永久の神王国編

第217話

「アル、起きてよ? ついたよ?」

「…ん?」

 僕はアリスに起こされて目が覚めた。

「じゃあ、私は支度してるからね。早く着替えてよ」

「ふぁ〜…。りょうかい…」

 僕達は魔族の国をさり、神族の国についた。僕は着替えて操縦席に向かった。

 

「なんだ…。あれ…。…ガレキ?」

 操縦席のモニターには妙なものが映し出されていた。それはガレキの山のようなものだった。

「城だよ…。まるで…神族の成れの果てのようだな…」

 操縦席に座ったシオンさんは悲しそうな顔をして言った。

「あっ、あれが…。ごめん…。ガレキとか言って…」

「気にするな…。竜族に攻撃されたのに、ガレキだけでも残ってた事に驚いたよ…。帰ってくるの久しぶりだな…」

 

 僕は周りに誰もいない事を確認した。そして、ずっと気になっていた事を聞くことにした。

「シオンさん…。神族の国の件…。なにも相談しなくてごめん…」

 シオンさんは自動操縦に切り替えて、こちらを向いた。

「謝らないでくれ…。私じゃなにもできなかったんだ…。アルのおかげで少しだけ心が軽くなったよ。…代表して礼を言う。ありがとう…」

 シオンさんは立ち上がり、右手を差し出した。僕はその手を強く握った。

「シオンさん…。一個、聞きたかったんだけど…。シオンさんじゃなくて…よかった?」

「…私はただのシオンさんだ……。君がやってくれって言うならやるよ…。でも…私にはそんな資格はない…。みんなも私を認めないさ…。私は君のサポートに徹するよ。君がやるんだろ? 王様?」

「じっ、実は…。その…。ゼロに任せようと思うんだ…」

 僕はその言葉を聞いたあと、将来的にゼロに任せる事を考えている事を伝えた。

「…ゼロに?」

「うん…。それと…」

 そして、王族の権力を分散して新しい王様の決める方法も…。


「なるほどな…。民が選ぶ王様か…。君は面白い事を考えるな…」

 シオンさんは口元を少し緩めた。僕は頭をさすりながら答えた。

「うん…。いつまでも、俺がやるってわけにもいかないと思うんだ…。その後はゼロに…。そして、その後は…」

「…なるほどな……。神族の王…。いや、神王国の王である君が決めたことだ。君の好きにするといい…。でも、なにかやることが他にもあるのか?」

「うん…。それは……」

 あれ…。なんだったかな…。なにかやらないといけないことが…。

「…おっと! 過ぎ去ってしまうとこだった…。この辺で降りるよ」

「…うん」

 シオンさんは手動操縦に切り替え、飛空艇はゆっくりと下降していった。そして、僕は地に足をつけた。

 

「ここが…神族の国…」

 僕達が降りたところは、辺りには建物もなにもない草原だったが、辺りを見ると少しだけ舗装された道があった。アリスは僕の横に来て背伸びをした。

「う〜ん。いい風…。空気がキレイね…。…ん? こっちに村があるみたいよ! いってみよ!」

 そこには木でできた古びた小さな看板が立ててあった。

「確かにいい景色だけど…。…おっ、おい! 先にいくなって…。…ったく……」

 僕はその景色を見ると、なぜかわからないがすごく嫌な気持ちになった。

 なんだ…。この気持ち…。なんでこんな気持ちに……。

「……みつけましたよ! …なんで、私がお留守番なんですか!?」

 僕がその景色を眺めていると、後ろの方から怒鳴り声がした。妹のノルンだ…。

「…だって、仕方ないだろ? 誰か一人は船をみとかないといけないし…」

「うぅ…。私だって久しぶりにいってみたいんですよ! いきたいです〜!」

「久しぶりにって…。はぁ〜…。ほんとに覚えてるのか?」

 僕がため息をついて言うと、ノルンは不思議そうな顔をしていた。

「…あれ? …なかったでしたかね? 勇者様と昔…」

 勇者って…。いったい何歳だよ…。

「…夢でもみてたんじゃないのか? 寝ぼけないでくれよ…」

「しっ、失礼な事いわないでください! 私は確かに…。確かに…」

 ノルンはなにか言葉をだそうとしていると、シオンさんとシャルが降りてきた。

「ノルンちゃん、お土産買ってくるから許してよ…。たっくさん買ってくるからね!」

「うぅ…。わかりました…。たくさんですよ…。約束しましたからね…」

 ノルンはシャルの説得に負けたようだった。シャルはシオンさんに抱きついた。

「…シオンさま、いきましょう!」

「シャル姫…。少し離れてくれないと歩き辛いんですが…」

「私は歩きやすいです!」

「…アッ、アル、とりあえず近くの村にいこう。この辺の情報がほしい…。それにアリス姫を追わないとな…」

「…そうですね……」

 僕等はアリスの後を追いかけて村に向かう事にした。


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