第二コマ 使い勝手の良いLMS:オリエンテーションその二
まず最初に、隠井は、リアルタイム配信用のアプリである『Zoom』と、『Google』が提供している〈LMS〉の登録を、その場で全員にやらせたのであった。
なるほど確かに、二〇二〇年代の今の大学生のほとんどは、物心のついた頃から、当たり前のようにスマフォを使ってきた、いわゆる〈デジタル・ネイティヴ〉世代なので、スマフォは息を吸うように使えるのに、パソコンは苦手という若者も案外少なくはない。
だから、必要アプリの事前登録は自分でやっておいて、と完全に学生任せにはせずに、過保護かな、と思いつつも、隠井は、教場で全員で一緒に登録させたのであった。
ちなみに、LMSとは〈Learning Management System(ラーニング・マネージメント・システム)〉の略語で、つまるところ、学習を管理するシステムである。
さて、LMSは、インターネットによって教場での講義をサポートするために、二〇一〇年代、早い大学では、二〇〇〇年代半ばから導入され始めた。つまり、LMSとは、パソコンや携帯端末を使った学習、いわゆる「eラーニング」のベースとなるシステムなのだ。
だが、二〇一〇年代に幾つかの大学が採用したLMSの中には、非常にシンプルなものもあって、例えば、出席管理や、掲示板による情報の共有、あるいは、ワードやPDFなどによるファイルの提供など、語のまったき意味において、教場での講義の〈支援〉に留まっていたものも少なくはなかった。
しかし、二〇二〇年に勃発した感染症のパンデミックのせいで、キャンパスへの入構が禁止され、全ての講義をオンライン〈のみ〉でせざるを得ない状況に陥ってしまった時、幾つかのLMSの中には、確かに使い易くはあったものの、そのシンプルさ故に、フル・オンライン講義という状況に対応し切れない事が浮き彫りになってしまったものもあった。
その結果、全てではないにせよ、多くの大学が、使えるLMSとして採用したのが『Google』が提供している「Classroom」で、このLMSに加え、リアルタイム配信用の『Zoom』を使えば、少なくとも、内容に関しては、教場と然して変わらない講義を展開する事が可能となった。
やがて、〈対面講義〉が戻ってきた二〇二四年現在においても、使い勝手のよいLMSとして、隠井は「クラスルーム」を愛用している。
そして、これらのアプリの登録後、全員に自己紹介をさせながら、ゼミ生たちの興味・関心を引き出して、それを講義に活かそうと隠井は考えている次第なのである。
〈参考資料〉
〈WEB〉
「LMSとは(学習管理システム)」、『デジタル・ナレッジ』、二〇二四年四月二十二日閲覧。
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