第22話 旧友との再会①
シルバーウィークに突入した。
いつもの俺であれば、休みの日も出勤して溜まった仕事を片付けたりと典型的な社畜仕事人間だったわけだが、今回は逆に溜まった有休を使い長期休暇を楽しんでいる。
同僚からは"恋人が出来ると随分変わりますね"とか言われたけどまぁ・・・間違いではないかもな。美香と知り合って俺も随分変わった気がする。
さて、そんな連休だけど、今日は旧友である雄一と会う約束をした日だ。
凛子のレストランで会う約束をしているんだけど、まぁ久々に飲み明かしたいという事もあり愛車は家に置いて、俺と美香は川野辺駅前からバスに乗って移動していた。
「今日会う雄一と大樹先輩は高校の頃からの友人でな。大学出た後も昔はよく会ってたんだ」
「いいですねーそういう友達って。
ところで、その雄一さんと大樹さんなんですが、私のクラスにお子さんがいるんですよ」
「えっ!そうなのかって俺の同級生の子供がもう高校生なのか?」
「そうみたいですよ。ほら、この間お祭りで会った二人ですよ。お子さんって」
「あの子たちが雄一と大樹さんの?ってことは健吾君と楓ちゃん?
そ そうか。確かに雄一も大樹さんも大学を出てすぐに結婚したし、子供が出来てたからもう高校生くらいか。にしても・・・健吾君と楓ちゃんは小さいころに遊んであげたことあるんだよな」
「はい。今日も来るみたいですよ。この間学校で教えてくれました。
"当日急に自分たちが現れたら先生パニックになるんじゃないか"って・・・」
「はは 確かにな」
へぇ中々気が利くな。確かに婚約者の知り合いに会いに行って、生徒とその両親が居たら慌てるよな。そういうとこ気付けるとか中々あいつらも大人だな。
「あ、そういえば今日って凛子さんも来るんですよね?」
「ああ来るぞ。ただ、凛子は雄一や大樹先輩というより奥さんの誠子さん五月さん目当てだな。女子高の先輩なんだよ」
「へぇ不思議な縁ですね」
「全くだ。ところで、凛子の奴結構強引なところあるけど大丈夫か?嫌なことは嫌って言っていいんだからな」
「大丈夫ですよ。最初はちょっと驚きましたけど、私ひとりっ子だったから本当のお姉さんが出来たみたいでむしろ嬉しいです」
「そうか、それならいいんだけどな」
美香と気が合ってくれたみたいで良かったけど、結構強引だからなあいつ・・・
まぁ悪い奴ではないからな。
などと話ししているうちに会食を行うレストラン最寄りのバス停に到着した。
お店に着くと凛子と兄貴が出迎えてくれた。
「いらっしゃ〜い美香ちゃん!!待ってたよぉ」
と兄である俺そっちのけで美香に抱き着く凛子。
美香は俺のだからな!
「凛子さんこんにちわ」
「う~ん美香ちゃん 凛子姉さんでしょ!」
「・・・はい凛子姉さん」
「うぅ可愛い・・・」
何だか妹が変だがまぁ仲良くやってくれてるんだろう。
「凛子、兄貴今日はよろしくな」
「あぁ私も雄一君たちとは久々だから楽しみだよ」
雄一たちは俺の家にもよく遊びに来ていたから兄貴とも顔見知りなんだよな。
兄貴に案内され個室でコーヒーを飲んで休んでいると、凛子が雄一たちを案内して部屋に入ってきた。
「兄さん。田辺さんたちが来ましたのでご案内しました」
「おぅありがとな」
凛子に続いて、何だか懐かしい旧友の顔が見えた。
お互い歳は取ったけど昔の面影はある。
「雄一、それに大樹先輩、誠子さんに五月さん。よく来てくれました!
それから健吾君と楓さん、紅葉さんだったね。
健吾君と楓さんはこの間の祭りで会ったけど、まさか雄一たちのお子さんとはなぁ~」
「相変わらずだな。でも元気そうで何よりだ。
で、お隣の方が婚約者の小島さんかな?行き遅れたかと思ってたけど可愛い嫁さん見つけて!」
「あ、あの小島美香です。よろしくお願いします」
ドアの前に立ち止まり思わず語り合ってしまったけど、兄貴に促され皆で席についた。そして兄貴の進行で皆の自己紹介。
こうしてみると健吾君は誠子さんに雰囲気が似てるのかな。でも背が高いのと目元というか顔立ちは雄一似かな。
楓ちゃんは五月さんに似ている感じかな。
にしても2人ともバスケやってるって話だけど背が高いよな。
料理も運ばれてきていたが、俺は早速、雄一と大樹先輩の隣に座りお互いの近況や昔話に花を咲かせた。
「随分久しぶりだよな。前に会ったのは8年前くらいか?」
「そうだな、俺は転勤前だったからな」
「俺は前に職場近くで会ったよな」
「そうそう。新橋で後輩と飯食べてたら偶然。大樹先輩も勤務先が近くだったんですよね」
「まぁこの業界は広いようで狭いからな」
そうなんだよな。話を聞いてみたら俺の会社の取引先の1つだったんだよな大樹先輩の会社。その内一緒に仕事したりすることがあるかもな。
「雄一は来年戻るんだろ?」
「あぁ予定していた業務はほぼ完了したから、後は残務処理だな。春にはこっちに戻ってくる予定だ」
「春か思ったより早いんだな。家はどうするんだ?」
「そうそう。後で幸治さんに相談しようかと思ってな。川野辺に家買おうかと思ってる」
「はは やっぱりこの町がいいのか」
「だな 職場は横浜の予定だけど何だかこの町は落ち着くからな」
そうか。この町に帰ってくるなら、北里の店や呑兵衛横丁でまた飲んだりもできそうだな。
「ふっ 俺が帰ってきたら夜な夜な飲めるとか考えてたんだろ」
「よくわかったな」
「それくらいわかるって。だけどあんな可愛い嫁さん貰うんだから飲み歩きはほどほどにしろよ」
ごもっとも・・・
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