第216話

 これからどうするかな…。世界もわりと平和になったし…。とりあえず、神族の国にいってみようかな…。

「…今から神族の国に行ってみようと思うんだけど、アリスはどうする? エルフの王国の戦艦が近くにきてるらしいし…。帰りたいなら、船に送ろうか?」

「うーん…。でも、エルフの王国にはすぐ帰るんだよね?」

「うーん…。そう…だな…」

「じゃあ、私もいこっかな…」

「そっか…。さて、そろそろ部屋に帰るか…。神様、満足したか?」

 僕が立ち上がると、神様は大きなお腹をだしていた。

「まっ、満足だなんて…。もったいないから食べただけですよ?」

「……」

 やっぱり、こいつ…。神様じゃないよな…。…ん? …神様? なんで、こいつが神様なんだ? まっ、いっか…。

「ちょっ、ちょっと!? 私を見捨てていかないでください!」


 僕達は貴賓室をでて、ユキに挨拶をすませたあとで飛空艇にいくことにした。 

「ねぇねぇ、アル?」

 アリスはさっと歩いて目の前に立った。

「…どうしたんだ?」

「わたし、なにか変わってない?」

「……」

 僕は返答に困っていた。アリスは機嫌がよさそうなのでいいことなのはわかるが、下手なことを言ってしまって怒らせる可能性もある。

「ねぇねぇ、よくみてよ!」

「……」

 神様は小声で僕につぶやいた。

「…ヒントがほしいですか?」

「…ああ」

「仕方ありませんね。…では、ヒントその一! あと…一つです」

 あと…一つ…。…あれ? なにか今…思いだしそうに…。

「一つ…。うーん…。次のヒント…」

「ヒント、その二! 普段は見えないのですが、貴方が呼ぶとどこからかでてきます」

「なっ、なんか幽霊みたいだな…」

 僕がそういうと神様は悔しそうな顔をした。

「そっ、それはヒント三です! 私のセリフを奪わないでください!」

「幽霊って、シルフィぐらいしか…。まさか、シルフィが治ったのか!?」

「はい! 私がバッチリ治しておきました。目覚めるのはもう少しかかるかもしれませんけど…。もう、大丈夫です!」

「そっか…。よしっ、船にいこう! シオンさんも驚くぞ!」

 僕が走って向かおうとすると、神様は服を引っ張った。

「まっ、待ってください! 食べすぎて走れないんです。おんぶしてください…」

「ったく、仕方ないな…。…おもっ!?」

「…しっ、失礼な! こっ、これくらいなら、大丈夫でしょ!」

 神様は段々と軽くなっていった。

「まっ、これくらいなら…。よしっ、いくか!」

「待ってください! まだ、答えていませんよ」

「…ん? シルフィのことじゃないのか?」

「実はその先があるんです」

「うん! そうそう!」

 アリスは元気よく返事をした。

「うーん…。その先…。うーん…。だめ…。ギブアップだ…」

「まったく、だらしがないですね! …では、アリスさん答えを!」

「実は風の精霊を手に入れたの! シルフィさんのとこにいたんだよ!」

「…風の精霊を? …そっ、そんなのわかるか! でも、やったな! これで…これで…」

 僕はなぜか言葉がでてこなかった。

「うん! これで、皆の役に立てるよ!」

「そっ、そうだな…。よしっ、船まで競争だ!」

「うん!」

「ゆっ、揺らさないでください。うっぷ…。でちゃいます…」

「神様!? ちょっ、ちょっと、まっ、まって!?」

「ノルンちゃん、大丈夫!?」


 

 この時、僕達は見えない攻撃を受けていた。それは、ゆっくりと…。優しく侵食していく…。


世界は【栄光】に包まれる。


僕はまだ知らない。

最後のスキル…ディナイアルグローリーの本当の意味を…。

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