DLあそび
「あぁもう全然進まない」
そう言って彼女は映画を観る私の膝にダイブしてきた。
「どうしたの?」
と聞いて欲しいのだろう。心は画面の中に置いたまま口だけで聞いてみる。
「ゲームのダウンロードが25%から進まないー暇だよー」
最近ハマっているというリズムゲームのダウンロード画面を見せてくる。私が観ている映画が原因でwifiが遅くなってるんだろうけど言わない。今結構いいところだから。
「それは大変。映画観る?」
「ヒューマンドラマはあんまり好きじゃないんだよねーもっとドカン、バーン、ドバーッって分かりやすいのが好き」
「面白いのに」
「暇だなーかまってほしいなー」
膝の上でゴロゴロしながら私のシャツのボタンをいじっている。最近ボタンが取れやすいのってもしかしてこのせいか?…あぁもう集中が切れてきた。
「もう少しだから」
頭を撫でて落ち着かせようとするが全く効果がなく、なんならお返しと言わんばかりに手を伸ばして私の頭と首元を触ってきた。そこは私のやる気スイッチ。
後で見よ。
「じゃあ、ゲームしようか」
「えっ何する何する?イカする?ヒューマンの続き進める?」
飛び起きて立ち上がり変なポーズで喜びを表現している。多分、イカとヒューマンの真似。
「私が今考えたやつ」
テレビはつけたまま立ち上がり、キスをする。
「そっち系か〜ルールは?」
「とりあえずベッド行こう」
ルールは簡単。まず始めにダウンロードが50%になるまではキスしかしない。
「それだけ?」
「それだけ。私が先攻ね」
サイドチェストにスマホを置く。
28%
不思議そうな顔をしてる彼女をベッドに座らせて私は立ったまま身を屈めて軽いキスをする。唇を触れては離してを不安定なリズムで繰り返す。
次第に夢中になってきたのか、あちらからもキスを返そうとしてくる。
「だーめ。私が先攻って言ったでしょ」
「う…これはいけずなゲームだ」
37%
立ったままも辛くなってきたのでベッドに座る。彼女がいつもの癖で私の身体に触れないように両手をそれぞれ握っておく。
今度は軽いキスと深いキスを無作為に繰り返す。焦れてきたようで時々反射で身体に力が入る。
42%
唇と唇を離して頬にキスをする。額に、瞼に、鼻に、顎に。耳にキスをすると見せかけて息を吹きかける。反射。首にキスをする。反射。鎖骨にキスをする。反射。
「ねぇ…それ意地悪だよ」
「そう?次まであと2%だよ」
唇にキスをする。舌を口内に入れて歯茎をなぞっていく。犬歯のあたりをなぞると唾液が溢れてくる。
50%
「あ、50%いったね」
「…次は何?」
「次はこっち」
胸に手を当てる。おっ、ノーブラとは重力に挑んでいるじゃないか。フニフニと柔らかい感触を楽しむ。掌に硬いものが時々触れる。おっぱいの大きな彼女って最高だと常々思う。
「…これは何%までなの?」
「75%までね」
下から持ち上げる。八百グラムが両の手に。親指で先端を刺激してみる。先程とはまた少し違った反応になる。口元に手を当てジッとこちらを見ている。
56%
横になるように促して、腰の辺りに跨る。生地を伸ばすような動きで掌を回転させる。時々触れるか触れないかの位置に掌を上下させる。
上下の動きに合わせたかのようにフッ…フ…と時々空気が漏れたような音がする。
69%
ダウンロードの速度が上がってきた。
指を順番に閉じるようにして連続で先端に触れていく。
息を飲み込むように口を閉じる。鼻の奥から音が時折漏れてくる。
75%
「はーい75%です」
「…うん」
すっかりしおらしくなってきた。胸を上下させて呼吸をし、力の抜けた目でこちらをみてくる。
「次は100%ね」
力が抜けた目に期待の色が映る。
身体を足の間に滑り込ませて太ももの付け根に触れると、酸素と期待を求めて一際大きく胸が上にあがる。
「…ねぇ。何してるの」
「リンパマッサージ」
両手で片方の足の付け根を締めるように持ち、親指で揉みほぐしていく。太ももの付け根は特に流れが滞る。
87%
さらにダウンロードの速度が上がっている。
身体をさらに下へずらして足の先を持ち、くるぶしから膝へリンパを流す。
「…ねぇちょっと」
「75%からはリンパマッサージしか出来ないの」
ハァと溜息をついて目を隠すように手を顔に乗せる。やりすぎたかも。
「もう好きにしてよ」
何度か膝へリンパを流すと今度は膝を両手で膝の裏を持ち裂くように外側へ流す。今度は逆の足。マッサージが気持ち良くなってきたのか力が抜けてくる。
92%
太ももを両手で掴み上へ上へと流していく。これも両足。そのあと再び付け根から腰へ流していく。
100%
「ダウンロード終わったよ」
パンと足を叩いてマッサージ終了。久しぶりにマッサージをして疲れた。腰を伸ばして映画の続きを観ようとベッドから降りると腕を掴まれた。
「次は後攻の私の番でしょ?」
「リズムゲームするんじゃなかったの?」
「今はこっちのゲームの気分」
あららら、やりすぎちゃった。今度は私のスマホにアプリをインストールする所からだって。
このゲーム、始めるまでにめちゃくちゃ時間かかってた記憶があるんだけど。
「じゃあインストールの25%まではマッサージね」
ん?インストールの?ニヤニヤしちゃって。暇を潰せたようでなによりです。
短編百合小説 六畳一間 @rokujyo_hitoma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。短編百合小説の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます