第275話
「今から君をリンクさせる…。この星に眠る者と…」
「…どういう意味だ?」
「君を使って復活させるのさ…。悪魔をね…」
「…なにっ!?」
「そうなれば、君の小さな精神は残らないだろうね…。つまり…君は死ぬんだ…。でもね…心配しなくていい。予言しよう…。君が再び生き返る…。そして、この世界に戻り…終わりをもたらすだろう…。正気を失ってね…。はははっ…」
「……お前は…お前はぁああ…!」
僕は暴れまわったが、鎖はびくとも動かなかった。頑丈な鎖は僕の動きを完全に封じていた。
「なんだよ…。君の願い通りじゃないか…? 僕は何もしない…。君が彼等を殺すんだ…。くっくっくっ…はははははっ…」
「くっ…、くっそぉおおお…!」
「…僕はその後…ユグドラシルを完全な神にして、ゆっくりとこの星の終わりを見届けよう…。さぁ、始めるか…。これは返そう…。この星の記憶だ…」
ウルが黒いオーラの塊を空にぶつけると、上空には各国でみた大きな鎖が蛇のようにうねりながら現れた。そして、僕の方に蛇のようにスルリスルリと落ちてきて僕の周りを大きな球体を作るように包み込みだしだ。
くそっ…。…これは…流石に…ゲームオーバーだな……。……ん?
「…まだだ…!」
「…はぁああ!」
「…くらえっ!」
「…ぶっとべえ!」
「…いくにゃー!」
僕は鎖の隙間から何度打ち負かされても、立ち上がる皆の姿を見た。更にボロボロになっても何度も何度も奴らに向かっていった。
……まだ…諦めてないのか……。こんな状況なのに…。
「…しつこい奴らだ……。……ヘビーレイン!」
「…ぐっ…!」
「…がっ…!」
「…うっ…!」
「…きゃあ…!」
「…にゃあ…!」
「…みっ、みんな!」
光の矢に皆は撃ち抜かれて、皆は地面に落ちていった。ダメージも回復できず、さっきよりも絶望的な状況だった。でも、そんな状況なのに彼等の顔はまだ死んでいないようだった。
「君のせいで僕のオーラが掻き消されてしまったからだろうね…。君が気絶してる間もなかなかしつこかったよ…。まあ…無駄な努力ってやつだけどね…」
そうか…こいつのせいだったのか……。バカだなぁ…俺は…。皆が諦めるわけないだろ…! くそっ…。なら…俺が諦めるわけには…いかないじゃないか…!
「おい…」
「…なんだい?」
「…俺は死ぬのか?」
「ああ…。完全に消え去るだろう…。そして、君は神と等しき力を手に入れ復活する…。至高の存在へと生まれ変わるんだ…」
「…お前よりもか?」
「当然だ…。僕より遥かに強い存在として……」
「そうか……。くくくっ…はははははっ……」
「……気でも狂ったかい…?」
「いや…つまり俺を強化するってわけだよな…。お前は…今からこの俺を…。なら…お前はその先を完全には把握していないはずだ…。お前より強くなってるんだからな…。全知全能…? 笑わせるなよ!」
奴の未来を予知するスキルは上位の存在の影響を受けやすい…。なら…現時点で、奴らがそれよりも弱いと仮定すれば…未来予知はまだ変えれるってことだ…。
「…だから…なんだっていうんだ?」
僕は皆に向かって大声で叫んだ。届いたかどうかはわからないが、立ち上がる者達に向かって…。
「……俺が帰ってくるまで…絶対に…絶対に…負けんじゃねぇええー!」
……聞こえたかな…? いや、聞こえたはずだ…!
鎖が隙間なく埋まっていき、奴の顔だけが僕の目に入った。
「…別れの挨拶もすんだようだね……。でも、君が戻ってきたら、彼らは絶望するんだろうな…」
「かもしれないな……」
「はははっ…。…そうだろ?」
「だから…俺も予言してやる…」
「…なに?」
「俺は今からお前等を倒して、この世界を救う攻略法を見つける…。俺をパワーアップさせた事を後悔させてやるよ…」
「へぇ…そうか…。…それは…楽しみだな………。じゃあ…まってるよ…」
「……」
鎖が完全に僕を包み込み、最後の光が消えた。僕は一切の光もない世界に閉じ込められた。
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