第43話 結婚式④
川野辺高校生徒のサプライズメッセージが終わったところで、美香はお色直しの為に控室に向かった。
結構号泣してたし化粧も落ちて大変なことになってたけど大丈夫だろうか?
俺と美香で編集したビデオ映像が流れる中、1人会場に残された俺は映像を眺めながらそんな心配をしていた。
会場では、美味しい料理を食べながら映像が鑑賞されていた。
時折歓声が起こったりと盛り上がっているようだ。
映像は俺と美香が知り会ってからの写真を繋ぎ合わせたものだけど六景島でのデートや浴衣で参加した川野辺天神のお祭り、美香のメイド服も見れた川野辺高校の文化祭。そして雄一達との飲み会。
今思うとここ数か月は俺の人生何年分?ってくらい凄く充実してたよな。
これも美香と出会えたおかげなのかもしれない。
と物思いに耽っていると式場の係の子が俺を呼びに来た。
『そろそろ美香さんの準備が終わりますので控室までお願いします』
『了解』
控室に移動すると淡いグリーンのドレスを着た美香が化粧も終わり座っていた。
「あ、洋さん・・?どうしたんですか?」
「いや・・・その・・・そのドレスも綺麗だな。似合ってる」
「な、い 衣装合わせで何度も見てるじゃないですか・・・恥ずかしいです」
「仲が良いですね。お2人共」
「あ、永田さん」
「どうも。お邪魔しちゃってすみません」
「あ、いいえそんな」
「冗談ですよ。準備できたみたいですね。この後私が"新郎新婦が再入場します"ってアナウンスしますので、それを合図に入場いただければと思います」
「「はい」」
と永田さんは俺達を残し司会席へと戻っていった。
大変だよな時間配分とか考えながら進行しなきゃならないんだから。
そして、ドアの前に移動して少し待っていると会場から永田さんの声が聞こえた。
「新婦のお色直しが終了しました。新郎新婦が再入場しますので大きな拍手でお迎えください!」
扉が開き俺と美香が踏み出すとスポットライトが俺達を照らした。
そして大きな拍手が鳴り響く中俺達は各テーブルを周りロウソクに火を灯してまわった。
各テーブルには久しぶりに会う親類や友人達が居る。
当然の様に各テーブルでは昔話をしたり写真を撮ったりと盛り上がる。
凛子や永田さんから話は聞いていたけど、こういうのって話の辞め時が難しい。
一応各テーブル2,3分くらいを目途にとは言われてたけど・・・
美香も学生時代の友人や高校の先生方と記念写真を撮っている。
そして・・・雄一達のテーブルに到着した。
雄一に誠子さん、そして大樹先輩に五月さん。
当然のことに話は盛り上がるが・・・いつまでもこのテーブルに居るわけにもいかないので募る話は2次会でということで切り上げた。
各テーブルで取った写真。これもいい思い出になりそうだな。
そして、各テーブルをまわり終え俺達が席に着くと余興が開始された。
「続いては余興になります。まずは新婦の美香さんの学生時代のご友人から歌のプレゼントです」
と三宅先生と西村ちゃん、それにさっきキャンドルサービスの時に紹介してもらった学生時代の友人数名が前に出てきた。
「相良さん、美香。この度はご結婚おめでとうございます。
まさか私が先を越されるとは思いませんでしたが、お2人の幸せを祈りこの歌をプレゼントさせていただきます。聞いてください」
と三宅先生の挨拶の後、90年代の某ミュージシャンが歌った人気のウエディングソングを歌ってくれた。
三宅先生も歌うまだったけどハモリを入れる西村ちゃんも中々の美声。
そしてコーラスの友人達。練習したんだろなこれ。
素晴らしい歌が終わると続いては俺の友人達からも歌のプレゼントということで・・・雄一達が登場した。
田辺夫妻に小早川夫妻、それに北里夫妻の6人。皆学生時代の悪友だ。
「え~今、ご紹介にあずかりました新郎の学生時代の友人 田辺です。新郎の洋は高校時代に知り合い沢山遊び、学び、一緒に楽しい時間を過ごしてきた大切な友人です。ですので今日のこの日をとても嬉しく思っています。本当におめでとう。
そんな僕らからも歌のプレゼントです。聞いてください」
と雄一は挨拶のあとカラオケの演奏に合わせアラフォー6人組が最近の流行歌を歌い始めた。確かこの曲途中にラップとかあったよな・・・・
などと思ってると『ん?今洋とか美香とか言わなかったか?』『いや言ってるよな・・・』雄一あたりの企画なんだろうけど歌詞を俺と美香の馴れ初めに置き換えて作り直してるぞこれ・・・ある意味凄いな。
と感心していると問題のラップ部分。どうするのかと思っていたら大樹先輩が滑らかにラップパートをこれもまた歌詞を変えて歌った。
いや、意外な人がって感じもあるけどかなり歌いこんでる感あったな。宴会芸?
そして歌が終わると大きな拍手が。
いやほんとクオリティ高いし歌もうまいわ。
雄一って昔からこういう事には必要以上に力を使うよな。
と場も和み盛り上がったところで祝電が読み上げられ披露宴もあと少しとなった。次はいよいよ美香から両親への手紙だ。
博嗣さん達の前に移動し手紙を読むはずの美香が何やら慌てている。
って美香どうした?もしかして手紙が無いのか?
と俺は周りを見渡すと元居たテーブルのところに封筒が・・・
俺はさりげなくテーブルに戻り手紙を拾い美香に渡した。
『あ、ありがとうございます』
『落ち着いて。博嗣さん達待ってるよ』
『はい』
少しハプニングはあったけど仕切り直しということで美香は再度両親の前に立ち手紙を読み始めた。
「お父さん、お母さん。今日まで本当にありがとうございました。ずっと伝えられなかった感謝の想いを手紙にしました。聞いて下さい」
美香の気持ちのこもった感謝の手紙。
小さい頃の思い出話や学生時代、教師として働き始めた頃の話しなど美香らしい優しい言葉で博嗣さん達への感謝の気持ちが込められていた。
博嗣さんも由香さんも涙ぐんでる。
「お父さんお母さん、これからも甘えてしまう事もあるかもしれませんが、夫婦ふたりで協力しがんばっていきますので、あたたかく見守っていてください。お父さんお母さん・・・ありがとう・・・」
最後の方は少し涙声だったけど頑張ったな美香。
美香の手紙が終わると親父がマイクを取り謝辞を述べた。
俺がやろうかとも思ったんだけど、親父関連の参列の人も居るということもあり親父に頼んだよな。
でも頼んで正解だった。場慣れしているというか堂々とした振る舞いと言葉は場の空気を締めてくれた。流石だな。
そして、司会の永田さんによる閉会の言葉をもって披露宴も終了となった。
退場時の曲は俺のお気に入りの楽曲。後輩の相原に勧められて聞くようになったガボールってバンドの曲だ。
美香とのドライブの時にもよく聞いてた思い出の曲。
そんな曲と皆の拍手に送られて俺達は会場を後にした。
控室に戻った俺と美香は放心状態だった。
「終わったな」
「終わりましたね」
「まだ夢の中みたいだよ」
「私もです旦那様♡」
やばい・・・このまま美香をお持ち帰りしたい・・・
でもこの後は雄一達と2次会なんだよな。
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あと2話位で完結予定です。
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