【短編】俺にドキドキしてたんだ?

咲倉なこ

第1話



今日は修学旅行最終日。


すごく楽しかった北海道旅行が、今日で終わりなんて寂しすぎる。



「では班に分かれて自由行動です」



先生の合図とともに、予め決めていたグループに分かれる。


同じ班には、密かに想いを寄せている幼なじみの遥翔もいて。


実は今日を一番楽しみにしていた。



「最初どこ行くんだっけ?」


「オルゴール館じゃなかった?」



私が開いたしおりを覗き込んでくる遥翔。



「全然ちげーよ、小樽運河じゃん」



そう言った遥翔と目が合う。



「う、うるさいなー。じゃあ私に聞かないでよ」



意識する前は目が合うなんて普通のことだったのに。


今はそれだけでドキドキしちゃう。



目的地に向かう道なりには、沢山の食べ物屋さんがあった。



「ねー、ジンギスカンの串焼きとかあるんだけど!」


「こっち、ソフトクリームあるよ!食べよ!」



ついつい美味しそうな食べ物に目移りする。



「おまえさー、さっきから食いすぎじゃね?」


「いいじゃん、ここでしか食べられないんだよー」



同じ班に好きな人がいるだけで、修学旅行が何倍も楽しい。



「ねー、どら焼きジェラートだって!超おいしそう!」


「は!?さっきアイス食ったばっかじゃん」


「いいじゃん、いいじゃん!」



半ば強引にみんなを連れて、どら焼きジェラートを購入。



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