第7話 お弁当
翌日、お昼休みに小雪とベストプレイスで待ち合わせした。
「・・・・・・ごめん駿 携帯は明日になりそう」
「ああ、別にいいよ。それでそのでっかい包みは?」
「・・・・・・お弁当」
「・・・え?これ3段くらいあるんだけど?」
「・・・・・・駿にいっぱい食べて欲しくて。食べて?」
「い、いただきます・・・」
この三段ある弁当の1段目を開けてみると・・・それはそれは美味しそうな唐揚げがあった。それも敷き詰められるようにあった美味しそうな唐揚げ・・・唐揚げしかないなぁ
「お、美味しそうな唐揚げだな。・・・もしかして唐揚げしかないの?」
「・・・・・・そんなことない。次も開けてみて」
俺は恐る恐る2段目を開けてみる。真っ黄色だった。何事かとよくよく見ると卵焼きであった。それはそれは美しい卵焼きであった。ただまたもや敷き詰められていた。
「まじか」
「・・・・・・3段目も」
「わ、分かった」
俺は不安しかないが、3段目を開けた。予想はできている。きっと、その景色は、一面の白で出来ていた。大量の白米。
「・・・・・・食べて」
小雪は俺にアーンしてくる。俺は少しびっくりしたが従うことにした
「あーん・・・う、美味いなこの唐揚げ!」
「・・・・・・よかった 卵焼きも食べてみて」
またアーンしてくる。2度目は恥ずかしいので断ろうとする。
「や、やめてくれ。恥ずかしい」
「・・・・・・食べて」
有無を言わさぬ圧力があった。食べます・・・
小雪の作ったお弁当はどれもこれも美味しかった。だが小雪はあーんをやめることをせず、どんどんペースが早くなっていき・・・
「ちょ、ちょっとまっガホッ」
「・・・・・・あーん」
「も、もう無、り」
俺は倒れた。遠くで俺を呼ぶ声がする。ああ、おなかいっぱいだよ。小雪。
「・・・・・・ごめんなさい」
「ああ、もういいからあんな暴走するなよ?結構辛かったんだからな?」
「・・・・・・わかった 量も控えるしあーんもそんなにしない」
「そんなになんだな・・・でもすごく美味しかったよ」
「・・・・・・うん ありがとう」
小雪は照れたように顔を俯いた。可愛い。
「あ、それで今度の遊びに行く場所ついてなんだけどさ」
「・・・うん」
即座に小雪はこちらに向き、食い気味で俺のことを見た。怖い。速さが尋常じゃなかった。人間か?
「か、カラオケなんかどうだ?」
「・・・・・・何するところ?」
「あー・・・歌を歌うところだ」
「・・・・・・?ここでも歌える」
「いやそうじゃなくてな、個室で音響機器やマイクとかで・・・」
「・・・・・・個室?駿のエッチ」
「い、いやそういう事じゃなくてだな!」
「・・・・・・でも嬉しい。駿がその気なんて」
小雪は体をくねらせながら若干顔を染めていた。無表情で。
なんかシュールだな。そんなことより誤解を解かねば!
キーンコーンカーンコーン
しまった。予鈴がなってしまった。
「・・・・・・駿 カラオケ楽しみにしてる」
「ちょっ、待てよ!」
小雪は先に戻ってしまった。まあ嬉しそうにしていたし、カラオケに行って直接説明すればいいだろう。面倒だったので俺はそう考え、教室に戻ることにした。
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