逆行令嬢は聖女を辞退します

仲室日月奈

第1話

 ――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。


 降りしきる雨の中、山間の岩がせり出した場所で、少女は未来を願う。

 無駄に豪華な衣装はすでにずぶ濡れだ。

 雨よけも何もない。供もいない。聖女とは名ばかりの格好で晴れ乞いの儀式に臨んでから早数日。冷たい雨で体温は奪われ、視界はかすみ、意識も混濁してきた。

 独りぼっちの最期に、駆け寄る者はいなかった。


   ◇◆◇


「お嬢様。……アリーシャお嬢様」


 自分の名を呼ぶ声に、意識を戻す。

 左右を見渡し、無機質な神殿の中ではなく、自分好みに揃えられた調度品を見て実家の自室だと知る。

 

「一体どうしました、悩み事ですか?」


 ソファに座るアリーシャに淹れたばかりの紅茶を勧めるのは、長年この家に仕えてくれている従者だった。


「……ヴィル?」

「はい」


 見間違えるはずがない。

 深い海を覗き込んだような瞳に、さらさらの金髪。愛らしい顔立ちなのに、大人びた仕草が板についた彼はヴィルフレード。アリーシャ付きの従者だ。

 だけど、彼とは神殿に入る前に別れてから、一度も会っていない。第一、自分は聖女として、やまない雨を止めるために儀式をしていたはずだ。


(おかしいわ。どうしてわたくし、家にいるの?)


 服も神殿の服ではなく、侯爵令嬢らしい新緑のドレス姿だ。

 覚えることがいっぱいで時間に急かされる日々に、常に神官たちに見張られていた圧迫感とは無縁の空間。

 まるで時が巻き戻ったような――。


「もうじき、神殿から使者ご一行がご到着されます。お嬢様が聖女様に選ばれるなんて、本当に喜ばしいことです」

「……ご一行が?」

「ええ、そうですよ。お嬢様も楽しみにしていらしたでしょう?」


 その返事に、アリーシャは言葉を失った。


(……うそ、本当に時間が戻ってる? だとしたら、ここは三年前の世界?)


 本来なら、アリーシャより二歳上のヴィルフレードは十九歳。しかし、目の前の従者はまだ十五、六の顔つきだ。身長は高くなってきたが、顔つきは幼さが幾分残っている。


(わたくし、死んだはずよね? それがどうして、こんなことに……)


 現実が直視できない。脳が理解するのを拒んでいる。

 民の象徴として、名ばかりの聖女として迎え入れられたはずだった。

 見目のよい高貴な娘から次期聖女が選ばれ、ルルヴァン侯爵家の次女であるアリーシャが有力候補に挙がった。

 不自由のない生活。約束された地位。数年の任期を終えたら解放されるという約束で、その役目を承った。


 しかし、現実は残酷で。


 神殿の代表として、各地への慰問や祈祷。覚えなければならない作法や神殿の常識に辟易する毎日と質素な食事。

 極めつきは、たび重なる自然災害に農作物が大打撃を受けたことで、神殿に奉納される神の供物は激減し、形だけの聖女に民からの批判が殺到した。

 聖女の祈祷が神に届かなかった、と各地で起こる暴動を止めようと、神殿は聖女に雨を止めるように命令を下した。すなわち、一週間にわたる晴れ乞いの儀式をせよと。

 元はただの貴族令嬢に無茶な話だと止める者はいたが、最高権力者の声に逆らえる者はいなかった。


(ここが本当に三年前なのだとしたら……今ならまだ間に合う)


 決意を固めていると、遠慮がちに扉を叩く音がした。ヴィルフレードが入室を許可すると、小心者のメイドが頭を下げた。


「アリーシャお嬢様。神殿から使者の方々がご到着しました。応接間までお越しくださいませ」

「……わかったわ」


 これはチャンスだ。人生をやり直すための。

 アリーシャは数秒目を伏せ、ゆっくり立ち上がる。廊下に出ると、後ろにヴィルフレードがついてくるのがわかった。

 応接間には普段は王宮勤めで忙しい父母が揃い、使者は上級神官が一人ソファに座り、数人の神官がその後ろに立っていた。


「初めまして。アリーシャ・ルルヴァンでございます」


 ドレスの裾をひとつかみし、完璧な淑女の礼で挨拶を済ませると、座っていた上級神官が立ち上がる。


「この出会いを神に感謝を」


 芝居がかった所作で神に祈るポーズで応える神官を一瞥すると、父親が優しく声をかける。


「アリーシャ、座りなさい」

「はい」


 アリーシャが座ったのを見て上級神官も腰を再び下ろし、彼の側仕えから書類一式を受け取り、机に並べる。

 聖女就任にあたる契約書だ。


(……懐かしいわね)


 見覚えのある書類に視線を向けながら、神官の契約に関する諸説明を聞き流す。両親は相づちを打ちながら耳を傾け、時折話を遮って質問をしている。

 それを横目に眺め、アリーシャはそのときを待った。


(数年前は聖女は憧れの職業だった。誰からも敬われ、慈悲深い聖女としてお役目を果たせば、一人前のレディとして認められると信じて疑わなかった)


 しかし、それは夢物語だった。現実は絵本のように綺麗な話ばかりではない。

 未曾有の災害に理不尽に責められる聖女。何の力も持たない元貴族の娘にできることなど何もなかった。自分の無力さを痛感しただけだった。

 神官の説明が一通り終わり、無言で聞いていたアリーシャに視線が集まる。


「では、最後に確認いたします。アリーシャ様、聖女となって民を、私たちを導いてくださいますか?」

「――お断りします」

「はあ、お断り……って、え!?」

「何を言っているの、アリーシャ!?」


 周囲の動揺にアリーシャは眉一つ動かさず、淡々と繰り返す。


「聖女のお役目はお断りします。わたくしでは荷が重すぎます」

「で、ですが、一ヶ月前はぜひお引き受けしたいと返答があったと聞いていますが」


 焦ったような神官の言葉に、アリーシャは頷く。

 目元を伏せ、困ったように頬に手を当てる。


「わたくしに思慮が足りませんでした。ここ数日よく考えてみたのです。聖女様となる重圧に本当に耐えられるのかしら、と。確かに、聖女は名誉ある称号です。しかしながら、わたくしはまだ十四の娘です。世間に疎いわたくしでは、とてもお役目を果たせません」

「アリーシャ……」


 労るように母親が背中を撫でてくれる。

 もう一息だと、たたみかけるように言葉を尽くす。


「聖女とは民の象徴です。わたくしでは覚悟が足りません。どうか聖女には他の方にお願いいたしたく存じます」

「……なるほど。アリーシャ様のお気持ちはよくわかりました。私たちも無理強いして聖女をお願いするほど、落ちぶれているつもりはありません。聖女には違う方を探してみることにいたします」

「ありがとうございます」


 玄関先で上級神官たちを見送り、アリーシャは両親に詫びた。


「せっかくの機会を台無しにしてしまって申し訳ございません」

「いいのよ、アリーシャ。確かに聖女という役目はあなたには過酷だったかもしれません。国王陛下が聖女を望まれましたが、聖女はアリーシャである必要もないのだし、そんなに気にする必要はなくってよ」

「そうだ。候補は他にもたくさんいる。あまり自分を責めるものではない」

「……ありがとうございます」


 粛々と言葉を返し、アリーシャははやり立つ気持ちを抑えて自室へ戻った。

 一人きりの部屋で両手を突き上げる。


(やったわ。これで聖女の未来は回避できたわ……!)


 そのドアの向こうでは、ヴィルフレードが不審げな顔で立っていた。


   ◇◆◇


「お嬢様、本日は夜会の衣装合わせがございます。お菓子はその後にいたしましょう」

「ええ、わかったわ」


 ハーブティーを一口飲み、ホッと息をつく。

 それを確認してからヴィルフレードは銀のプレートに載った手紙を差し出す。


「これは?」

「シャルステン公爵家からのお茶会の招待状でございます」

「そう。公爵家からのお誘いなら断れないわね。出席で出しておいてちょうだい」

「かしこまりました」


 空になったティーカップをソーサーに戻し、テーブルに置く。

 片手を胸に当てて礼を取る様子はキビキビとしているが、美しすぎる顔立ちは従者というより主人と言われたほうがしっくりくる。

 アリーシャはかねてより考えていたことを口に出す。


「おじさまの爵位剥奪がなかったら、あなたは子爵令息として社交界を賑わせていたでしょうに」

「身に余るお言葉でございます」


 ヴィルフレードは昔からアリーシャの従者をしていたわけではない。

 小さい頃は、領地が近いこともあって、子爵令息としてよく家に遊びに来る間柄だった。

 爵位剥奪により領地が王家直轄になってからは家族は散り散りになり、嫡男で見目がよかったヴィルフレードはアリーシャの口利きで、ルルヴァン侯爵家の従者として引き取られた。


「そういえば、あなたは知っていて? 昔、あなたはわたくしの婚約者候補だったそうよ」


 雑談の延長で昔話をすると、ヴィルフレードは茶器を片付けていた手をぴくりと止めた。口を半開きさせたものの、驚きは声にはならない。ただ何かの感情を飲みこんだように、いつもの品のよい笑顔を浮かべた。


「存じ上げませんでした。ですが、それも過ぎたことです」

「そうね。だけど、あなたが本当に婚約者だったら、夜会を欠席する口実にできたのに」

「残念ですが、従者となった私では身分が違いますので、お役に立つことはできません。諦めてください」


 不敵に微笑まれ、アリーシャは肩をすくめた。


「あなたを養子として迎えたい申し出はたくさんあるのに。どうして断っているの?」

「さあ、どうしてでしょうね?」


 はぐらかされた。いつもこうだ。この従者はアリーシャに忠誠を誓ったくせに、肝心なときは言葉にするのを避ける。


(昔のようにはなれないのはわかっているけど、もう少し頼ってくれたらいいのに)


 困っていることがあったら、力になりたい。

 立場は変わってしまったけれど、今でも一番の味方でいたいと思っている。

 自分が結婚して家を出てしまったら、今までのようにそばにいることは難しくなるだろう。従者としてずっと一緒にはいられない。わかっていたことだが、最近はそのタイムリミットが来るのがこわい。

 けれど、それを悟られるわけにはいかない。

 アリーシャは淑女の笑みをはりつけ、小首を傾げてみせる。


「私の世話をしてくれるのはありがたいけれど、あなたもそろそろ将来のことをよく考えたほうがいいと思うわ」

「……考えてはおりますよ」

「そう? ならいいのだけど」


 午後のティータイムは針子の到着の知らせで終わりを告げた。


   ◇◆◇


「新たな聖女様が神殿に向かわれたそうです」


 朝のダンスレッスンを追えて自室に戻ると、ヴィルフレードが涼しげな顔で報告してきた。


「そう。どこのご令嬢になったのかしら?」

「南西のコリンエラ伯爵家の三女、ロロナ様です。おとなしい方だと伺っております。お役目もつつがなく終えられるでしょう」

「それは何よりね」


 一人用のソファに腰かけると、ヴィルフレードが焼き菓子のお皿を差し出した。

 円形の焼き目が美しいバタークッキーをつまむ。


「……アリーシャ様。どうして聖女を辞退されたのですか?」


 クッキーを持った格好のまま、アリーシャは数秒固まる。

 彼もお断りしたときに壁際で控えていたはずだ。今更説明する必要もない。なのに、質問をしてきたということは。


(疑われている? 急に態度を変えたから)


 当初は聖女に指名されて、嬉々として彼らの訪問を待っていた。契約の話も前のめりで聞いて、一も二もなく即答して神殿へ行ったのだ。

 それが突然のお断りとくれば、何があったのかと勘ぐるのも無理はない。


(どうしよう……きっと納得できていないから、質問をしてきたのでしょうし。へたに答えても嘘はすぐに見破られるし……困ったわ)


 藍色の瞳が、まっすぐに見つめてくる。逃げることはできない、と直感で悟る。

 アリーシャは心を決めた。


「信じられないかもしれないけれど、わたくし、未来を見たの。これから先、自然災害が続いて農作物は育たず、聖女は不幸な最期を迎えるわ。だから、わたくしは……未来を変えたいと思っています」

「……どうやって未来を変えるおつもりですか?」


 信じがたいと顔に書いてあったが、ひとまずは受け止めることにしたらしい。

 ヴィルフレードの問いに、ここ数日で考えた対策を言葉に出す。


「まず、植え付ける作物の種類を変えます。天災でも育つ丈夫なものに。次に、すべての責任を取らされる聖女様を攫います。そして、隣国の島国で新しい生活を始めます」

「…………ずいぶん突飛な計画ですが、それは実行可能なのですか?」

「時間がかかるかもしれませんが、お父様の説得から始めなければならないでしょう。ちなみに、聖女様と一緒に他国に逃げるには、ヴィルの力があれば不可能は可能になると考えています」


 記憶が確かならば、彼の母方の祖国が隣国だ。勝機はあると踏んでいる。

 昔なじみの従者が協力してくれるのならば。

 ヴィルフレードは無言でうつむいていたが、おもむろに顔を上げた。


「一応聞きますが、夢の中のお話ではないのですね?」

「現実の話です。これから起こる未来のことです。信じられませんか?」


 いきなり荒唐無稽の話を始めて信じろ、というほうが無理な話だ。

 ヴィルフレードはそっと息を吐き出して、唇を引き結ぶ。


「嘘を言っている様子はないですし、私は……お嬢様を信じます」

「本当に? 信じてくれるの?」

「私の力が必要だというのなら、全力で支えさせていただきます」


 頼もしい言葉が聞こえてきて、胸が締めつけられる。

 自分を肯定してくれる眼差しに頷き返すと、失礼します、と一言があって右手首をつかまれた。

 何だろう? とされるがままになっていると、指先のクッキーに金色の髪が近づいてきて。サクリ、と音がした。


(……え?)


 目の前の出来事に脳内処理が追いつかない。

 目を瞬くことしかできないアリーシャの反応を見下ろし、ヴィルフレードが口元についたクッキーの破片を親指で拭う。


「お嬢様のそばにいる権利は、誰にも譲るつもりはありませんので」


 いつもの笑顔のはずなのに、背筋が寒くなるのはなぜだろうか。

 まるで逃がさないとばかりに目を細められ、アリーシャは声を失った。


   ◇◆◇


 決戦の用意は整った。

 聖女を乗せた馬車が遠のいていく。緑に覆われた山間部に設けられた岩場には、裾の長いローブを羽織った聖女が両手を組み、神に祈りを捧げている。

 儀式用の飾り付けがされた旗が風で揺れる中、護衛や側仕えの姿は誰一人いない。

 かつての自分の姿と同じだ。


「……お嬢様の言うとおり、聖女様だけが残されましたね」

「ええ、そうね」


 木の陰から隠れて見守っていたアリーシャはすっくと立ち上がり、聖女のもとに歩み寄る。その後ろをヴィルフレードがついてくる。

 足音で気配を感じたのだろう。

 閉じられていた聖女の瞼が開かれ、エメラルドと同じ色の瞳と目が合う。


「あなたがコリンエラ伯爵家のロロナ様ね。そして、現聖女様」


 亜麻色の波打った髪が揺れ、不安げな表情で眉を寄せる。まだ事態が把握できていないのだろう。きょろきょろと周りを見渡しているが、解説してくれる供の姿はない。


「さあ、逃げるわよ」


 アリーシャが手を差し出すと、ロロナが目を丸くした。

 予想外の出来事に呆然と固まり、やがて震える唇がかすかに開く。


「……失礼ですが、どちらさまですか?」

「わたくしはアリーシャ。未来を知る者よ。あなたを助けに来たの」


 毅然と言い放つと、ロロナは困ったように眉根を寄せた。


「わ、私は……この雨を止めなければなりません。そういうお役目ですから」

「本物の聖女でもないあなたがいくら願っても、結果は変わらないわ。神殿の関係者はあなたを犠牲にして今頃ぬくぬくとしていることでしょう」

「で、ですが、私は聖女なのです!」

「……聖女になってからのことを思い出してみて。誰か一人でも、あなたを聖女ではなくロロナとして心配してくれたことがあって?」


 腰に手を当てて言うと、ロロナは目に見えて動揺した。

 思い当たる節があるのだろう。

 アリーシャは彼女の気持ちが定まるのを辛抱強く待ち、無言のまま見つめる。

 やがて、ロロナはぐったりと重くなった衣をかき合わせ、沈痛な表情でうつむいた。


「私はやはり……聖女失格なのでしょうか。だから人柱のように、誰もいない土地でひとりで……」

「違うわ。聖女様は何も悪くない。悪いのは周りよ。自分に都合の悪いことを、すべて聖女に押しつける、この国がおかしいの。災害が続いたのも、ただの巡り合わせ。長雨が続くのも自然の摂理。偶然の重なりに不安になるのは自由だけど、聖女を犠牲にすればすべてが丸く収まるなんて、そんな理不尽な欲求に付き合う必要はないのよ」

「……アリーシャ様は、どうして、私を助けてくれるのですか?」


 思わずといったようにもれる問いに、アリーシャは曇天を仰ぎ見る。

 空からは絶え間なく細い雨が降り続いている。


「わたくしはかつての聖女候補です。ですから、あなたのことを他人事にはできません。助けられる命があるなら助けたい。だからここへ来ました。あなたはこんなところで死ぬべき人間ではない。生きられるなら、生きるべきです」


 ロロナは目を大きく見開いたかと思えば、不器用に笑う。

 聖女の仮面が剥がれた瞬間だった。


   ◇◆◇


 雨で視界が悪い中、客船に乗った二人組は奥の少女をちらりと見て、最終確認を行う。


「ヴィル、手筈は整っているわね?」

「もちろんでございます」

「これが最後の確認よ。あなたもついてきてくれるのよね?」

「当然です」


 即答され、アリーシャは意外な思いで従者を見つめた。


(ヴィルならついてきてくれるとは思っていたけど、決意は変わらないみたいね。だけど、ここからは茨の道。何の後ろ盾もない中で暮らしていくのは、考えているよりずっと過酷なはず。わたくしのわがままで付き合わせて、本当によかったのかしら)


 今ならば、まだ引き返せる。

 彼を失うのは心に穴があいたような不安が襲うが、主人である以上、不安を表に出すような真似はしてはならない。

 侯爵令嬢として、高潔な態度でアリーシャは言葉を選ぶ。


「故国を捨てることになるけれど、本当に後悔はしない?」

「あなたの従者となった日から、アリーシャ様のそばを離れないと決めましたので。たとえ置いていくと言われても、ついていきます」

「……ならいいわ。では、参りましょう」


 後ろに付き従うのは、秘密の企みの共犯者で、唯一の味方。


「仰せのままに。私のお嬢様」


 彼らの門出を祝福するように、灰色の雲の隙間から光が差し込んでいく。久方ぶりの太陽が雲から顔を出し、海面がきらきらと反射した。

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