第23話 旧友との再会②

やはり気心のしれた友人との飲みは楽しい。

何年も会っていなかったのに会話も全く途切れない。


「そういえば、健吾と楓ちゃんとはお祭りで会ったんだよな」

「あぁ 拓也の焼き鳥食べに行く前に偶然な。最もあの時は2人が健吾君と楓ちゃんとは思わなかったから ろくに話もしなかったけど」

「まぁそうだよな、2人とも大きくなったしわからなくても仕方ない。

 しかし、拓也のやつも出店してたのか。久々にあいつとも会いたいな」

「誘ったんだが旅行行く予定が入ってたみたいでな、来年帰国したらあいつの店を貸し切りにして飲み会開くからそれまで我慢しとけ」

「そりゃ楽しみだな」


確かにあの時は美香の生徒さんって位にしか見てなかったからな。

向こうも俺の事とか覚えてなかっただろうし。

と考え事をしていると、健吾君が美香の事を自分の担任だと雄一たちに説明をしていた。何というかこれも不思議な縁だよな。

ん?雄一と大樹先輩が美香の方に移動したな。


「え~と 小島先生。今更ですが健吾の父です。息子が色々とお世話になっている様で」

「あ、私は楓の父です。部活でもお世話になってるとか。ご挨拶が遅れ失礼しました」


って保護者モードに入っちゃったよ。誠子さんと五月さんもさっきまで美香を捕まえて飲んだくれていたのに急に背筋伸ばしてるし(今更何を・・・)

美香もこんなところで挨拶されても気まずいだろ。

ということで助け船でも出そうかと思っていたら健吾君が雄一たちに注意をしてくれた。本当よく出来た息子さんだ。


「そういう事。今日は俺の婚約者の小島美香さんという事で接してあげてくれ」


俺もやんわりと注意しておいた。

そして、


「ちなみに先生と言えば、田中と山口さんも健吾君達を教えてるらしいぞ」


と田中と山口さんの話題に転換し結婚話を持ち出してみた。

良い感じに会話はそれたが『それ内緒にしておかないと・・・』と美香に怒られてしまった。。。

そうだよな田中や山口さんが美香の同僚ってことは健吾君たちの先生でもあるんだよな。何だか俺より健吾君の方がしっかりしてるんじゃないか?


その後も盛り上がったが、ジュースと間違えて飲んでしまったのかお酒を飲んで酔ってしまった楓ちゃんと付き添いの健吾君、少し疲れた顔をしていた美香を連れて2階の休憩室に移動した。

2階には式場用の撮影スタジオがあるんだけど、丁度1組のカップルが撮影をしていた。美香と楓ちゃんも撮影に釘付けになっている。

やっぱりウエディングドレスって女性には特別なんだろうな。


「美香 俺達も式ちゃんと挙げような」

「は はい」


少し照れてる美香が本当に愛おしい。

健吾君と楓ちゃんも何だかイチャついてるけど最近の高校生って・・・


楓ちゃんの酔いもだいぶさめたので、個室に戻ると相変わらず飲んだくれている俺の友人と身内。何だか駄目な大人大集合って感じだなこれ。


と俺達が戻ったのに気が付いた凛子と兄貴がニヤニヤしながら近づいてきた。

なにやら俺達についてこいとの事。

途中男女で別れ美香と楓ちゃんは凛子に俺と健吾君は兄貴についていくことになった。そして向かった先は・・・衣装部屋。

何でもここで会食をするって決まった段階で凛子が結婚写真を俺達にサプライズでプレゼントしたいと言い出したらしい。


「凛子のやつ・・・・・」


何というか本当兄貴思いの良い妹だよ。

ちなみに健吾君と楓ちゃんは雄一たちが『俺んちの子供らも』的なノリで便乗したらしい。

そして、タキシードに着替えた俺は美香の待つ撮影スタジオへ移動した。


「洋さん。その・・・似合ってますか?」


少しして現れた美香と楓ちゃん。

正直言葉を失った。今日のドレスは凛子のセレクトということらしいけど、美香にぴったりでものすごく似合っていた。見惚れるってこういうことを言うんだな。

などと思っていると


「ほら、新郎の2人! ちゃんと新婦さんに"綺麗だよ"とか感想の一言位言って上げなさい!」

「そうよ!言わないと伝わらないわよ!」


と誠子さんと五月さんからヤジが飛んできた。酔っ払いどもが・・・

いつの間にか雄一や大樹先輩、誠子さんに五月さん、紅葉ちゃんと全員がスタジオに入ってきていた。もちろん皆結構酔っている。

言われなくてもわかったはいたけど、中々言葉が出てこない。

そして俺は近くに来た美香に


「綺麗だよ」


と一言いうので精一杯だった。

その後、色々なポーズで写真撮影を行ったが年甲斐もなく緊張してしまった。

仕事でプレゼンするよりもよっぽど緊張したわ・・・

でも、美香は終始笑顔で本当嬉しそうだった。

こんな事なら博嗣さんと由香さんも呼んであげればよかったな。


緊張の中行われた俺と美香の撮影会の後は、高校生カップルの健吾君と楓ちゃんの撮影。2人とも高身長で美男美女ということもあり中々様になっていた。


そして、俺の隣りにはまだ夢見心地でウエディングドレスを着た美香が居る。

何だか早く本当のウエディングドレスを着せてあげたくなってきてしまった。


撮影会を終えた後は、皆で夕食を食べ遅い時間まで語り合った。

まぁ大半は俺と美香の馴れ初めや昔話が多かったけどな。

そして別れ際。俺は雄一たちに伝えた。


「雄一たちが帰国する前になるかもしれないが、次会うときは俺と美香の結婚式だと思う。招待状送るから是非来てくれ」

「あぁもちろんだ」

「田辺君と小早川さんも是非来てくださいね」

「はい。先生のウエディングドレスまた見たいです!」


俺達は再会の約束をし長かった宴も終わった。

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