも今はそれ以上に幸せな気分だ」
「・・・私もです。で・・・その・・・今日って結婚初夜ですよね」
「え?そ そうだよな初夜だよな」
「・・・疲れてるでしょうし無理は・・・大丈夫ですからね」
「あ ああ」
そんな潤んだ瞳で見られたら・・・疲れも吹っ飛ぶって。
その日の夜はお互いの愛しい気持ちを確かめ合うかのように熱く盛り上がった。
「愛してるよ美香」
「私もです。洋さん」
*****************
次回エピローグで本編完結となります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます