伊波県先住民高良族のクレオール「Taquarano」
一時期スペインの支配を受けた
発話例
A「クムバッヤー? Kumuba ’yaa?(お元気ですか?)」
B「ビーンビーン、グラサス。Biin-biin, gurasas (or grasas).(元気です、ありがとう)」
・クムバヤー
スペイン語の¿Cómo te va? からか。「クムワ゛ッヤー?」 と発音する例もあり、こちらはポルトガル語から来たのだろう。
・ビーンビーン
スペイン語のbienまたはポルトガル語のbemから。
・グラサス
Gurasas, grasasはgracias(西)かgraças(葡)の崩れた形。
A「ウンディンカイ イル゛? Undinkay ir?(どこに行くんですか?)」
B「ワ゛ー インドゥ サ イク゜リ゜ーサ Vaa indu sa ikliisa.(私は教会に行きます)」
・ウンディンカイ どこへ
「どこ」は「ウンディ undi」、「どこへ」は「ウンディンカイ undinkay」、「サウンディ sa-undi」とも。
スペイン語的な「adunkay」というのも用いられていたが、これだと「a dónde」の「a」と「nkay」で意味が重複してしまっている。
・イル゛
スペイン語やポルトガル語の動詞と同じように、たとえ元は日本語の動詞であっても最後にRがつく。
イル゛ ir 行く
ヌミル゛ numir 飲む
カミル゛ kamir 食べる
これらの動詞は人称活用はしないが、スペイン語やポルトガル語の現在分詞(-ndo)と同じように〜ンドゥをつけると現在進行形を表すことができる。
Estoy yendo → "indu" インドゥ 行っている
Estoy comiendo → "kamindu" カミンドゥ 食べている
Estoy bebiendo → numindu ヌミンドゥ 飲んでいる
例 ヤーンカイ ヌミンドゥ サキトゥ Yaankai numindu sakitu
家でお酒を飲んでいる。
・イク゜リ゜ーサ 教会(スペイン語のiglesiaから)
イク゜リーザとも、ポルトガル語のigrejaから
A「ヌー グストゥ カミル゛? Nuu gustu kamir?(何を食べるのが好きですか?)」
B「ワ゛ー グストゥ カミル゛ バーブイ Vaa gustu kamir baabuy(私は豚(肉)を食べるのが好きです)」
・グストゥ スペイン語のgusto、またはポルトガル語のgostoから
なんというデタラメだ! と思うかもしれないが、フィリピンには実際にスペイン語とセブアノ語の混成言語のチャバカノ語というのがある。よかったら調べてみてね。
変更:ikurをスペイン語と同じirに変えてみた。
★高良クレオール(Taquarano)の発話例(一応決定版)
例1
「ウラ゜ー、クムスタッヤー?」
「ビーンザイビーン、グラサス! ッヤー?」
IPA転写
ulaː, kumusta ʔjaː?
biːn dzai (zai) biːn, gurasas(またはgrasas). ʔjaː?
母音のウはuと発音される。
和訳
「こんにちは、元気?」
「元気だよ、ありがとう。あなたは?」
例2
「サ・ウンディ・行く?」
「リスト゜ラントゥンカイ・行く」
「ヌー・
「アヤー! ワ゛ー・グストゥ・
IPA転写
sa ʔundi iku?
ristrant-uŋkai iku.
nuː kamir? t͡saklit kaju?
ajaː, vaː gustu kamir baːbuiziru.
「どこに行く?」
「レストランに行く」
「何食べる? チョコレート粥※注1?」
「えー! 豚汁が食べたい!」
※注1 サ゜ク゜リ゜ト゜
高良諸島で一般的に食される煮干しの乗ったチョコレートのお粥。フィリピンのチャンポラード(champorado)に似たもの。
●表記に関して
末子音のSを「ㇲ」、または「ス゜」と表記する例もある。
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