第19話 お祭り③

18話ですが、7年目の約束とのリンクする部分を書き忘れてたので改稿しました(2020/2/5)

*************

拓也の焼き鳥屋台。

本来はまだ営業時間内のはずだけど、何故か北里夫妻はビール片手に俺達と談笑していた。バイトの子に任せてるみたいだけど・・・いいのか?


「いや~ 田中と山口ちゃんが結婚するのは本当に嬉しい。

 二人とも色々あったからなぁ」

「はい。拓也先輩や美津子先輩にも凄く感謝してます」

「うんうん。仲良くするんだぞ。家庭内まで俺達は喧嘩の仲裁に行けないからな」

「はは・・・気を付けます」


まぁ田中と山口さんは喧嘩すると大体山口さんの勝ちで終わるんだけどな・・・

山口さんって結構毒舌だし、田中は口下手だからな。


「それから!俺的には相良がこんな美人さんを婚約者として連れてきたのが更に嬉しい!正直こいつは結婚とか興味ないと思ってたからな。

 こいつは良い奴なんだよ。ただな色々不器用なだけなんだ」

「ほらほら拓也。飲みすぎなんだって。。。

 でもまぁ酔っ払いの戯言じゃなく、本当おめでとう。

 私達も自分の事の様に嬉しいよ。

 美香ちゃん。見た目は冴えないおっさんだけどこいつは本当に良い奴だから仲良くしてやってな」

「はい。洋さんは私にもったいなくらいに素敵な人です。大切にします」


真顔で親友二人に"いい奴" "いい奴"って結構恥ずかしいぞ・・・

それに美香まで・・・いかん。このままじゃ褒め殺しだ。話題を変えねば!


「そ そういえば、今度のシルバーウィークに雄一が帰ってくるぞ」

「ん?雄一って確か転勤でアメリカに行ったんだよな?

 任期って来年までじゃなかったっけ?」

「まとまった休みが久しぶりに取れたからって一時帰国するらしい。

 会う約束してるんだけど、お前らどうする?」


そう。美香とのデートの後、思い立って数年ぶりに雄一にメールをしたら丁度帰国するという話が出たので久々に会う約束をしたんだ。

あいつと会うのも随分久々だ。


「う~ん 行きたいところだけど、子供連れて旅行に行く予定入れてるんだよな。

 悪いけど今回は見送るわ」

「僕たちも式場の下見とか色々予定入れてしまっていて申し訳ないんですが」


だよな。連休何だし予定入れてるよな。

まっ仕方ないかな。それじゃ大樹先輩にでも声掛けるかな。あの人なら奥さん含め会いに来そうだし。


「了解。まぁ急に決まった話だからな。

 来年には戻ってくるわけだし、その時は拓也の店貸し切って楽しもうぜ!」

「だな。うちの店の売り上げにもなるしな」

「そこは、お友達価格というやつでな」

「まぁ、それはそれでw」


などと話をしていると祭り会場に花火を開始するアナウンスが流れた。


「お、もう花火の時間か?」

「そんな時間なのか。話ししてると時間過ぎるのも早いな」


『ヒュ~~ ドーン』


「おっ早速始まったみたいだな」


皆でテントを出て空を見上げる。

雲一つない夜空に花火の大輪がいくつも咲き誇る。

花火が終われば長かった川野辺天神のお祭りも終了だ。


「綺麗ですね」

「あぁ」


「ふふ、相良君。そこは"美香の方が綺麗だよ"とか言ってあげないと」

「ば ばか何を言って」

「そ そんなつもりで綺麗って言ったんじゃ・・・」

「二人とも照れちゃって可愛い♪」


何だか美津子さんにからかわれてしまったが、確かに美香の浴衣姿は綺麗だ。

普段はどちらかというは"可愛い"という感じなんだけど、浴衣の色もあるのか髪をアップした美香は色気もあり"綺麗"という表現がしっくりくる。

ただ、やっぱり面と向かって言うのは照れるよな。


花火は十数分夜空を彩った。

短い時間だが、町内会の予算でこれだけの打ち上げ花火を行うのは中々のもんだ。結構花火って高いし警備とか防災とか大変だからな。


「何か片付けとか手伝えることあるか?」


テントに戻った俺は拓也に声を掛けた。


「いや大丈夫だよ。機材は大体片付けたしテントは町内会のレンタルだからな」

「そうか。じゃ俺たちはそろそろ帰るかな」

「了解。また連絡する。今度またゆっくり飲もうぜ!

 もちろん美香さんもな」

「おぅ じゃ焼き鳥とビールごちそうさま」

「ご馳走様でした」


俺たちは拓也のテントを出て祭り会場を後にした。

毎年の事だけど、あいつらと話していると時間もあっという間に過ぎるし、昔を思い出して気分的に若返った気持ちになれる。


「いい人達ですね」

「あぁ そう思って貰えると嬉しいよ。

 俺の大切な友達だ。あいつらには美香を紹介しておきたくてな」

「ありがとうございます。

 今度、北里ご夫妻の焼き鳥屋さんにも連れてってくださいね」

「もちろん それから今度は美香の友達も紹介してくれな」

「はい。もちろんです。

 あっ でも可愛い子多いですけど浮気は駄目ですよ」

「はは 大丈夫だって」


その後、俺は美香を家に送ったわけだけど・・・そのまま美香の家に泊まることになった。

何というか、その日はお互い浴衣という事で、いつもと違うシチュエーションに家に着いたとたん盛り上がってしまい・・・色々と張り切ってしまった。


浴衣。ちょっとコスプレちっくな感じもあり"たまにはこういうのもいいな"とか思ってしまった。

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