第6話 遊びの約束

お昼休み。俺が教室を出ると、小雪がちょうど俺の教室に入ろうとしているところだった。




「小雪。俺のベストプレイスへ案内するから着いてきて」




「・・・・・・わかった」




小雪はすぐに頷いて、俺の隣まで来て、腕を組む。




「ここは学校だからやめないか?」




「・・・・・・いや」




今朝も同じようなやり取りをしたような気がするな。だがこれも友達を失わないため。




「いや、俺はこの学校じゃあまりよく思われてないからさ 迷惑かけたくないんだよ」




「・・・・・・別に迷惑じゃない」




「でも、万が一があるからさ。何か出来る範囲で言うこと聞くから頼むよ」




「・・・・・・分かった」




小雪は俺の腕を離してくれた。少し周りに見られたが仕方ないだろう。ベストプレイスに着き、俺たちは昼食を食べることをした。




俺はカバンからパンを3つほど取り出し、ひとつを開け、食べ始める。小雪は手作りのお弁当のようだ。




「・・・・・・駿はいつもパンなの?」




「ん?ああ、おにぎりの時もあるぞ」




「・・・・・・それじゃ体に悪い」




「と言っても朝から料理なんて大変だしなぁ」




「・・・・・・私が作ってきてあげる」




「いや、でも大変だろう」




「・・・・・・一人分も二人分も変わらない」




「ほら、お金とかさ」




「・・・・・・じゃあ今週の日曜日に出かけよ。その時に何かプレゼントしてくれたらいい」




「え?日曜かぁ」




「・・・さっき言うこと聞いてくれるって言った」




すっかり忘れていた。申し訳ないとかそういう気持ちもあるんだが、ここは好意に甘えさせてもらうか。




「分かったよ。じゃあ日曜な。どこに行く?」




「・・・駿が決めて」




「えっ?でも小雪が好きな所行った方がいいんじゃないか?」




「・・・・・・私は駿が好きな所に行きたい」




なんていい子なんだろう。頭をなでなでしたい。なんか妹って感じだな。可愛い。




「分かった。じゃあ連絡先交換するか」




「・・・・・・どうやって?」




「え?LINEとか持ってないか?なかったらメアドとかでもいいけど」




「・・・・・・持ってない」




「マジか」




「・・・・・・明日親に買ってもらう 待ってて」




「分かった・・・友達とかいなかったのか?」




「・・・・・・いる。駿がいる」




「ああ・・・なるほど」




悲しいことを聞いてしまった。なら、尚更小雪を大切にしなきゃな。とりあえず遊びに行くプランを考えないと・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る