第18話 お祭り②
随分人も増えてきたな。
鳥居前まで戻って来た俺たちは、ある人を待っていた。
「誰と待ち合わせなんですか?」
「ふふ 美香も多分知ってる人だよ。
相手にも婚約者を紹介するって言ってあるだけだから
ちょっとしたサプライズかな。
おっ来たみたいだな。田中!」
俺の呼びかけに気が付いたのか、その人はこちらに向かって歩いてきた。
「ご無沙汰してます先輩」
「あぁ近くに住んでる割には数年ぶりだよな」
「ですね。僕もまさか地元の高校で教職につくとは・・・って小島先生?」
俺と話をしていた田中は、横に居る女性を見て驚いていた。
「田中先生・・・ですよね?」
「何でここに? えっ!もしかして先輩の婚約者って」
「ふふ 驚いただろ」
「驚きましたよ!!思いっきり僕の同僚じゃないですか!
それに最近小島先生に彼氏が出来て綺麗になったって職員の間でも噂になってたんですよ!その噂のお相手がまさか先輩だったとは」
「そ そんな噂が先生方の間で流れてたんですか?
それに先輩ってことは田中先生って洋さんの学校の後輩?」
「そうだよ。大学のサークルの先輩でね。色々とお世話になったんだ。
後、噂は・・・まぁみんなこういう話好きだからね」
「何だか恥ずかしいですね・・・」
「ちなみに先生だけじゃなく生徒からも小島先生綺麗になったって話題だよ。
だけど、先輩なら"渋くてカッコいいおじさまと付き合ってる"っ噂も納得だ」
「ぶっ そんなこと言われてるのか?」
なんだそれ。歳はそれなりだけど、俺の中に渋いって要素あるのか?
まだチャラいおっさんの方がしっくりする気もするぞ。
「いや〜とにかく二人ともおめでとうございます!」
「ありがとな。
ちなみに今から拓也のところ行くんだけど、田中も拓也の焼き鳥食べるだろ?」
「はい。もちろんです!
ただ・・・僕も彼女と待ち合わせしているんでお参りした後で顔出します」
「・・・もしかして、山口さんか?」
「はい。実は近々籍を入れる予定なんです」
「そうか!ついにか本当良かったな」
「ありがとうございます。後でご挨拶に伺います」
田中と山口さんは学生時代から付き合ったり別れたりを繰り返してたみたいだから正直心配してたんだけど、本当に良かった。
「え?山口ってもしかして化学の恵梨香先生?」
「うっ・・・小島先生。僕らが付き合ってることは校長先生にしか話してないから、まだ内密にしておいてくださいね」
「は はい。何だか驚きましたけど了解です」
そうか。山口さんも川野辺高校の先生になったんだったな。
ということは美香とも同僚なのか。
田舎町とはいえ、美香の周りに俺の知り合い結構いるんだな。
などと思いながら、俺達は田中を見送り露店が並ぶ一角まで移動した。
お腹も空いてきたし、焼き鳥の前に何か食べるかな
俺は近くの店でイカ焼きと焼きそばを買って、飲食用のテントに移動した。
「屋台の食事って何だか美味しいですよね」
「そうだな。普通の焼きそばやイカ焼き何だけど美味しく感じるよな」
とビールを飲みながら軽めの食事をした。
結構テント内は賑わっていたが、しばらくすると高校生位のカップルが隣にやってきた。
「隣失礼します・・・・って小島先生!!」
「え?田辺君!」
ん?先生ってことは美香の生徒か?
何だか美香も慌ててるな。
まぁ生徒にデート現場見られるのは気まずいか。
「美香の生徒さん達かな?」
「え!はい」
助け船って程じゃないけど、変に追及されても困るだろうし俺から話しかけてみた。
「初めまして。美香、君たちからすると小島先生って言った方がいいのかな?
とお付き合いしている相良です。僕も川野辺高校のOBなんだよ。」
「は はじめまして。先生にはいつも色々とお世話になってます。
卒業生の方なんですね。」
中々礼儀正しい子だな・・・・でも何だかどこかで会ったことあるような・・・
「先生、先生カッコいい彼氏さんですね。
馴れ初めは、何処で知り合ったんですか!」
女の子の方は、やっぱりこういう話好きなんだな。
可愛い子だけど、この子もどこかで・・・
「そ そういう話はこ今度また・・・・洋さんそろそろ行きましょか!」
おっ美香の方が限界かw
まぁ丁度食事も終わったところだったしな。
「ん?あぁ じゃ君達もお祭り楽しんでね!」
「はい。ありがとうございます」
と高校生カップルに別れを告げ、俺達は友人の待つ焼き鳥屋台へ向かった。
--------
「拓也!来たぞ」
と俺は露店の奥で焼き鳥を焼いている友人に声を掛けた。
「おぅ洋か。久々だな。たまにはうちの店にも飲みに来いよな・・・・
って、もしかしてだけど隣の美女がお前の婚約者か?」
「あぁ小島 美香さんだ」
「小島です。よろしくお願いします」
「あ あぁ俺は北里 拓也です。洋とは中学からの同級生で・・・・
ってなんでお前がこんな若くて可愛い子と付き合ってるんだよ。
羨まし過ぎるぞ!」
何だか俺の扱い酷くないか?いいじゃないか俺が可愛いこと付き合っても。
一応サラリーマン頑張って今課長だよ俺。
「そりゃ相良さんって、誰かさんと違ってカッコいいし優しいですからね」
「うっ 美津子」
おっ最強の嫁さん登場。こいつ美津子さんには敵わないからな。
そう、拓也と美津子さん、それに俺は中学からの腐れ縁の遊び仲間だ。
こいつら二人は更に前幼稚園時代からの仲らしいが、当時から拓也は美津子さんには頭が上がらないらしい。
ちなみに田中や山口さんは大学時代のサークルの後輩だ。
「相変わらずだなお前らは
久しぶりだな美津子さん」
「あ あの」
「あ、ごめんなさいね。私は北里美津子。こいつの嫁で相良君とも同級生ね
相良君も本当久しぶりね。
・・・にしても本当 可愛い子捕まえたわね。
小島さんだよね。焼き鳥食べれるでしょ?今日は婚約祝って事でお姉さんが奢っちゃうから焼き鳥でもビールでも好きなだけ飲み食いしちゃって!」
「おっ気前がいねぇ美津子さん」
「まぁ焼き鳥焼くのは旦那だけどね。今日は奢るから今度二人で家の店にも飲みに来なさいよ!」
「あぁ是非寄らせてもらうよ」
ということで、露店奥のイートイン用のテントに場所を貰い美味しい焼き鳥を食べながらビールを飲むという至福の時間を楽しんだ。
「美味しいだろここの焼き鳥」
「はい。凄く美味しいです。お肉もジューシーですし炭火の焼き具合も絶妙で。
お店ってどこらへんなんですか?私も地元なのに知りませんでした」
「この神社の近くだよ。駅からは少し離れてるからな。俺も中々来れなくてな」
やっぱり拓也の焼く焼き鳥は絶品だな。
路地裏だし、地元民が行く隠れた名店ってやつなのかもしれないな。
などと思っていると田中たちが到着した。
「先輩」
「おっ来たか座れ座れ」
さっき別れた田中が、恋人である山口さんを連れてやってきたのだ。
「相良さん。お久しぶりです。
それから・・・・まさか小島先生とここで会うとは思わなかったです」
「山口さんも元気そうだな。確かに美香とは同僚だもんな」
「はい。小島先生とは職員室の席も近いんですよね」
「はい。私も田中先生と山口先生がお付き合いされてるとは・・・
何というかむしろいつも喧嘩しているようなイメージだったんですが」
そう。こいつら昔からお互い好意を持ってるにも関わらず、お互いツンデレというか会うと喧嘩ばっかりだったんだよな。何度仲を取り持っていやったことか。
「まぁあれだ。喧嘩するほど仲が良いってな。
言いたい事をお互い言い合える仲ってのも大切だと思うぞ」
「流石先輩!良いこといますねぇ」
「でもまぁ実際、私たちが付き合ってこれたのも相良先輩や北里先輩達が間に入ってくれたところも大きかったと思うんですよね。私たちが喧嘩別れすると必ず仲裁に入ってくれましたからね」
「結構苦労したんだぞ」
「「感謝してます」」
そして、露店の仕事がひと段落した北里夫妻も加えビールに焼き鳥を食べながら昔話やこれからの事など語り合った。
******************
2020/2/5 7年目の約束の夏祭り②とリンクする部分が書き漏れていたので追記
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます