レモン味のラムネ 台詞全訳
レモン味のラムネ 奈津崎弁台詞全訳(第一話~第五話)
§第一話
●広新線、乗客のおばさん
「……あいあい、まーっさえらさっけ」
訳:あぁ、すっごく疲れた
「あれー、あん車む
訳:あれさぁ、あの車もすれ違えないような狭い道あるでしょ? あの日、自転車で走ってそこに入った時、いきなり目の前にトラックが来て、さっと逃げたら畑に真っ逆さまに落ちちゃって、派手にこけちゃった! 自転車? 壊れたよ、そりゃ。そうじゃない。私の骨が折れた、っていう話!
●車内アナウンス
「……次は、ハタミヤー、ハタミヤー。
訳 次は、ハタミヤー、ハタミヤー、降り口、左側ですー
●注意してきたおじさん
「やい、うめえ! 聞いちゅるけ?」
訳:おい、お前! 聞いてるか?
「あつっ
訳:後に利用する人のことを考えろ!
「クヅぐれぇまくり!」
訳:ゴミぐらい捨てろ!
§第二話
●構内アナウンス
「
訳:広新線をご利用いただき、誠にありがとうございます。幡宮、幡宮駅です。西京快速へのお乗り換えは三番ホーム、幡香線へのお乗り換えは五番ホームからですー
●タクシーの運転手さん
「
訳:そこのあなた、どこへ行かれますか?
「
訳:違う違う、あなた様って意味だよ。
「あー。
訳:あー、あなた県外から来たの?
「はーん、ざげん変な語り方なんざ!」
訳:へー、だから変な話し方なんだ!
「フテルけ……」
訳:ホテルか……。
「
訳:今日は五神送りだから、センター街方面は行けない。祭りの人たちがたくさんいすぎて、こんなタクシーじゃ身動き取れないだろ。
「知らんなん?
訳:知らないんだ? 山明大社の「大社祭り」のことだよ。西京の「八仙祭り」、幡宮の「五神送り」って言えば、この辺りじゃ有名だよ。
「まー、
訳:まー、あなたはそこの「観音町」から奈津電(奈津崎電気軌道、路面電車のこと。今日は祭りなので動いていない!)に乗りな。四時四十五分になったら来るから。
「……やかまっせ」
訳:うるせえな。
§第三話 レモン頭
●山明大社、司会者のアナウンス
「えー、亀山
訳:亀山女性連合『紅蓮団』の皆さん、ありがとうございました。これで本日出演するグループは全て出揃いました。観音町商工会並びに青年会・鶯川青年会・亀山青年会・丘田青年会の皆さんも、重ねてありがとうございました。
「さて、
訳:さて、万和二十年度「五神送り」二日目のプログラムも終盤に差し掛かりましたが、会場の皆さん、アンコールはありますか?
「すれぜぁ、『
訳:それじゃ、亀山青年会のみんな、準備はいい?
●見物客の合いの手
「まーっちゅっ、まーっちゅっ!」
訳:もう一回、もう一回!
●祭りの掛け声
「ヤッセー! ヤッセー!」
訳:よいしょ! よいしょ!
●レモン戦士シュワッチャーと司会のお姉さん
「うめえら、かちあいはいかんて! かちあいする
訳:君たち、喧嘩はダメだよ! 喧嘩する悪い子は、俺が退治するモン!
※「モン」はレモンのモン
「ああー! みんなんヒーロー、『レモン戦士シュワッチャー』が
訳:ああー! みんなのヒーロー、「レモン戦士シュワッチャー」が来てくれたよ!
「シュワッチャーが
訳:シュワッチャーがいるからもう安心! シュワッチャー、早くみんな助けて!
〇子供の囃し声
「気ばりー!」
訳:がんばれー!
「奈津崎ん平和は、
訳:奈津崎の平和は、俺が守る! ピース・アウト!
●祭りの見物客の老夫婦
「あれて?」
訳:あれって?
「あぁ、あんレムン頭は奈津崎んマスカラざい」
訳:あぁ、あのレモン頭は奈津崎のマスコットキャラクターだよ
「ありゃ
訳:あれは元々幡宮のマスコットキャラクターだったんだけど、最近じゃこんなイベントがあるときはいつも出てくるんだ。中々可愛いでしょ?
§第四話 下津絣の女
●秋実さんとの出会い(伝説の始まり)
「やい、うめえまさか、きっちゃんけ?」
訳:ねえ、君まさか君?
※「きっちゃん」というのは親しみを込めた二人称
「あー、やっぱきっちゃんざー! 久しぶりー、元気ね?」
訳:あー、やっぱり君か! 久しぶりー、元気?
「
訳:誰って……。言わなくても、知ってるでしょ?
「あいあい、
訳:あーぁ、ホントに忘れたの? なんで私が分からないんだ、佐藤幾多郎くん
「
訳:秋実だよ、木中秋実。覚えてないの、この顔?
「ざーげーん、昔、同級生ざってっぱ? あれー、小学生ん
訳:だーかーらー、昔、同級生でしょ? あのー、小学生の時、家の反対側の川で二人で遊んだでしょ。カエルとりとかして。
「さーさー。
訳:そうそう、後は……。あー、海に行って、泳いだりもしたっけ。ウチから海、近いじゃん? いやー、あの時はすっごく楽しかった!
「あ?」
訳:え?
「ま、まぁ……、昔ん
訳:ま、まぁ……、昔のことだから、私も忘れちゃったよ!
「あぁ、くれけ? 見えんだけで、内側に帯があるんざに」
訳:ああ、これ? 見えないだけで、内側に帯があるのよ。
「
訳:下津絣の安いヤツ。西京更紗にするかで悩んだけど、結局これ選んだ
「はぁ?
訳:はぁ? 安城の「西京更紗」知らないの? 高級品だよ。私、大学ん時四年西京に住んでたけど、ずっと買おうと思ってたんだー
「『
訳:東京って……、何?
「きっちゃん、さっきから
訳:君、さっきから高野県の人みたいな話し方してるね。小学校の後、あっちの方にいたの?
「サイタマ? すれ、づくん話?」
訳:サイタマ? それ、どこの話?
「さーさー!
訳:そうそう! 今日は祭りだから、親戚みんなで私の家に集まってお酒飲んでるんだ。君も来る?
「ええっぱ、別に。たくさん人来るし、一人ぐらい知らん
訳:いいでしょ、別に。たくさん人来るし、一人ぐらい知らない顔がいても誰も気づかないよ。
「何? くん
訳:何? この後、どっか行く予定あるの?
「なら、決まり! みんなで
訳:「なら、決まり! みんなで飲もう、飲もう!」
「
訳:私も早く帰って片づけとか手伝わなきゃだし。今すぐ決めて!
「うん、
訳:うん、問題ない。ついてきて!
「
訳:ごめん、俺じゃなくて「私」だよね。私も奈津崎に戻ってからもう大分長いから、方言がきつくなっちゃって
「あ? 『
訳:え? 俺って男しか使っちゃいけないの?
§第五話 木中家の猫
「チョコラートなづ食う?」
訳:チョコレートとか食べる?
「『チョコレート』て……、何すれ? 変な発音!」
訳:チョコレートって……、何それ? 変な発音!
「何
訳:何言ってるのよ。おばさん扱いしないで!
「……やっぱし
訳:……やっぱり、方言きつい?
「私も西京に
訳:私も西京にいた時はちょっと安城弁が移ったけど、今はもう大体津州弁だよ。田舎者丸出しだよねー
「
訳:違う違う、津州の「シン」は、「奈津崎」の「津」だよ
「くん辺りは昔、『
訳:この辺りは昔、「津州」って言って、北の方が「上津」、南の方が「下津」って呼ばれてたんだ。南の方は訛りが特に強いからね、お爺さんたちは「ウ」と「オ」の区別ができない。私は気をつけりゃ発音できるけど、お年寄りはなぁ……。
「知らん。出身ぬゎ
訳:知らない。出身は下津の三峪だけど、高校の時は上津の幡宮だし、色々混ざってるでしょ?
「ああ、すりゃ『サイショ』て
訳:ああ、それは「サイショ」って読むんだよ
「すりゃ『
訳:それは「
「八時十分に『
訳:八時十分に「卯頭山」を出て、今「税所」だから……、九時過ぎに着くでしょ。後、三十分ぐらいか
「すりゃ
訳:そりゃ平洲と北東道だよ。君、どっかで頭ぶつけた?
「何
訳:何言ってんの。「北東」、「北西」、「南東」、「南西」って言うでしょ? 「東北」じゃ順番が逆だよ
「うめえ、大事け? しっかりす、佐藤幾多郎くん」
訳:あなた、大丈夫? しっかりして、佐藤幾多郎くん。
●秋実さんの車で家まで行く途中
「中古車ざぜん、
訳:中古車だけど、かっこいいでしょ?
「気張ってフイッツで
訳:がんばってフイッツで通ったよ。あー、あの三年は大変だった。
「あぁ、バイクん
訳:あぁ、バイクのこと
「『フイッツ』て、フランス語け?」
訳:「フイッツ」って、フランス語?
「Motorcycleは自動二輪ざっぱ? フイッツは英語んbikeざい」
訳:モーターサイクルは自動二輪でしょ? フイッツは英語のbikeだよ
「『自転車』て何?」
訳:自転車って何?
「まぁ、週三たー言え、
訳:まぁ、週三とは言え、今でも三峪から幡宮まで出勤するの大変で……。私、車の運転苦手なんだよ。ドゥラスク(=教習所)で免許証取ったのなんて、二十五の時だし
「ドゥライビングスクールざい。高野県ぬゎ『自動車学校』て言うけ?」
訳:ドライビングスクールだよ。高野県は自動車学校って言う?
●車を降りた後、秋実さんの実家の前
「レモン。奈津崎ん名産品ぬゎレモンざっぱ」
訳:レモン。奈津崎の名産品はレモンでしょ
〇猫小屋の張り紙
「なぜるな!」
訳:触るな!
「ああ、県が条例で決まっちゅんざ。あったしゃんと、
訳:ああ、県の条例で決まってるんだ。ああしないと、猫が増えるから
●木中家玄関
「ただいまー」
訳:ただいまー
「
訳:お姉ちゃーん!
「いや、親戚ん
訳:いや、親戚の子たち。かわいいでしょ?
子供「くん
訳:この人、誰?
「
訳:姉ちゃんの昔の友達だよ
父「アキミ、今帰ってけ? うめえ、
訳:アキミ、今帰ったか? お前、遅くまでどこに行ってた?
秋実「別に、
訳:別に、山明大社の辺りでぶらぶらしただけ!
父「酒買ぁてけ?」
訳:酒買ったか?
「ねーや、すなんが!
訳:ないよ、そんなの! 家にある南海焼酎だけで我慢して!
「
訳:とにかく、上がって何か食べな。疲れてるでしょ?
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